vol.357 『勝ちグセの組織、負けグセの組織』

2019/9/18

V字研メルマガ

1回3分「ヘコタレをチカラに」vol.357
by V字経営研究所 代表 酒井英之

コラム『勝ちグセの組織、負けグセの組織』

プロ野球も大詰めですね。

私は岐阜に住んでいるのでドラゴンズファンなのですが、
今年もドラゴンズは下位に沈んでいます。
2013年以降、4・4・5・6・5・5位で、
今年もほぼ5位が確定しています。

地元のドラゴンズファンに聴きますと、
今年の優勝は4月の時点で諦めていたとのこと。
また、来年の優勝はあると思いますか?
と聴いたところ、「無理でしょう」。

選手本人はどうかはわかりませんが、
負けが続くと人は「どうせだめだろう」と
すぐに諦めるグセがつきます。
これを「負けグセ」といいます。

今のドラゴンズファンは、長年の低迷で
すっかり負けグセがついてしまっています。
根尾君が一人入団したところで、
結果が出ていない限りそれは変わりません。

一方、カープファンに「今年はどうですか?」と尋ねると、
「優勝は無理でもクライマックスシリーズで
ひっくり返す」と言います。
また、ベイスターズファンに尋ねても、同じ答えです。

カープは直近3連覇した球団です。
ベイスターズは、2年前にクライマックスシリーズを制し、
日本シリーズで、ソフトバンクと互角に渡り合いました。
その実績がファンに「まだまだいける」と
未来を信じる根拠になっているのです。
これが、「勝ちグセ」がついた姿です。

これを経営に置きかますと、
負けグセの組織は、目標達成を早い段階で諦めてしまう。
一方、勝ちグセの組織は、最後まで目標達成に向け
諦めず試行錯誤を続けることになります。

経営者としては当然後者が理想です。
ゆえに組織を率いるマネージャは、
何が何でも目標達成を目指さないといけないのです。

といっても「いきなり優勝!」を目指すと
飛躍がありすぎて、誰もついていけないケースがあります。
ドラゴンズの黄金時代を築いた落合監督は
2003年の就任直後に「補強しないで、
現戦力だけで十分優勝できます」と語り、
2004年に言葉通り優勝しました。

2001年と02年のドラゴンズの成績は3位・2位です。
選手は「自分たちでも優勝できる」と、
手応えを感じていたのでしょう。
そこに、優勝を宣言する監督が来たので
大いに燃えたのです。

このように「徐々に強くなる」ことが、
組織に「自分たちはできる」という自信と
「次こそは目標達成できる」という予感を生み出します。

今の状態からやや高いレベルの水準を目指し
達成すること。そして次にさらに高いレベルを目指して
それも達成すること。
ステップ・バイ・ステップで成長し、
確かな手応えを感じることが
負けグセチームを勝ちグセチームに導くのです。

なお、ここに記した「やや高い水準」のことを
ストレッチゴールと言います。
「伸びをすれば届く」水準という意味です。
一般的には、対前年比120%ほどです。

ただしこれを長時間労働で達成しようとしてはいけません。
それだと疲弊感が強くなり、真の自信にはなりません。
従来の仕事のやり方を見直し、
新しいやり方で達成することが、組織の自信に繋がります。

あなたの組織は勝ちグセチームでしょうか?
それとも負けグセチームでしょうか?

このチームは負けグセだな、と感じたら
小さな一勝でいい。とにかく勝たせて、
リーダーがそれを自分のことのように喜んで
自信を持たせないといけません。
ステップ・バイ・ステップで
是非、勝ちグセがつくように導いていきましょう。