vol.514 『TikTokを自分の仕事に生かしてみた!』

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 1回3分「ヘコタレをチカラに」 vol.514

          by V字経営研究所 代表 酒井英之

 

『TikTokを自分の仕事に生かしてみた!』

 

元 Facebook のMetaが
新しいSNSサービスを開始しましたね。

 

「Threads(スレッズ)」というものです。
機能はほぼ Twitter と同じという評判です。
イーロンマスクの買収によって迷走を続けるTwitterに代わり、
SNSで主導権を取ろうという試みのようです。

 

インスタグラムユーザーが登録するのはとても簡単で
サービス初日、大学生の娘は早速利用を始めました。
すると同級生たちも次々Threadを始めたようで、
フォロアーが5人できたなどと喜んでいました。

 

若者のこの順応性には目を見張ります。
私などは「ああ、そういうサービスが始まったのね。ふーん」
で終わりです。

 

そして一時話題になってその後下火になった
ClubhouseなどのSNSを思い出し、
「二の舞にならなきゃいいね」などと連想しておりました。

 

失敗したケースを連想し、試しもしないうちから
「あれもきっとだめさ」などと否定的に考えるのは、
老害そのものですね。

 

新しいものへの心理的抵抗が年齢とともに
強くなっている自分をとても情けなく思います。

 

そんな私も、最近になってTikTokの恩恵を受けています。
TikTok はご存知のように1~2分程度の
とても短い動画のSNSです。
ユニークな動画が多く、アジア人の投稿も多数あり、
若い人を中心に大変人気があります。

 

が、何かを教えたり気づかせるツールとしては時間が短すぎます。
ゆえに、ビジネスでこれを使うことはますないと思っていました。
が、この1週間で2度、仕事でTikTokを使わせていただきました。

 

といっても、私がTikTok動画を作ったわけではなく
引用しただけです。今回はその例を紹介したいと思います。

 

私は職業柄、お客様からたくさんの相談をいただきます。
ある中小企業の社長から、以下の相談をいただきました。

 

「ある部門長が、相応しい役職と権限がほしいと言ってきました。
その理由は、以下です。
・様々な経営課題に対し社長一人で立ち向かうのは困難
・権限を与えてもらえれば、仕入れ先との折衝等も代行できる
・社長から権限を与えられずに行っても、相手が納得しない

 

この幹部には 仕事では成果を出し、
近い将来、自分の右腕になって欲しいという期待もあります。
一方で、自部門でオレ様的なマネジメントをしていて
部下たちはストレスを抱えています。
果たして、役職や権限をすべきでしょうか?」

 

同じような相談はとても多いです。
そして相談される社長の答えは最初から決まっています。
答えは、NOです。

 

いくら仕事力が優れていたとしても、
人間的な魅力=人間力に
乏しければ人はついてきません。
人は権威や命令ではなく、人望で動くものです。

 

それなのに、役職や権限を与えれば、
その圧力で部下は苦しくなるだけです。
部下が苦しめば、顧客にもそれが伝わり、
顧客満足は必ず低下します。
その結果、顧客も部下も失ってしまいます。

 

私への相談者は、そうした仮説を持っています。
ゆえに、私の仕事は相談者に客観的なアドバイスをして
「やっぱりNOだ」と、確信を抱かせることになります。

 

そこで、この相談者には、以下のTikTokを見てもらいました。
トヨタ自動車の前社長、豊田章男さんの言葉です。

 

https://www.TikTok.com/@motivasensei/video/7217029006791544065

 

おそらく、トヨタ社内にも、仕事ができるけれど
人間力がいまいちの人材が大勢いるのでしょう。
その人たちをいかにして頼れる人材に育てていくか、
章男さんは章男さんの立場で悩まれたと思います。

 

動画には、その苦悩が滲み出ています。
相談者には、同じ社長という立場だからこそ
この言葉に感じていただけるものがあると思います。

 

TikTokを用いたもう一つのケースです。
以下は、ある管理者から私に寄せられた相談です。

 

「今、部下の指導で褒めることが必要だと
いろいろなところで聞きます。
しかし、褒めすぎますと、褒められたありがたみが
ないように感じるのではないかと思います。
私は、よく叱り、ご指導を頂いておりました。
褒められることはほぼ皆無でしたが、
数少ない褒められたことは印象に残っています。
今後、部下に対しどのようにほめていくことが
効果的かを知りたいです」

 

同様の相談を実に多くの方からいただきます。
そこで私は、「参考までに」と、
以下のTikTokを見ていただきました。

 

https://www.TikTok.com/@userhokhok731733airport/video/7225269168952642818

 

テレビドラマ『ドラゴン桜』のワンシーンです。
『ドラゴン桜』は勉強も人生も半ば諦めかけている冷めた生徒を
熱い思いを持った教師が、最終的に東大合格に導く漫画です。

 

東大合格が勝利の象徴のように描かれていますが、
この漫画の魅力はそこにはありません。
「人は何のために学ぶのか」や「好奇心を、諦めない」といった
勉強に向き合う姿勢の大切さに気づくことです。

 

さて上記の動画は、子供を褒めればいいと思い込んでいる親への
熱血教師阿部ちゃんがアドバイスするシーンです。

 

「褒めるのもダメ、叱るのもダメだったらどうすればいいの」
と子供への接し方に悩む親に対し阿部ちゃんは、
「褒めるのではなく、繰り返すのです」と言っています。

 

「繰り返す」と聞いて分かりにくいかもしれませんが、
コミュニケーション・スキルの世界でいう
『オウム返し』です。
詳しくは下記のサイトをお読みください。


https://boutex.jp/archives/5856

こうした回答は、もちろん講師の言葉として伝えても良いのですが、
相手が認識しているドラマのワンシーンか、
俳優の言葉になると、伝わる力が格段に上がります。

 

大切なことは「何を言うか」より「誰が言うか」であり、
それによって「どのように伝わったか」です。
そのためにはTikTokは、
お手軽で便利なメディアと言えるでしょう。

 

Threadsの登場で益々多様化するSNS。
私のように「ついていけない」と嘆いたり、
「どうせ一時の…」と、
最初から見限ってはいないでしょうか?

 

それよりは、自分の仕事に取り入れられないか、
考えてみましょう。
あなたと周囲の関係の質を激変させる意外な使い途が、
見つかるかもしれません。