名古屋樹脂工業株式会社
代表取締役社長 伊藤誠一 様



事業内容について
― 御社の事業について教えてください。
本業は工業部品を製造しています。半導体設備の部品製造がメインです。
具体的には、シリコンウエハーのマテリアル搬送、TSMCやサムソンのシリコンウエハーの行程間移動の搬送ロボットのカバーと搬送レールを作ることが主力で売上の上位を占めています。
大量生産ではなく、少量多品種生産が特徴です。
会社は名古屋にありますが自動車部品の仕事は僅かです。
大量生産型の受注より、力を入れているのは、ニッチな部分だけですね。
酒井先生との出会い
― 酒井先生との出会いを教えてください。
5年ほど前になりますか、後継経営の件で何かしようと考えていたところ、北見賃金研究所の北見先生から酒井先生をご紹介いただきました。
読書会とともに意見交換をするのですが、1冊の本を一章ずつ読んで4人で討論するスタイルです。酒井先生はそれを「木鶏会」とおっしゃいました。そういった雑談からスタートして、1年くらい前から歯車が噛み始めた記憶があります。


酒井先生の印象
― 酒井先生について、どのような印象をお持ちですか?
酒井先生は、人の感情の機微や空気の変化を非常に的確に捉えられる方です。
その場の雰囲気や相手の状況に応じて、柔軟にアプローチを変えてくださるので、非常に安心感があります。
それが、酒井先生のコンサルティングの大きな魅力でしょう。
当社は同族経営で、役員は私を含め4名、副社長は妹の夫で、その息子と私の息子が加わっています。後継者として、息子たち2人が中心的な存在になっていく予定です。
「木鶏会」は途中から雑談を交えたファミリービジネスの懇談会になっていきました。
そうした雑談の中で、酒井先生が過去の出来事について問いかけてくださり、倒産の危機やリーマンショック、工場火災といった“黒歴史”も含めて、4人であらためて共有することができました。
ファミリービジネスにおいては、価値観の共有が大切だと感じています。
もちろん、家族といっても考え方は異なりますが、雑談の中でその違いを認識し、理解し合うことができるのは貴重な時間です。 以前に比べて、もちろん意見の対立はありますが、以前のようなギスギスした空気感は明らかに減っています。
酒井先生と進めた社内改革のプロセス

― 組織づくりや制度面での取り組みについても教えてください。
酒井先生のコンサルが始まった頃に、「行動指針」を策定しました。
その中でも「笑顔で挨拶をする」など行動指針によるものが人事考課においても加点項目の1/3を占めています。
この取り組みは、酒井先生のメルマガでも紹介していただきました。
また、理念・スローガン・ビジョンについても、昨年、酒井先生とともに改めて策定しました。当初は幹部間で意見の衝突もありましたが、先代から続く社是を土台にしながら、10大項目にまとめるまでに約3か月をかけました。
酒井先生は、各自の意見を付箋に書き出して集約し、整理・調整するスタイルを、コンサルしてくれました。
それぞれの部署で具体的な目標を設定し、経営方針はデザイナーの協力を得て、視覚的に分かりやすくまとめてもらいました。
これから目指すもの
― 今後の展望についてお聞かせください。
今後は、商品面では「ニッチトップ」を目指していきたいと考えています。
当社は板材の加工を主に行っており、シート成形に強みがあります。
そのメリットを活かしつつ、アクリル素材の美しさを前面に打ち出した「NJスタイル」というブランドも立ち上げました。
さらに、社内ではコミュニケーションの活性化を重視しています。
特別なカリスマが引っ張る組織ではなく、社員一人ひとりのコミュニケーション力が企業の力になるということがわかってきました。
意見を出し合い、アイデアを共有できる雰囲気を作ることが大切です。
コミュニケーションは、単なる情報の伝達にとどまらず、組織のエネルギーそのものです。
これからもその力を活かしていきたいと思っています。
―ありがとうございました!
名古屋樹脂工業株式会社
名古屋樹脂工業(株)様は樹脂の板成形では当地区No.1企業です。複雑なオーダーに応える技術力とICTの活用で高付加価値経営を実現しています。昨年オープンした社員食堂は、同社が目指す「三方よし経営」が具現化されたとても素敵な空間です。地域の人が集うイベントなど、コミュニケーションスペースとしての活用も企画されています。

伊藤社長のコレクションに囲まれた社長室