vol.370『リーダーが知っておきたい一体感を高める声掛けのタイミングと方法は?』

2020/01/10

V字研メルマガ

 1回3分「ヘコタレをチカラに」vol.370

 by V字経営研究所 代表 酒井英之

『リーダーが知っておきたい
一体感を高める声掛けのタイミングと方法は?』

 

新年あけましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いします
2020年になり、これからは新たに2020年代という、
新しい10年が始まります。
皆さんは良いスタートが切れましたか?

 

その10年が日産の元会長の逃亡とか
アメリカとイランの報復とか、不穏な空気で始まりました。
私達がリーダーだと思っていた人たちの行動が、
私利私欲ばかりで暗澹たる気持ちになります。

 

そんな中、このメルマガの読者から
リーダーシップについて、次のような質問をいただきました。

 

 「チームの一体感が増すような声掛けや、
士気が向上するような声掛けは、
どのようなタイミングでどのような方法で行うと効果的でしょうか?
ご教示いただければ幸いです」

 

大変良い質問だと思います。
同時にこの問いに対するアンサーを、
年末に報道された日テレの特番
『ラグビー日本代表の軌跡 ビクトリーロード』の
中で見つけました。そこから引用してお答えします。

 

人はぶれます。特に、ゴールを目指しているつもりが、
目の前のやり方や方法論にとらわれて、
「もうちょっと楽をしたい」「もっと儲けたい」
なんて気持ちが湧いてきたら、そこから狂い始めます。

 

「楽」とか「儲け」はイメージがしやすく、
美味しい蜜の味がします。
そっちの方へぶれてしまうのです。

 

ラグビーの日本代表チームの稲垣選手は、
「苦しい練習を続けるうちに、
チームのメンバーのどんな点が変化して来ましたか?」
という質問に、次のように答えていました。

 

「一人ひとりのリーダーシップが変わりました。
それぞれがリーダーシップを発揮して
周囲を支えるようになりました」。

 

厳しい練習が続くと、通常は嫌気が差します。
「なんでこんなにもやんなきゃいけないんだ。馬鹿らしい」と
投げやりになる人が続出します。
「やっても答えが出ないじゃないか。
こんな練習に意味があるのか!」と
自暴自棄になる人もいるかもしれません。

 

しかし、ラグビーの日本代表チームのメンバーは、
そうやって追い込まれても、自分を見失う人は出ませんでした。
それどころか「俺も苦しいけどみんなも苦しいはずだ。
みんなのために俺に今できることは何なのか?」と、
一人ひとりが考えるようになった。
これが、稲垣選手の言う「リーダーシップが変わりました」です。

 

ここで注意したいのは、
リーダーシップは特定の一人のリーダーが持っているのではなく、
一人ひとりが自分の中に持っているということです。
そして、一人ひとりが仲間のために何ができるかを考えたのです。

 

では、なぜそれができたのでしょう?
それは、誰一人としてゴール(目標)を見失わなかったからです。

 

ラグビー日本代表のゴールは、
「日本のラグビーの歴史を変える」です。ベスト8進出です。
そこを見失わなかったからこそ、
「今の苦しさが目標達成に繋がる」を信じ続け、
地獄と呼ばれた練習を耐え抜くことができたのです。

 

小さなプロジェクトでも同じです。
目標を見失わずにいれば、
みんなの力を一つに合わせることができます。
綱引きで力が発揮できるのは、
みんなが同じ方向に向けて力を合わせるからです。

 ご質問の「一体感を増す声がけ」が必要なタイミニグは、
皆が一番苦しさを感じている時です。
声がけでブチ切れずに済みます。
一人ひとりが冷静さを取り戻します。

 

もうひとつ、声がけではありませんが歌も効果的です。
ラグビー日本代表は、苦しい時ほどポジティブな歌
「ビクトリーロード」を歌っていました。

 

https://www.huffingtonpost.jp/entry/oneteamvictoryroad_jp_5daab9f2e4b08cfcc31bb6a3

 

皆で歌を歌うと元気になりますよね。自分を自分で鼓舞することができるし、
サザンの名曲「yaya~あの時を忘れない」の歌詞のように、
それだけでお互いに分かり合うこともできます。
歌は、苦しい時こそ有効です。

 

3月決算の各社は、景気後退局面の中、
ここからが一番苦しい時期です。
まさに、一体感を高める声がけが必要なときです。

 

2020年代に良いスタートを切る意味でも、
是非お互いに声を掛け合って、
一体感を高めて納得の行く成果を出し続けていきましょう。