vol.422『小さな会社の社長の実体験!ビジョナリー経営の魅力とは』

V字研メルマガ

 1回3分「ヘコタレをチカラに」 vol.422

          by V字経営研究所 代表 酒井英之

 

『小さな会社の社長の実体験!ビジョナリー経営の魅力とは』

 

経営に本当にビジョンが必要なのですか…?
経営者から、よく聞く質問です。

 

ましてや今はコロナ禍。不確定要素が多すぎて、
未来を見ようとしても、
濃い霧の中にいるようで半歩先も見えない時代。

 

見えない時代だから考えるだけ無駄なのか…
それとも見えないからこそ見ようとするべきなのか…?

 

この謎を解き明かそうと、去る2月25日、
実際にコロナ禍に社員を巻き込んで創った社長をお招きし、
ビジョンを創られて経営がどう変わったか?
公開セミナーの中でインタビューさせていただきました。

 

ご登壇頂いたのは、名古屋市中川区の
(株)近藤印刷の3代目・近藤起久子社長。

 

社員数20人の小さな印刷会社ですが、
紙への印刷のほかクリアファイルや栞の印刷など
プロモーショングッズ系の印刷物の制作が得意な会社です。
http://www.noah-digital.co.jp/

 

 

以下はそのときのインタビューの再現です。
(●=酒井の問いです)。

********ここからインタビュー*******

●まず、どんなビジョンを開発されたのか教えてください。

 

2025年に「自由な働き方のエシカル工房」という
ビジョンを定めました。
エシカルとは「倫理的な、良識的な」という意味です。

 

私たち印刷業はチラシやカタログなど
「とりあえずもらっておきます」のような、
あまり社会のお役に立たない、
ゴミをつくっているのでは…と思うことが度々ありました。

 

そうではなく、本当に社会の役に立つものを
つくる会社になりたい。
そんな想いを「エシカル」に込めました。

自由な働き方とは、今テレワーク化が進めているのですが、
25年には事業の80%をオンライン化したいと思っています。

 

 

●素敵なビジョンですね。
ビジョンを創られてから社内は変わりましたか?

 

随分変わりました。商品開発をするときも
「それってエシカルなの?」
「それにエシカルなスパイスは加えられない?」
と、お互いが確認するようになりました。

 

人を採用するときも
「ビジョンに沿ったスキルを持った人か」を
よく考えて採用するようしています。

 

何事もビジョンを判断軸にして決めるので
社内から反対意見が出なくなり、
皆の意思が固まりやすくなったと感じています。

 

 

●皆で創った効果が出ていますね。

 

自分も含めリーダークラス7名で創りました。
選んだ社員の中には今まで、あまり話さず
何を考えているかわからない人もいました。

 

しかし、そうした人も議論を重ねるうちに
とても前向きな人なのだとわかりました。

 

「この人も賛成してくれているのだ」と
安心して意思決定できるようになりました。
社長としてはそれが大きいですね。

 

役員の副社長と常務もオブザーバで入ってくれたので
安心感は大きいです。

 

 

●なぜコロナ禍にビジョンを開発されたのですか?

 

昨年の緊急事態宣言の頃は、前年比25%ダウン。
工場も休業しました。

が、コロナに絶対負けたくありませんでした。


緊急事態宣言下では時間だけはあったので
新しい道をすごく探しました。


そこでメルマガで知っていた酒井先生に依頼しました。

 

 

●私が出した企画書を見とき、どう感じましたか?

 

ああ、これはムリだと思いました。
アイデアがそんなに出るかなあ?と不安でした。

 

事前調査で社員インタビューやお客様インタビューをするでしょ。
どんな言葉が出てくるのか、それも凄く不安でした。
でも、恐れるほどのことは何も出ませんでした(笑)

 

事前調査ですごく良かったのは先代へのインタビューです。
創業者であり89歳になる父親が
合計4時間もじっくり話をしてくれました!
父もすごく頑張ってきたことがよくわかって、
すごく楽しい時間でした。

 

 

●ビジョン開発のメンバー選定の基準は?

 

各部の部長と一番の若手。それと無役だけど成長株の社員です。
また、これからのビジョンにはSDGsが欠かせないと考え、
SDGsに関心を持っている社員にも参加してもらいました。

 

 

●成長した人はいますか?

 

皆、成長しました。
特に成長株の人や一番若い社員が成長しました。
日常でも堂々と発言するようになったし、
皆が彼らの意見を素直に聴くようになりました。

 

 

●同席していただいている営業部長に質問します。
ビジョンができてから何か変わりましたか?

 

役割分担が明確なので、みな自分から取り組んでいます。
ただ、創った時に比べてだんだん熱量が落ちてくるので
それを維持するのは管理職の責任かなと思います。

 

一人ひとり何をやるかはもう決まっているので
やり方だけ確認すればいいので、
決済などに時間がかからなくていいですね。

 

 

●これからビジョン開発に取り組む人へメッセージをお願いします

 

ビジョンが明確だと常に安心感があります。
設備を検討するときも、
ビジョンに沿っているかどうかを考えるようになりました。
またそのような基準で決めるので、
社員の納得感が強く社内もまとめやすいです。

 

ものづくり補助金や事業再構築補助金の申請時も
嘘や作文をせず、真正面から書くことができます。
取引銀行にもビジョンを描いたシートを配っています。

 

ビジョンは「北極星」だとよく言われますが、
自分の軸をまっすぐに立たせる「北極星」だと思います。
だから、ぜひ創られるといいでしょう。
200%お薦めします。

 

********インタビューはここまで*******

 

こうした近藤社長のインタビューに、
セミナーを受講された皆様からは、
印象に残った点として以下の感想をいただきました。

 

■近藤社長が作成されたビジョンを毎日見ていらっしゃって、
それが「やらなくては」という苦痛ではなく、
「わくわくして見てしまう!」と話していたところ


■会社ビジョンを嬉しそうに説明する近藤社長が印象的でした。
ビジョンが社員みんなのものになって羨ましい。


■自分たちで作ったという認識が現場への浸透につながること


■ビジョンを作る過程が、チームをまとめ事業の推進力になっていくところ


■スタッフ主導で進める。担当スケジュールを決めるところ


■近藤社長が自信を持ってビジョンの説明をされているところに
勇気が湧きました。自分も頑張りたいと思いました。


■近藤印刷が小規模企業でありながら
ビジョナリー経営をされている事に感銘を受けました。
3大方針が大きな目標ではあるが具体的に描かれていて良かったです。


■近藤社長が楽しそうに経営されているところ


■近藤社長様の笑顔が素敵でした


■みんなでビジョンを共有することの大切さがわかりました


■理念、ビジョン、スローガンと3大方針などの図は
なるほどと思いました。すっきりしますね


■5年後のビジョンが程よいというところは、安心しました。
5年後に再度ビジョンを構築する楽しみもありますしね。


■近藤社長と営業部長が同じ認識で動いていること


■近藤社長と営業部長が楽しそうに酒井さんの
セミナーの話をされていること

 

 

私にも、ぶれないビジョンを描くことの
素晴らしさを改めて近藤社長に教えていただきました。

 

社員を巻き飲んで皆が納得のいくビジョンを描くと
夢実現のための全社員経営になりますね。

 

流行からまる1年が経ち、
コロナはまだまだ収まる気配を見せません。

 

が、先が見えない今だからこそ、
見えない未来を自分の手で描くチャンスともいえます。
経営者の皆さんは、是非、社員の皆さんと
未来を語り合う機会を作ってくださいね。