第6期 第5例会 2024年12月4日(水)株式会社宮田運輸(大阪府高槻市)

社会の役に立つ人を育てる (株)宮田運輸様訪問・見学

12月4日(水)無敵経営研究会の第5例会の第一弾で、大阪府枚方市の宮田運輸様を訪問。
宮田社長の講演を拝聴し、こどもアートミュージアムなトラックを見学しました。
宮田社長のお話に皆さん号泣でした。

宮田社長はトラックが大好きな少年でした。
そのトラックが死亡事故を起こしてしまいます。
「トラックを無くす」そう考えていた時に、経営者の先輩から「トラックを活かすことを考えてみたらどうか?」とのアドバイスを得ます。
そこから、社会をよくするためにどうやってトラックを活かすか?必死で考えました。
世の中は運転士を「管理」「強化」「監視」する方向です。
しかし、管理・強化・監視などの外発的動機では人は幸せになれません。
「ちゃんとしよう」「丁寧に走ろう」などの内発的動機を引き出す必要がありました。

そこで始めたのが、トラックに運転士の自分のこどもが描いた安全運転を願う絵をラッピングすることでした。
すると運転士は、子供と一緒に走っている感覚になります。
車両もピカピカに磨きます。
自ずと安全運転になります。
また、そのトラックを見た人も笑顔になり、心が穏やかになります。
スピードを出さなくなります。

それを見て宮田社長は気が付きます。
「あなたが走っているだけで、世の中が変わっている」
「トラックはコストから、人を笑顔にする価値に変わる」
この言葉が多くの運転士の共感を呼びました。
大阪シティバスやタクシーが子供達の絵をラッピングし、ヘルメットや三角コーン、自機にもラッピングする会社が登場しました。
その数、現在は350社。
ラッピング台数は1,400台になります。

たった一社の、人が本来持っている
「良心」を引き出す活動が、多くの共感を呼び、社会をより良くする運動を巻き起こす。
このようなケースを私は他に知りません。
宮田社長は人財育成に力を入れています。
「事故をしたから悪いドライバー、事故がないから良いドライバーではない」
「会社のための人づくり(能力が高い人づくり)ではなく、社会に役立つ人づくりをしていく」
そのために毎月木鶏会を開き、そこで気づいたことを仕事にどう生かすかを考え語り合う場を設けています。

そうした宮田社長のお話を聴きながら、経営とは何か、人財育成とは何か改めて考えさせられました。
そして、ほんの少しだけですが、松下幸之助さんや本田宗一郎さん、井深大さんたちが持っていたもので今の経営者が失ったものが何か、見えたような気がしました。

宮田社長、後藤常務、及びご案内頂きました後藤常務の息子さん、ありがとうございました!

株式会社宮田運輸

1958年創業の、就職希望者が殺到する運送業。
10年前、宮田会長(当時社長)が事業拡大に向け躍起になっていた時、交通死亡事故が発生。以来、管理中心の経営を止め、社員の心を信じて任せる経営へと転換。思いついたのは、こどもの絵をトラックにラッピングする“こどもミュージアムプロジェクト”。こどもの絵を背負うと自然に運転がやさしくなります。事故が減ります。この取り組みは、今日、業界を越え、海外へも広がっています。

  • 「日本で一番大切にしたい会社」大賞「審査委員会特別賞」受賞(2023)
  • 同社の取り組みは映画『愛で行けるやん』になっています
    https://aideikeruyan.tokinotsukasa.com/