vol.414『職場のコミュニケーション不足を解消するには?』

V字研メルマガ

 1回3分「ヘコタレをチカラに」 vol.414

          by V字経営研究所 代表 酒井英之

 

『職場のコミュニケーション不足を解消するには?』

 

職場には様々な問題があります。
「その発生原因は何か?」を突きつめていくと、
どんな職場でも必ず出てくる答えがあります。
「コミュニケーション不足」です。

 

上司の指示が伝わっていない…
現場で発生している問題が放置されている…
相談を持ちかけても誰も助けてくれない…
問題の解決策を話し合う機会がない…

 

職場の問題の8割はコミュニケーションが原因です。
逆に言えば、それさえ解消すれば生産性は上がるのです。

 

そこで、そのコミュニケーション不足を解消しようと、
ある会社ですこし変わった階層別研修を企画しました。

 

階層別研修というと、一般的には課長は課長、係長は係長、
主任は主任、業務責任者は業務責任者というように
同じ階層の人だけが集まって学習します。
そして課長なら「課長の役割は何か?」を学びます。

 

ところが、弊社が今、お手伝いしている
階層別研修はちょっと違います。

 

課長ばかりを集めて課長研修をやっても、
職場のコミュニケーション不足は解消しません。

 

そこで次のような工夫をしました。
毎回、二つの階層を同時に集めて研修します。

 

最初は課長と係長を集めて研修します。
次に「課長+主任」、その次は「課長+業務責任者」、
その次は「係長+業務責任者」、
以降「係長+主任」、「主任+業務責任者」…
そういう組み合わせで集まります。
つまり、二階層別研修なのでです。

 

人数は各階層10人ずつ。したがって毎回20人が
この二階層別研修に参加します。

 

次にその研修の中身ですが、
午前中と午後でやることが違います。
午前中はブレイクアウトセッションの後、
二つの階層がそれぞれ違う部屋に入ります。

 

例えば課長と業務責任者の場合は、課長は課長で10人、
業務責任者は業務責任者ばかりで10人集まります。
そしてファシリテータの誘導で以下のテーマで話し合います。

 

<課長の部屋>
「課長として、業務責任者に感謝していることは?」
「課長として、業務責任者に期待していることは?」
それをホワイトボード一杯にどんどん書いていきます。

 

<業務責任者の部屋>
「業務責任者として、課長に感謝していることは?」
「業務責任者として、課長に期待していることは?」
同じようにホワイトボード一杯にどんどん書いていきます。

 

90分ほどで意見が出尽くしたら、
大きな部屋に全員が集まり、白板の内容をシェアします。

 

そして課長は業務責任者が日頃自分の何に感謝しているのか、
そして自分にどんな期待と思っているのかを確認します。
業務責任者も同じように課長からの感謝と期待を確認します。

 

以下はこの会社で出された主だった意見です。
<課長から業務責任者感謝していること>
・「これやっておきますか?」と声をかけてくるのが大変嬉しいです。
・「誰の仕事でもない仕事」に気づいてやってくれています。
・いつも周りに気を配って、一般社員の聴き役になってくれています。

 

<課長から業務責任者に期待していること>
・結論から要点をまとめて伝えると助かります
・特定の誰かしかできないonly one 業務をなくしてほしい
・第二の自分を育ててほしい

 

<業務責任者から課長に期待していること>
・一緒に問題解決したいので大事なことを早く細かく伝えて欲しい
・売上を上げるため、業務と営業間のミーティングを月一回開催してほしい
・課長の仕事を部下に振って、全体を見る時間を作って欲しい

 

実際にはこの5倍ぐらいの意見が出されます。
こうした意見を見ると誰しも、
「こういうことができていなかったな。
次はちゃんとやらないといけないな」と
自分の課題に気づきます。

 

そのした気づきを一人一人が皆の前で発表します。
そして、自分の行動変容を約束します。
以上が、二階層別研修の午前中にやることです。

 

そして午後は、ここで出てきた問題のうち
課長と業務責任者とでよく話し合わないと
解決できない問題について、グループ討議します。

 

例えば、課長と業務責任者の研修では
課長からの要望として
「第二の自分を育ててほしい」がありました。
それをどうやって実現するのか、
あるグループではその方法を話し合いました。

 

また別のグループでは、業務責任者から出た要望である
「業務と営業間のミーティング」について話し合いました。

 

解決策が見えてきたら、それをアクションプランにまとめます。
これは、同じセクションの課長と業務責任者が一緒に作ります。
すると、研修終了後すぐに現場で
問題解決策を実行実践することができます。

 

この研修を7月にスタートしてかれこれ半年になりますが、
大変に効果が出ています。

 

特にこの会社の場合、
長時間労働と後輩育成が課題になっていました。
それが今、解決されつつあります。
この研修に参加された皆さんが、自分たちで問題を見つけ、
自分たちで解決しようと主体的に動いているからです。

 

職場の問題の8割はコミュニケーション不足が原因です。
それを解消するには、自分たちの現状と向き合い
当事者意識を持たせる機会を創ること。
そしてその解決策を話し合い、実践することです。

 

二階層別研修、
貴社でも取り組んでみてはいかがでしょうか?