vol.379『コロナショックで起きる職場の変化』

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 1回3分「ヘコタレをチカラに」 vol.379

          by V字経営研究所 代表 酒井英之

 

『コロナショックで起きる職場の変化』

 

相変わらず猛威を奮うコロナ。
有効な対策のひとつが「集まらないこと」です。

 

その影響で、先日私が主催した勉強会も、
TV会議アプリのzoomを用いた
リモートワーク形式行いました。

 

参加したのは私も含め、全部で8人。
最初は不安がいっぱいでしたが、
参加メンバーの満足度も高く、終わってみたら
「なんだ。これでいいじゃん」と気がついたのです。

 

職種にもよりますが、
リモートワーク化すればわざわざ会わなくても
案外ものごとは進んで行くのです。

 

これまで、人は会うのが当たり前でした。
打ち合わせのために会議室にみんなが集まる。
出先機関の人が東京や大阪の本社に全員が集まる。

 

逆に、リモートで繋ぐのはレアなケースでした。

 

ところが今回、多くの人がオンライン会議の有効性を体感しました。
すると、「オンラインでやろうよ」が当たり前になります。
逆に「会うことがレア」になってきます。

 

「会うが当たり前で、中継がレア」から
「中継が当たり前で、会うことがレア」へ。
従来の常識の大逆転です。

 

ただ、この変化を、私たちはすでに既に
日常の消費行動で当たり前に感じています。

 

ほんの10年ほど前まで、
私たちは物を買う時はお店に行って
品物を見たり店員さんとお話したりして、
その上で選ぶのが当たり前でした。

 

ところがいつしか Amazon のように
ネットを通じて買うことがどんどん当たり前になり、
逆にお店に足を運ぶということがレアになりました。

 

今わざわざ店に行って物を買うのは、
その店に行かないと体験できない、
何か特別な理由がある時に限られます。

 

つまり店の立場としては、
わざわざ来ていただく理由を作らないと
お客さんが来てくれなくなっているのです。

 

同じことが会社でも起きるのではないかと思います。
リモートワークが当たり前になると、
「わざわざ会社に集まる理由」を作らないと、
社員は会社に行くことに疑問を感じるようになるでしょう。

 

では、社員が会社に来るには、どんな理由が必要なのでしょう?
「中継が当たり前で会うのがレア」という状態は、
例えばプロ野球やJリーグと私たちの関係も同じです。

 

普段は中継で野球を見ているけど、
たまにはスタジアムに行く。
そして他のファンと一体になって盛り上がる関係です。

 

かつてタイガースファンの友人から、
「大阪の人が他の在阪球団ではなく、
甲子園でタイガースを応援する理由」を
教えてくれたことがあります。
曰く「観戦ではなく、参戦したいから」。

 

タイガースは決して強くありません。
が、勝ち負けよりもファン同士で六甲おろしを歌い、
風船を飛ばし、ウエーブを起こし、ハイタッチする。
これらは甲子園に行かないと体験できない。
だから、わざわざ出かけていくのです。

 

つまり、わざわざ社員を集めるのであれば、
「会社はスタジアムだ!」と言い切るくらいの、
面白く楽しい場所にしなきゃいけないということです。

 

例えば私が行っている集合研修なども、
ただ知識付与のための研修だけだったら、
それはオンライン研修で十分でしょう。

 

が、わざわざ社員が集合研修に参加するのであれば、
リモートワークでは決して出来ない
「体験を通した気づき」や「一緒に学ぶ仲間と出会い」などの
メリットがないと、集合研修に参加する意味がなくなっていきます。

 

もう一つ会社のスタジアム化に欠かせないのは、
そこに集まった人が「一体感が感じられる場所」に
しないといけないということです。

 

一体感は、そこにいるメンバー同士が同じ体験をして
感情を共有するところから生まれます。

 

記憶に新しいところでは、
ラグビー日本代表の活躍です。
このとき、ラグビーの試合中継を見て、
日本中の人が次のように感じました。

 

「チームワークっていいなあ!」「いいですね!」
「ラグビーってすっごく面白いなあ!」「面白いね!」
「ラガーマンって、超かっこいいなあ!」「かっこいいね!」
など、同じものを観て感情を共有したからこそ
国中ONEチームになったように感じたのです。

 

リモートワークの時代は、
一人一人の存在がバラバラになっている時間が長いので
機会を設けてみんなで同じものを見て
感情を共有することはとても重要になります。

 

例えば、ある中小製造業では、社長が先生になって
社員みんなで同じ本を読んだり、同じDVD動画を見て、
それぞれ感想を共有する社内塾を毎月開催しています。

 

これによって社員は、
社長の考え方等を理解することができます。
またAさんはこう感じたが、
Bさんは別のシーンに感動したなど、
人によって様々な受けとめ方があるんだと、
それぞれの個性を理解することができます。

 

昨年のラグビー日本代表は全部で5試合戦いましたが、
何度も観るからこそ一体感が高まりました。
学習も同じです。こうした社内塾も一度切りではなく
何度も回を重ねていくうちに、
だんだんと一体感が高まってきます。

 

リモートワークの進展によって
会社がスタジアム化していく時代には、
社長による社員のための社内塾が盛んになるでしょう。

 

終息が見えないコロナ禍の中、
様々な変化が起きると思いますが、
ピンチのときに自分に気づきをくれる魔法の言葉
「これは何のチャンスかな?」と考えて、
変化を楽しんでいきましょう!