vol.425『コロナ禍で拡大する社長と社員の情報格差をなくすには』

V字研メルマガ

 1回3分「ヘコタレをチカラに」 vol.425

          by V字経営研究所 代表 酒井英之

 

『コロナ禍で拡大する社長と社員の情報格差をなくすには』

 

恐れていた第4波が襲来していますね。
変異株は影響がどこまで広がるのか心配ですね。

 

コロナ禍における大きな変化の一つが、
中小企業の社長の勉強量です。
コロナ禍という未曾有の経営危機に対し、
世の社長たちは必死に勉強しました。

 

私も様々な勉強会に講師として呼ばれましたし、
当社でも開催しました。
そこで驚いたのは学ぶ人の数も多さと真剣さです。
例年になく大勢が、真剣に参加してくださいました。

 

しかし、会社の中で必死に勉強したのは社長だけです。
現場の社員たちの勉強量はコロナ禍前と同じです。

 

そのため、多くの中小企業では、
「社長が持つ情報量と未来の姿」と、
「社員の持っている情報量と未来像」とで
大変大きなギャップが生まれています。

 

社長だけがどんどん成長し、
社員がついていけてない状態になっています。

 

そのため社長がいくら
「ピンチはチャンスだ!」と叫んでも、
現場の社員たちは、
笛吹けど踊らずの状態になってしまいます。

 

この状態が続きますと、社内には
「なんで君たちは分からないんだ!」と苛立つ社長と
「社長には着いていけません!」という
諦めがちな社員の2つに分かれてしまいます。

 

そこで期待されるのが、中間管理職です。
中間管理職が社長の思いを汲み取り、
それを自分の言葉・表現で現場に伝える。
その役目をしっかりと果たすことは、
中小企業の最大の武器である全社一体感を生み出します。

 

ただし、勉強を重ねた社長と中間管理職の間のギャップは
コロナ前に比べれば、ずっと大きくなっています。
これを埋めるにはお互いの「対話」しかありません。

 

そのことが分かっている社長が多いからでしょう。
昨年7月頃から弊社には管理者研修の依頼が相次いでいます。
そして、その管理者研修には二つの特徴があります。

 

第一の特徴は、一日で勉強してスキルをマスターする
単発研修ではなく、長い時間をかけてディスカッションし
皆でじっくり何かを作り上げていくような研修です。

 

テーマは、ビジョン開発、クレド開発、新規事業開発、
人が育つ仕組み作りやホワイト企業大賞受賞を目指した
社内風土改革などです。
研修というより、プロジェクトです。
私は講師というより、ファシリテータを務めています。

 

第二の特徴は、社長自身が参加していることです。
かつて、管理者研修といえば、
管理者ばかりが受講して社長は参加しない、
あるいは研修の冒頭10分ぐらいお話しいただいて
後は退散するのがほとんどでした。
学校でいえば、校長先生のポジションです。

 

ところが、今は違います。
テーマが上記のようなテーマだということもありますが、
社長も参加して、社長と管理者が真剣に、
未来や社風について、人材育成について語り合います。
それによって参加した全員が社長の思いを理解します。

 

学校に喩えれば、社長のポジションは、学級委員です。
すると、懸念していたような情報格差がなくなり、
会社の中に一体感が出てきます。

 

この効果は弊社のオンライン研修でも現れています。
このメルマガでも何度かご案内した通り、
弊社は15分のオンライン動画研修を提供しています。

 

この研修の特徴の一つがは、オンラインで受講した後に
一緒に受講した人同士が学んだことを題材に
ディスカッションする時間を設けていることです。
また、必ず気づきレポートを書き、
その上司がコメントを返していることです。

 

昨年の秋からこのオンライン研修をご利用いただいた
あるサービス業では、社長自らも
自分から希望して管理職の皆さんと受講しました。
自分でもレポートを書き、役員クラスにコメントを返しました。

 

そして、約半年の受講を終えて、
その社長から次のようなメールをいただきました。

 

「お陰様で、この間受講した社員1人1人の考え方と
行動が徐々に変わって来たと感じています。
とりわけありがたいのが、受講者は次長クラスが多かったため、
彼らが私と一緒に受講している内に、私の考え方を理解してくれて、
同じ様に考えてくれる様になったことです。
これにより、私の求めることが早々に理解され、
期待通りに返答が戻って来る頻度が高まりました」

 

同じ研修を受け、ディスカッションしたり、
レポートを書いたりしているうちに、
社内の課題に気づき、どうしたらいいかを話し合う。
それによって社長と管理者の情報ギャップが消え、
より良いアイデアが出るようになったのです。

 

こうした地道なことをしないと、
Withコロナ時代を乗り切るだけの
社内一体感はなかなか出てこないでしょう。

 

是非今こそ社員をどんどん巻き込んでください。
そして一緒にビジョンや新規事業や人が育つ仕組みを
考えることに挑みましょう。

 

経営者は孤独と言われます。
背負ってるものが違うので、真に理解してくれる人は
いないからそう言われます。
でも本当に孤独でしょうか?

 

決断は1人でするものですから孤独で辛いものです。
が、一緒に考える仲間は大勢いていいはずです。
もし一体感溢れる経営を望むなら、
ぜひ管理職あるいは現場の社員を巻き込んだ
プロジェクトを施行してみてはいかがでしょうか。