vol.435『小さなことを重ねてとんでもない所に行くクレド経営』

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 1回3分「ヘコタレをチカラに」 vol.435

          by V字経営研究所 代表 酒井英之

 

『小さなことを重ねてとんでもない所に行くクレド経営』

 

突然ですが、あなたの会社にクレドはありますか?
クレドは日本語では「信条」という意味ですが、
経営的には「行動指針」と訳されることが多いようです。

 

先日お伺いしたクライアントには、
以下の4か条のクレドがありました。
「笑顔で挨拶」「約束を守る」
「変化を恐れず進化を実践」「仲間を支える」

 

同社はこの4か条を人事考課に結びつけています。
そのウエイトは全体の3割で、
クレドがちゃんとやれている人が評価は高くなり、
やれていないと評価が下がります。

 

クレドと評価が連動していないと、
クレドはただのお題目になってしまいます。
その点、評価と連動し、そのウエイトが大きいことは、
組織志向の人材を育てる意味で大変良いことですね。

 

今年に入り、弊社にはクレド作りのコンサル依頼が相次いでいます。
そのうちの一社が天板製造のNo.1企業のサシヒロ(株)様です。
先ごろ、同社のホームページにクレド・プロジェクトの模様が
掲載されましたのでご覧ください。
https://www.sashihiro.co.jp/blog/blog-1881/

 

同社は社員数80人のメーカーです。
現在手掛けている別の会社も社員数約80人です。

 

さらに7年前にクレドお手伝いさせていただいた会社も、
現在社員数約80人。先日経営方針発表会にお伺いしたところ、
「今年はクレドを徹底して浸透させたい。
そのため評価制度と連動する仕組みを作りたい」と
社長が語っていました。

 

社員数約80人の会社にクレド導入意向が強いのは、
必ずしも規模の拡大を目指しているわけではないからです。
それよりも今目指しているのは「生産性の向上」。

 

規模拡大ではなく、一人ひとりが潜在的に持っている
能力発揮とチームワークよってビジョンの実現を目指す。
それには、クレドが必要だと感じているのです。

 

イチロー選手の名言に、以下があります。
「小さなことを重ねることが、
とんでもないところへ行くただひとつの道」。
まさに、その「小さなこと」を定義しているのがクレドです。

 

イチロー選手は数々の大記録を残しました。
そんなイチロー選手が目指していたのは、
毎年200本安打を打つこと。そして
そのために、以下のことを日々徹底することでした。

 

「毎日練習する」「誰より早く球場入りする」「入念な準備」
「毎日カレーライスを食べる」「自分を信じる」
「整理整頓を行う」「道具を大事にする(バットを芝の上に置かない)」
「インタビューには日本語で応える」
「質問を選ぶ」「ファンに感謝する姿勢を示す」など

 

こうした行動一つ一つが
イチロー選手のクレドだったのでしょう。
それは自分の調子が良い時も悪い時も、
彼が選手である限り、毎日続けてきたことでした。

 

これを企業経営に置き換えれば、冒頭に紹介した会社ように
「笑顔で挨拶する」「仲間を支える」などになります。
そしてその重要性は、コロナ禍だろうが何だろうが
未来永劫変わらないでしょう。

 

では、誰がそのクレドを作るべきでしょうか?
私は、選抜した社員のプロジェクトチームが議論して起草し、
それを経営陣に答申してフィードバックを貰い、
それぞれの意見をすり合わせて作るのが良いと思っています。

 

それには主に二つの理由があります。

 

第1は、クレド策定後、速やかに
全社員に定着させることができるからです。

 

クレドの定着で最も効果的な方法の一つが、
クレドについて考え、仲間と話し合う
クレドミーティングを実施することです。

 

頻度は週に一度、あるいは毎日の朝礼時。
クレドを題材にした短時間のミーティングを開き、
社員一人ひとりが、クレドに基づいて
自分がどんなことを考え実践したかを仲間に発表します。

 

発表者は仲間からフィードバックをもらいます。
また、仲間の見ないところでのクレド実践行動を知ります。
それがその社員の意識を前向きに変え、
いつしか主体性を発揮するようになります。

 

このようなクレドミーティングを行うとき、
クレドづくりに関わった社員がいると、
彼らが職場リーダーとなり、スムーズに定着します。
サシヒロ(株)のブログにもその模様が描かれています。

 

第2は、クレドは非常に長い時間、企業の中に残るからです。

 

あなたの会社には、
「このロングセラー商品は昔、自分が作ったんだ」
「この工場は昔、自分の作ったんだ」
などと、昔の仕事を自慢するベテラン社員はいませんか?

 

自分の手掛けた仕事が、長く誰かの役に立っている。
このことは、それに関わった人にとって誇りであり、
「この会社でまだまだ頑張ろう」と思う動機になります。

 

その点、クレドは何十年先まで長く残ります。
今、自社のクレド開発に携わることで、メンバーは
「あのクレドを創ったのは自分」という誇りを持つでしょう。
そして、会社への帰属意識を高めるでしょう。
そのモチベーションは会社にとって大きな宝となります。

 

アフターコロナを見据え、
新たなビジョン(北極星)を描いた会社は
その実現に向けて、社員の主体性の発揮と
生産性向上のために舵を切っています。

 

そんなぶれない経営を目指したい方は、
ぜひ、イチロー選手を見習った
「小さなことを大切に重ねていくクレド経営」を目指しましょう。
そして、クレドミーティングを通じて、
社内のモチベーションを高めていきましょう。

 

*クレド開発にご興味のある方は下記までご連絡ください
https://vjiken.com/mf/index.html