vol.401『ジャニーズに学ぶピンチをチャンスに変える工夫』

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 1回3分「ヘコタレをチカラに」 vol.401

          by V字経営研究所 代表 酒井英之

 

『ジャニーズに学ぶピンチをチャンスに変える工夫』

 

コロナの影響によるGDP の落ち込みが発表されていますね。
そんな中、ピンチをチャンスに変えている会社も多数あります。

 

例えば、ジャニーズです。
ジャニーズといえばライブ会場で数万人コンサートを開く。
これが主な収入源です。
このコンサートが開けないので業績が厳しいかな?
と思っていたら、なんとオンラインコンサートをやっています。
そして、これが成功しているのです。

 

これまでのコンサートは、
まずチケットが取れませんでした。
運よく取れたとしても、移動が大変でした。

 

ところがオンラインコンサートでは、
移動の負担がなく、抽選というハードルがなく
申し込んだら確実にコンサートを見ることができます。
しかも申し込みさえすれば同じアーティストのコンサートを、
二度も三度も見ることができるのです。

 

例えばある、ジャニオタ(ジャニーズオタク)に聞いた話です。
彼女は A というグループのファンです。
Aはお盆休みに全部で5回コンサートを開きました。
コンサート内容は毎回同じです。

 

全てが生ライブですので、歌う歌は同じでも
メンバー同士のトーク部分が違ったり、
出演者の髪型が微妙に違ったりします。
そういうところを見るのが面白くて、
彼女は Aのコンサートお盆休みに5回全部観たといいます。

 

一回の視聴料金は1500円です。5回だと7500円。
これは本当のコンサート1回よりも高いです。
しかし交通費や宿泊費がかからないことを考えれば、
大変お得な金額と言います。

 


彼女によると、オンラインのコンサートの観客の3分の1は自分と同じヘビー級のファンだと推察しています。

そして残りの7割は一回の参加で満足する人です。

中途半端に3回見る人と4回見る人はまずいないだろう、ということでした。

 

全部で何人がこのオンラインコンサートを
視聴したかはわかりません。
が、距離の制約がなく、人数制限もなく、回数の制限もなく
観客を集めることができるオンラインのコンサートは
リアルのコンサートに比べて同等かそれ以上に
利益を生むことができるのではないかと思います。

 

こうした仕組みは、今までなかったのですから
まさにピンチをチャンスに変えた仕組みと言えるでしょう。

 

同じように、毎年この時期に名古屋で行われる
「日本ど真ん中祭り=通称ど祭り」も
ピンチをチャンスに変えました。

 

このお祭りは、よさこいソーラン系の祭りで
大学のサークルや市民団体が
踊りで自己表現する4日間のイベントです。
驚くべきはその参加するチーム数と観客動員数です。

 

チーム数は昨年実績で総計200チーム2万人。
観客動員数は4日間トータルで200万人です。
観客動員数ではよさこいソーラン系で全国1位です。

 

しかしながら、今回はリアルでの開催を見送りました。
そこで開催するのは「テレどまつり」です。
テレワーク+ど祭りということで、
参加チームは踊りを事前に録画します。

 

その踊りを YouTube とニコニコ動画で、
今日8月28~30日に配信します。
それを興味のある方見て人気投票し、
最後にチャンピオンを決める大会に変わったのです。
https://www.domatsuri.com/

 

このような企画に変えたところ、ある変化が起きました。
それは参加チーム数が300を超えたのです。
うち20チームは海外からも参加です。

 

これまで、どまつりで踊るためには決められた日に
名古屋に行く必要がありました。
その負担がなくなったら参加者チームは
1.5倍以上になったのです。

 

おそらく祭りのスタッフたちは、
コロナで三密を避けるように言われて
やりたいイベントが出来ないと一度は頭を抱えたことでしょう。

 

が、自分達の理念である
「にっぽんど真ん中祭りは、其々の地域文化に誇りの持てるコミュニティづくりを推進する」
「にっぽんど真ん中祭りは、人類共有の世界文化を目指す」
「にっぽんど真ん中祭りは、世界の地域文化が集い、誰もが創る全員参加型の祭りを目指す」
を実現するために何ができるかを考えたのでしょう。

 

ここには、これまでの祭りの大前提だった
「名古屋に集まる」「観客動員日本一」「リアルに開催」などの文字はひとつもありません。
つまり、こだわらなくてもよかったのです。

 

オンラインの開催でも、地域コミュニティの推進や
世界の地域文化の集いや、全員参加型の祭りはできる。
そう考えて作った仕組みが、テレどまつりなのです。

 

コロナの影響によるテレワークの到来で、
多くの会社に創意と工夫が求められます。
創意と工夫を生み出す力の源泉は、経営理念です。
理念に立ち返り、今、自分たちに何が出来るのか考える。
それが現状打開策を生み出す源です。

 

長寿企業の条件言及した書籍が多数あります。
どの書籍を読んでも長寿企業の条件の一丁目一番地は
「ぶれない理念やビジョンを持っていること」と書かれています。
100年続く企業は戦争や大恐慌などを乗り切ってきました。
それができたのは、いつの時代も理念に立ち返ることで、
ピンチの時にチャンスに変えることができたからです。

 

とまつりやジャニーズの創意工夫を見て、
是非自分たちにできることを考えてみましょう。
そしてその新しいやり方に、お客様がどんな反応するのか
それを楽しみにしましょう。