vol.468『ミレニアル世代の新しい価値観とは』

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 1回3分「ヘコタレをチカラに」 vol.468

          by V字経営研究所 代表 酒井英之

 

『ミレニアル世代の新しい価値観とは』

 

毎日、戦争による悲惨な光景を目の当たりにします。
力で相手を強引にねじ伏せるやり方に、強い憤りを感じます。

 

あの国は、非常に豊富な天然資源と先進的な科学技術、
豊かな芸術的感性を持っています。
「利他の心」を持って他国と接すれば、
人類の発展に大いに貢献できるはずです。

 

現にこれまで、世界中の国々とそのような関係を
築いていただけに残念でなりません。
私欲のため、相手を力で屈服させるやり方は、
とっくに過去のものになりつつあります。

 

先月、吉野家の常務が、牛丼を売る手法として
「生娘〇〇漬け作戦」と銘打って大学で講義をし、
その発言の責任を取って辞任しました。

 

この作戦は、田舎から出てきた若い女性を
吉野家のファンにしてしまおうというものでした。
着眼点は悪くないのですが、問題はその姿勢です。

 

「どうだ、俺の作戦、凄いだろう」と、顧客にも
吉野家の幹部にも大学の生徒にも、自分が立てたプランに
強引に従わせようとする意図が見え見えでした。
それこそがこの発言への不快感の源です。

 

マーケティングの世界には、ときどきこんなモンスターが出ます。
「あれをやったのは俺だ。だから俺に従え」みたいな。
本当は仲間の協力や他人の支えがあってできた仕事を
「全部自分がやった」と勘違いして誇示し、
他人を従わせる圧力に変える人です。

 

現在、ミレニアル世代が経営の代替わりとともに
中小企業の経営トップになりつつあります。
ミレニアル世代とは1981年~94年に生まれた世代です。
現在の年齢は28~41歳で、欧米ではY世代といいます。

 

私は10年以上前から、この世代は
それまでの世代とは随分価値観が違うと感じていました。
そこで、彼らが生まれてからどんな体験をしてきたのか
調べてみました。

 

例えば81年生まれだと、バブル崩壊が11歳、
阪神淡路大震災が14歳、Windows95も14歳、
ONE PIECE の連載開始、拓銀破綻が16歳、
9.11が19歳、イラク戦争21歳、
ホリエモン逮捕24歳、リーマンショック27歳、
スマホの発売も27歳、東日本大震災30歳。

 

こうして並べてみると、それ以前の世代と
全く違う経験をしていることがわかります。

 

それは戦争と災害の多さと、
コミュニケ―ションの手段としてのSNSの活用です。
それらを多感な時期に多く目撃し体感したことが、
彼らの価値観に影響を与えています。

 

ミレニアル世代は戦争を多く見ているから、
武力で相手を押さえつけるやり方は拒絶します。
それよりも相手とのWin-Win の関係を築くための
自分ならではの別解を必死で探します。

 

複雑な課題には、同じ問題意識を持った仲間と繋がり、
積極的にコラボレーションを測ります。
そうすることで課題解決の選択肢が増え、
解決のスピードが上がることを体感しています。

 

また、災害に多く触れていますから、
地球環境を守ることが最優先事項であると、
真剣に考えています。

 

さらに、被災者のために何ができるかを必死で考えます。
「何か自分にも社会の役に立つことがあるはずだ」と
損得抜きで考え、行動する力がとても強いです。

 

彼らは子供の頃から大企業の破綻や合併、
ITベンチャー企業の隆盛など
組織は時代と共に変わることを目の当たりにしてきました。

 

そんな彼らにとって、同一組織を前提として終身雇用を求めたり、
そこでの出世を考えること自体がおかしいわけです。

 

SNSを情報源とする彼らにとって、マス広告よりも
信頼できる誰かの声の方が遥かに信用できます。
また、学歴よりはフォロワーの数でその人の魅力を判断します。

 

私はこうした世代が経営の中心に立つことで、
世の中はもっとよくなるのではないかと思っています。

 

例えば以下は私のクライアントの
ミレニアル世代の後継者たちの言葉です。

 

「会社を大きくしようとすると、
倉庫とトラックに投資をしなければいけない。
そのために銀行に借金をして利息を払う。
それで売上げが伸びて収益が拡大すれば良いが、
市場競争が激しくて規模を拡大しても一向に儲からない。
結果的に儲かるのは銀行だけだ。そんなビジネスはしたくない」

 

「技能伝承が必要だと言うが、
そもそも伝承などしなくてよい会社にしたい。
DXを使って誰もが同じアウトプットができる
仕組みができれば伝承そのものをなくすことができる」

 

「会議の場でファシリテータとして、
意見を承認し、誰もが気持ちよく発言でき、
モチベーションが高くなる場を用意する存在になりたい。
そして、自分の部下がやりがいを持って
笑顔一杯に仕事をしている姿を見る事を目標に、
日々挑戦と勉強をしていきたい」

 

こうした、彼らにとっては当たり前の価値観を
どんどん磨いて欲しいと思います。

 

もちろん、彼ら以前の世代も、
ミレニアル世代の価値観を取り入れて
自分をアップデートしましょう。

 

そして、より複雑化する社会課題の解決のため、
別解を探し、行動していきましょう。