vol.451「あなたの会社が倒産するのはどんなとき?」

V字研メルマガ

 1回3分「ヘコタレをチカラに」 vol.451

          by V字経営研究所 代表 酒井英之

 

「あなたの会社が倒産するのはどんなとき?」

 

政府が過去最大の財政支出を出す方針ですね。
企業の倒産を避けるために、必死になっています。
そこで問題です。

 

「あなたの会社が、
顧客に見限られ倒産するケースを3つ想定してください。
そして、なぜそのような事態になってしまったのか
原因を考えてください。
また、そのような事態を避けるために
あなたとあなたの部署にできることは何でしょうか?
レポートに書いて提出してください」

 

実はこれ、私があるメーカーの
管理職研修で出した課題です。

 

皆さんや皆さんの会社の管理職であれば、
上記の問いを自分の会社に置き換えて
どのように回答するでしょうか?

 

このメーカーでは、顧客から見限られ、
倒産する要因として次のような回答がえられました

 

・納期遅延多発
・品質不良多発
・特定のお客様を優先しすぎて他のお客様と疎遠になる
・革新が止まりコモディティ化する
・コンプライアンス遵守違反

 

この問いを私が出した意図は二つあります
一つは、社内で発生する問題に対して管理職の皆さんに
当事者意識を強く意識してもらうことです。

 

例えば、納期遅れが発生したら、その原因は
受注から出荷までの流れの中で、
どこがボトルネックになったかを、検証する必要があります。

 

検証するときは、営業・設計・製作・検査・出荷までの
すべてのセクションからリーダーが集まって、
課題を特定しないといけません。

 

「自分のところはちゃんとやっている。
前後を担った他部署いけないんだ」と、部署間で
責任を押し付け合うようでは問題は解決しません。

 

それよりも関係部署のリーダーは集まって、
1時間でもこの問題について発生原因と対策を話し合うことです。
そのような会議を開催すると、問題が一気に解決します。

 

責任のなすりつけ合いではなく、一緒に考えること。
コミュニケーションを怠らず、
相手が他部署でも、部下でも、お客様でも
まず相手を理解してから、自分を理解してもらうように努めること。
そのことを意識してもらうためにこの問いを投げています。

 

もう一つは、 管理職の皆さんに経営はシステムだと
気づいてもらうためです。


それを図に表すと以下になります。

①経営理念:社員を幸せにする。世の中の社会的課題を解決する等
   ↓
②ビジョン:〇年後のありたい姿
   ↓
③戦  略:どの事業にヒト・モノ・カネを集中するのか
   ↓
④戦術・計画:いつまでに何をするのか
   ↓
⑤日々の行動:計画に従って行動・働きやすい環境を整備
   ↓
⑥予算実績対比:予定とのズレを確認
   ↓
⑦評  価:頑張った人を評価する。模範とし指導者にする
   ↑
⑧行動指針:当社の社員はかくあるべき

 

会社が倒産するということは、
上記の①~⑧のシステムのどこかが滞る、
あるいは抜け落ちてしまい、回らなくなってしまうということです。

 

納期遅延や品質不良、コンプラ違反が多発するということは
数字ばかりを追い求めて、①や②を忘れた結果かもしれません。
また、⑥がおざなりになっていわゆる「どんぶり勘定」になっていたり、
⑧が徹底できていないからかもしれません。
さらに革新が生まれないのは現状に満足してしまい
①~③がボケていることが原因かもしれません。

 

この①~⑧までをチャート図にし、管理者でなく社長に見せ、
「貴社ではこの流れで途切れている点はないですか?」と問うと、
どの社長でも「ここが上手く行っていない」と、
どこかを指さして回答します。

 

上記の問いを出すのは、全社を俯瞰的に見て、問題を見つける。
その発見力を磨くためです。

 

管理職は、「人ではなく経営方針を管理する人」です。
本来であれば社長が現場に入って、
社員に指示命令するべきところです。
が、社長の体は一つしかありません。

 

そこで管理職が社長の分身として現場を預かります。
そして現場の皆さんとともに経営方針の実現を目指します。
その社長の分身である管理職がどれだけ育てられるかで、
任せられる現場の数が決まります。つまり会社の成長力が決まります。

 

以前『マネーの虎』というテレビ番組がありましたが、
そこに出ていた社長たちの会社の多くが
後に倒産したと言うニュースがあります。
その原因は、管理職不足が招いたものだと私は思っています。

 

「あなたの会社はどんなときに倒産するか?」
社長が毎日のように考えているこの問いを、
管理職にもぜひ投げて考えさせてください。

 

そして、その答えを共有しましょう。
すると、不思議です。
「わが社は今よりもっと良くなる」という
期待が沸いてきます。

 

是非一度、試してみてください。