vol.434『中小企業が副業するプロ人財と出会う方法』

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 1回3分「ヘコタレをチカラに」 vol.434

          by V字経営研究所 代表 酒井英之

 

『中小企業が副業するプロ人財と出会う方法』

 

緊急事態宣言は解除されましたが、
企業のテレワークの推進姿勢は変わっていませんね。
大手IT企業に勤める私の知人は、毎日自宅勤務です。
そして東京本社にお呼びがかかったときだけ出社します。

 

彼には交通費として毎月15万円が支給されています。
月に何度呼び出されても、
その中でやり繰りするよう言われています。
呼び出しの頻度が少なければ、
名古屋じゃなくて沖縄にだって住める条件ですね。

 

そんなテレワークは、
当初は「便利、便利」と言われていました。
が、長期化し、メンタルヘルスの問題を
抱えてしまう人も少なくないようです。
なぜ、テレワークをすると気持ちが落ち込んでしまうのでしょうか?

 

その原因は以下の四つだと言われています。
原因1)
 自宅にいて上司の指示で仕事をしていると、自分が
 組織の一員より、外注先になったイメージを持ってしまう。
 元々メンバーシップ型雇用を望んでいた人が
 ジョブ型雇用を選んでしまったようで、違和感がある。


原因2)
 職場で活躍する上司を見て「いつかああ成りたい」と
 憧れていた人が、その上司を見かけることがなくなり、
 憧れを喪失する。
原因3)
 職場の同僚や上司などとの雑談・談笑がなくなり、
 乾いた指示命令だけが飛んできて、気持ちが癒されない。


原因4)
 上司の言葉がメールやチャットなどで飛んでくると、
 リアルなら伝わるはずの真意が言葉足らずで誤解が生じてしまう。
 例えば「あなたはもう、その仕事をやらなくていいでしょう」と
 言われた時に、「自分が至らないから仕事から外された」と
 否定的に捉えてしまう人がいる。このとき上司は
 「あなたは仕事が多くて大変だから減らした方がいいね」と
 配慮したのに、それが上手く伝わらない。

 

こうしたことから、テレワーク利用者には転職したり、
積極的に副業を探している方がいます。

 

立教大学で中小企業経営専門の山口義行名誉教授は、
これからの中小企業のビジネスチャンスは
1.DXの推進
2.カーボンニュートラルへの参画
3.流動化する労働力の活用 
だと述べています。

 

このうち1と2は説明不要でしょう。
3の「流動化する労働力の活用」では、上記の私の知人のように
DX推進のできるリーダーからAIエンジニアまで
人財ニーズがうなぎ上りです。

 

同時に、企業に勤務したまま、
週8時間以上、別の会社の仕事を請負う
「プロの副業市場」が成長しています。

 

例えば「JOINS」という地方企業と副業希望者を繋げる
マッチングサイトがあります。
https://joins.co.jp/
現在700社以上が登録しています。

 

私のクライアントで名古屋市の印刷会社も登録しています。
そして、自社が運営しているギャラリーの
ブランディングとプロモーションの企画ができる
クリエイターを募集しました。

 

この仕事は、正社員で雇うほど長時間、
永続的に働いてもらうほどのニーズではありません。
かといって、パートやアルバイト、派遣社員で務まるほど
簡単なものではありません。
そこで副業で依頼できるプロ人財を求めたのです。

 

社長にJOINSでの応募がどうだったかお伺いしたところ、
次のようなメールをいただきました。

 

「これまで経験の少ない領域のため、
アドバイスや示唆をいただきたいと思い、
募集することにしました。
そして4名の方と面談し、仙台市に住む、
大手広告代理店に9年間務めた実績のある
37歳の女性に依頼することにしました。
5年ビジョン達成のためには、社内の才能だけではたりないため、
どんどんプロの手を借りていこうと思っています。
募集に関しては、副業人財のペルソナ像を
はっきりさせておいた方がいいというのが感想です。
いろんな才能に助けてもらって5年ビジョンを達成します」

 

JOINSへの手数料は、当初12か月が毎月4万円。
それ以降は不要です。
副業人財に払う費用が仮に10万円だとしたら、毎月14万円。
有スキルな正社員を雇用することを考えれば、
とてもリーズナブルです。

 

とりわけ新商品企画や機械設計、人事制度構築など、
PDCAのDだけでなく、中小企業に不足がちな
PやCAへの参画が求められる仕事で、
なおかつ外注先を探すのが難しい仕事を
経験豊富なプロに依頼するにはよい仕組みですね。

 

ワクチン接種が進んだ地域での感染再拡大の報道もあり、
コロナ禍は一向に終息する兆しが見えません。
テレワークは、まだまだ続きそうです。
すると、冒頭に紹介したようなプロ人財の
副業市場への流入はどんどん加速するでしょう。

 

会社を変えるには「時間の使い方」「住まう場所」
「付き合う人」のいずれか変えることだと言われています。

 

グランドデザインは描けているのに、
肝心な1ピースが埋まらないので完成しない…
そんな悩みを抱えている中小企業経営者は、
新たに生まれている副業市場で
プロ人財を探してみてはいかがでしょうか。

 

「新たな人財」と「新たな時間の使い方」で
「新たな場所」で出会うことは
きっと会社の新たな可能性を拓くことでしょう。