vol.409『人を変える方法は3つしかない』

V字研メルマガ

 1回3分「ヘコタレをチカラに」 vol.409

          by V字経営研究所 代表 酒井英之

 

『人を変える方法は3つしかない』

 

元リッツカールトンの日本支社長の
高野登さんの講演を聞く機会がありました。

 

その中で高野さんは、
「人を変えるには、次の3つの方法しかない」と語りました。

 

1.時間の使い方を変える
2.付き合う人を変える
3.居場所を変える

 

聞きながら、「なるほど」と得心しました。
というのも、弊社にはコロナの影響を受けながらも
元気なクライアントが何社もあります。

 

そうしたクライアントに共通するのが、
この3つのいずれかに積極果敢に挑んでいるからです。
その事例を今回はご紹介しましょう。

 

1.時間の使い方を変える

 

ある製造業のクライアントは、
月曜日の朝一番から操業するのを止めて
最初の1時間をミーティングや教育の時間に変えました。

 

これまで月曜日の朝イチにトラブルが発生し
機械停止を余儀なくされたことがたびたびありました。
その原因のひとつに、休み明けで体が慣れていないことや、
集中力が散漫なことが上げられました。

 

そこで、月曜日の朝一を
「コアタイム=核となる時間」としました。
この時間は、慌てて機械を動かすのではなく、
日頃やりたくてもやれなかったミーティングや教育を
しっかりやろう。それから現場に出るようにしたのです。

 

すると驚きの変化が起きました。
以下は同社社長の言葉です。

 

「先週、製造現場のパトロールに行きました。
驚くほどに職場がきれいになっていました。
鋳造業ですから、どうしても汚れるのですが、
大切なことは仕事が終わった後に職場をきれいに掃除して、
翌朝やってくる人にクリーンな職場を渡せるかです。
私は、この朝の状態を、
スタッフのモチベーションのバロメータとしています。
それが、過去に経験したことないほど完璧なのです。
離職率も現場の離職ゼロを更新しています。
生産性は15%上昇しています。
最高のムードです。故障も異常もありますが、発見が早い。
素晴らしい成長ですね」

 

こうした変化が見られたのは
ミーティングの時間を確保できたことで
コミュニケーションが良くなり、
会社全体の雰囲気が変わったからでしょう。
これが時間の使い方を変える効果です。

 

2.付き合う人を変える

 

あなたの会社の営業マンは、
一つのクライアントを何人で担当していますか?

 

B to B 企業場合、1顧客につき担当者1人の営業体制が普通です。
しかし私のクライアントのある商社では、
今年は1顧客につき2人で担当するスタンスに変えました。

 

この2人は対等ではなく一人が主で、
もう一人がサポートする関係です。
主となるのは7年目以下の若手社員、
サポートするのはそれよりも年長の社員たちです。

 

この取り組みは、若手社員は成功体験を、
年長社員は部下育成をリアルに学ぶ研修の一環で、
私はこれをペア研と呼んでいます。

 

ペアとなった2人の所属は必ずしもチームとは限らず、
組織をまたいだ斜めの関係のペアもあります。
そんな2人は、よくこんな話をしています。

 

「会えないお客様とコンタクトをとるには?」
「お客様の課題が見えてきたね。一番の肝は?」
「この課題解決には、社内の誰の力を借りたらいいかな?」
「やっとつかんだプレゼンの機会。確実にものにするには?」
「小さなオーダーをゲットしたね。で、次は何を狙う?」

 

こうして話し合いによって担当者たちの行動力は上がり、
徐々に期待以上の成果が出つつあります。

 

それまで同社は直属の上司と若手社員という
狭い上下関係の中で仕事をしていました。
それがペア研の仕組みにより、同じ社内ではありながら
隣のチームの先輩や同僚から
アドバイスをもらうようになりました。

 

つまり、付き合う人を変が変わったのです。
このペア研のような仕組みが、
社内活性化の引き金になっているのです。

 

3.居場所を変える

 

Withコロナがはっきりした7月から、
私はある印刷業で「2025年ビジョンづくり」を
お手伝いさせていただきました。

 

社長の動機は
「売上げは前年割れが続いていますが、
これまでの前提が崩れて今から新しいことが始まります。
今まさに、自分たちのビジョンを自分たちで創りたいのです」。

 

以来4か月間、計7回の社内ミーティングを重ねて
同社のビジョン開発が終わりました。
現在はそれを基に来年の年度計画を作成しています。

 

策定に関わった社員たちは皆、
自分たちで開発したビジョンにワクワクししています。

 

なぜなら、同社の未来を象徴する
あるキーワードが見つかったからです。
全員でたどり着いた自分たち発信のキーワードです。

 

このキーワードを言葉にするたびに
「これからそこに向かっていくんだ」という
想いが溢れ、皆で熱くなれる、と社長は言います。

 

ビジョンがなかったほんの3ヶ月前は、
社員の誰もが「この先どうなるんだろう?」と
不安を抱えていました。

 

それが今、目指すビジョンまで続く
階段の入り口に立っています。
明らかに、会社が立っている
位置(居場所)が変わりました。
これによって社内のムードはすごく良くなったのです。

 

以上、高野さんに学んだ3つの変化をお伝えしました。

 

今のあなたの取組を振り返ってみましょう。
そして、この3つのいずれかを変える取組であれば、
きっと良い成果が起きる。
そう信じて続けてみましょう。