vol.373『外に出られない時こそローカルに注目しよう』



2020/01/31

V字研メルマガ

 1回3分「ヘコタレをチカラに」vol.373

 by V字経営研究所 代表 酒井英之

『外に出られない時こそローカルに注目しよう』

 

新型ウイルス恐ろしいですね。
私の住む岐阜はマスクが品薄です。

 

海外渡航の見直しを余儀なくされている方も
少なくないのではないかと思います。
私も、この3月にシンガポールに行く予定をしていましたが
現在、予定変更を思案しているところです。

 

渡航を延期するのは大変残念なことですが
逆にこの国のローカルに注目する良い機会かもしれません。

 

今年はオリンピックイヤーです。
都心では次から次へと新しいことが起きています。

 

一方地方には、地方ならではの人と人とのコミュニティ、
あるいはその町の文化や伝統をしっかりと
未来に繋いでいこうする取り組みが盛んです。

 

私のクライアントに、年に一度、
全社員を1泊2日で自分たちとは全く異業種の
企業見学ツアーに連れて行く会社があります。

 

私はそのコーディネーターをやっていて、
見学先の選定・コース設定をするのですが、
特段私のコネのある会社を訪ねているわけではありません。

 

一般向けに見学会を開いている会社を見つけて、
申し込んで、訪ね歩くのです。
直近では昨年11月に仙台を中心に1泊2日、
計4箇所の見学を行いました。

 

見学には、毎回テーマを設けています。
前回のテーマは「復興」です。

 

震災から7年。それゆえに震災の爪痕はわずかです。
が、そこから立ち上がってV 字回復どころか
V字アップを果たした企業や、
震災の怖さを後世に伝えようと頑張っている方々がいます。
そのあたりを見学しようというものです

 

参考までに、見学させていただいた4社は以下です。

 

・楽天生命パーク宮城
スタジアムツアーがあり、係の方が丁寧に
球場のスタンドや特別席、選手のロッカールーム、
ベンチやベンチ裏など案内してくれます。
https://www.rakuteneagles.jp/stadium/ballparktour.html

 

・木の屋石巻水産
震災により港にあった工場が壊滅。
その工場を内陸に移して再建しました。
同社の商品は石巻港で上がったサバを、
生のまま缶詰にするので大変美味しく、
特定のファンがついています。

 

震災当時、同社を復興しようと、
同社のファンの多い東京世田谷区の皆さんが
様々なボランティア活動して助けました。
そのような物語に映像で紹介してくれました。
https://www.kinoya.co.jp/story/index.html

 

・石巻市の震災語り部ツアー
震災を体験した七十歳越えの語り部さんが、
バスに乗り込んで3時間、私たちは案内してくれました。
通常では聞くことができない、
被災した学校を取り壊すのか震災遺構とするのかの議論や、
裁判の判決の裏側にある様々な市民の考え方、
感情などを丁寧に教えてくれました。
http://miyaumi.info/search/page51.html

 

・農業生産法人GRA
ミガキイチゴとして、新宿伊勢丹で6個6000円で
売られている高級いちごの温室栽培農場です。
宮城の山元町は元々いちごの産地。
が、津波で浜辺の温室が全壊。

 

そこに復興ボランティアに来ていたIT起業家が
絶望している地元の人たちと語り合ううちに、
これは何とかしなきゃいけないと立ち上がります。

 

そして、それまで職人技でやっていた栽培をデータ化し、
AIを組み合わせて自動化したAI農法に成功。
これにより上記の高級なミガキイチゴができ、
地場産業が復活しました。現在は他地域はもちろん、
海外にまでAI農法による温室栽培ノウハウを提供しています。
http://gra-inc.jp/index.html

 

上記4社は全てクライアントの皆さんにとって
初めて行くところでした。
しかし、大変多くのものを学んで帰ることができました。

 

大切なのは何を見るにせよ、
テーマを持って見るということです。
そして、ただ学ぶだけでなく、
そこにいる人たちと何らかの形で自分が関われないか。
そのチャンスを伺いながら出会うことです。

 

外に行きたくても行けない今こそ、
国内に目を向けるチャンス。
希望は案外近くにあるかもしれません。