vol.522「衝撃!日本の競争力。世界63カ国中何位でしょう?」

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 1回3分「ヘコタレをチカラに」 vol.522

          by V字経営研究所 代表 酒井英之

 

「衝撃!日本の競争力。世界63カ国中何位でしょう?」

 

円相場が下落していますね。
昨日の時点で150円を今にも割り込みそうな水準です。

 

海外旅行者は渡航先の物価の高さに驚いています。
逆に訪日外国人たちは、物価の安さに驚いています。
銀座のエルメスは、開店前から長蛇の列です。

 

海外でのワーキングホリデーを希望する
日本の若者が増えています。
一方、東南アジアから実習生たちが、
今後日本を実習先に選んでくるか、危ぶまれています。

 

円の弱さは、わが国の競争力の弱さが原因です。
そこで、IMD(国際経営開発研究所)が発行した
「世界競争力年鑑2022」での
日本の競争力を見てみましょう。
https://www.mri.co.jp/knowledge/insight/20220927_2.html

 

これによると、日本の競争力総合順位は
世界63か国中34位です。

 

1989~1991年は1位でした。
それが失われた30年間に徐々に下降し、
2018年以降は30位台で低迷しています。

 

この競争力は大きな4つの柱で評価されます。
4つの柱とは、「経済状況」「 政府の効率性」
「ビジネス効率性」「インフラ」です。

 

このうち、最も低いのが「ビジネス効率性」です。
さらに詳しく見ていくと
その中でも特に低く評価されているのが
「経営プラクティス」です。
これが63カ国中63位で、なんと最下位!!です。

 

「経営プラクティス」について、
三菱総研は以下のように解説しています。

 

「企業の意思決定の迅速性、
変化する市場への認識、
機会と脅威への素早い対応、
ビッグデータ分析の意思決定への活用、
起業家精神の5項目で最下位(63位)となった」
https://www.mri.co.jp/knowledge/insight/20221003.html

 

なんと、わが国の経営者のマネジメント能力が
世界各国と比較して最下位だというのです。
とても残念なことですね……。

 

上記の指摘をひと言でいえば
「スピードが遅い」でしょう。

 

中でも、変化を察知し「問題を認識する」までの時間、
「何を変えるべきか」課題を特定するまでの時間、
「よしやろう!」と意思決定までにかかる時間。

 

それらをトータルした「取り掛かるまでの時間」が
世界一「グズでのろまな亀」だというのです。

 

なぜそうなのか。
「最初から完璧なシナリオを描き、その通りにやろうとする」
「失敗を恐れて慎重になり、様子を見ることを選択する」
「縦割り組織で、誰もそれを自分の仕事だと認識しない」
「自分が突出するより、横並びを意識し、安心する」
「環境変化に疎く、このままで良いと考える島国根性」
などの国民性に原因があると思います。

 

これに対し、ジョブズもマスクも
「失敗を恐れず、まずやってみる」が信条です。

 

かつてトヨタとテスラが業務提携をしていたことがあります。
2010年から2016年までです。
これは、テスラがトヨタ生産方式を
学ぶためだったと言われています。

 

が、業務提携は解消しました。
その理由のひとつが「時間軸のズレ」だと言われています。

 

「やってみる。やってみてから考える」が信条のテスラ。
それが、トヨタの慎重な「ちゃんとやりたい」姿勢と
相容れなかったと言われています。

 

この提携は、現在、復活しました。
ただし、今回は「トヨタがテスラに学ぶため」と
言われています。

 

立場逆転、と報道されていますが、
良いものに学び取り入れていく
トヨタの姿勢も素晴らしいと思います。
https://www.nikkei.com/telling/DGXZTS00005640R00C23A7000000/

 

ユニクロの柳井社長も
「まずやってみる。やってみてから考える」を
実践して成功した人です。

 

誰よりも早くトライして、誰よりも早く失敗する。
早く失敗するから、誰よりも早く良いものが出せる。
それがユニクロの商法の神髄だというのです。
この発想はジョブズやマスクと同じです。

 

では、私たち中小企業経営者は
どうしたら、彼らのように迅速な意思決定が
できるようになるのでしょうか?
ここでは2つの方法を紹介します。

 

第一は、経営者が意思決定の場数を踏むことです。
意思決定力は場数を踏むことでしか身に着きません。
スポーツの練習と同じで
「これはいけそうだ」「これはダメ」という感覚は
成功体験、失敗体験など体で覚えるものです。

 

ブルース・リーは「考えるな、感じろ」と
映画の中で弟子に教えていましたが、
上手くいくか否かの肌感覚は、
「量稽古」で磨かれてくるのです。

 

そのため、経営者になる人(特に後継者)は、
若いうちは地方の支店や子会社に出向し、
責任者を務めるといいでしょう。

 

小さな組織では、一人何役も経験しないといけません。
その中で「新市場開拓」「新工場の立ち上げ」
「赤字の黒字化」「新事業の立ち上げ」など難易度の高い
ミッションに取り組めば、それはもう意思決定の連続です。

 

逆に経営企画部門のような
本社のど真ん中で上にお伺いばかり立てていては
資料をつくる官僚仕事ばかりが上手になるばかり。
意思決定に必要な感性が磨かれません。

 

創業者は、創業から今に至るまで
意思決定の連続だっただから、素早い決断ができるのです。
同じ経験をするには、小さな組織を率い、
そこを大きくする立場を経験するのが一番です。

 

第二は、論理的思考法を学ぶことです。
星野リゾートの星野社長は、
「決めるのは社長ではなく社員だ」と語っています。
その方が取り組む段階で、
社員のモチベーションが高くなるからです。

 

このやり方に、ある記者が「それで大丈夫なのですか?」と
質問しました。すると星野社長は次のように答えました。

 

「どのような結論であろうと、
そこに至る思考プロセスがロジカルであれば、
その結論は正しいと考えます。
私は、結論より思考プロセスを見るのです」

 

社員が考えた企画案を、
自分が身に着けた、論理的思考法でチェックし、
問題がなければ早く取り掛かることができます。

 

翌日配達から即日配達が好まれるように、
スピードにより多くの対価が支払われる時代です。

 

自分の会社の付加価値は、
自分の意思決定の速さから生まれる。
そう信じて、今すぐやることを決めましょう。