vol.346『自分の考え方をアップデートしていますか?』

2019/06/13

V字研メルマガ 

 1回3分「ヘコタレをチカラに」vol.346

 by V字経営研究所 代表 酒井英之

コラム『自分の考え方をアップデートしていますか?』

今年の大河ドラマ「いだてん」。
皆さんはご覧になっていますか?

日本のオリンピック初参加から誘致までを描くドラマで
主に大正時代の出来事を描いています。

面白いドラマですが、視聴率は10パーセントに届かず、
低空飛行が続いています。

その原因について、私は以下のような「観たくないシーン」を
多く見せられることがあると思っています。

「ところ構わずタバコを吸い、吸い殻を捨てる」
「男性が女性はこういうものだと決めつけ差別する」
「仕事のために家庭を顧みない、説明もしない」
「芸のためなら、呑む・打つ・買う・何でも許される」
「勝利至上主義で、敗者を許さず追い詰める」

これらは私たちがここ数十年の間に
改めてきたわが国の古い価値観や習慣です。
それらがドラマの中で当たり前に描かれているのです。

これらの価値観は戦国や幕末ドラマでも描かれます。
が、まったく別次元の世界なので違和感はありません。
ところが、ほんの100年前、現代につながる話だと、
「嫌な世の中だ」と、違和感を覚えてしまうのです。

このことは企業経営でも同じではないかと思います。
ほんの少し前の考え方を企業が当たり前と考え、
社員に押し付けると、社員はもちろん
生活者誰もが違和感を覚え拒否反応を示すのです。

例えばコンビニエンスストアにおいて
人手不足の影響から深夜営業を辞めたいと言った
店主に対し、本部が許さない事件がありました。

深夜営業をやめると、深夜のデリバリー体制が崩れます。
そのため本部はあくまで24時間にこだわりましたが
現在見直しを余儀なくされています。

なぜなら出店者を募集しても集まらないからです。
コンビニの店長になりたいと思う人が
いなくなってしまったのです。

あるいは関西の老舗企業が育児休職をとった男性に対し
職場復帰後即転勤命令を出し、
それを不服に思った社員が退職をする事件がありました。

これは男性社員が育児休職を取ることへの
見せしめではないかとネット上で大炎上しました。
会社は「そのような意図はない」と弁明していますが、
この会社は採用面で大きなダメージを受けたことでしょう。

今の潮流は、社員ファーストです。
少子化、高齢社会の中で家族の絆が第一です。

それなのに
「お客様のために24時間日身を粉にして働け」
「家族のためではなく会社のために働け」などの
メッセージを発すれば、拒否されて当たり前です。

私のクライアントで、ある地方都市の社長は、
社員のAさんを東京に転勤させたいと考えましたが、見送りました。
なぜならAさんは今春、子供が関西の学校に通い始めたばかり。
そのタイミングでAさん東京に行けば
家族がバラバラになってしまいます。

そうした社員一人ひとりへの個別事情への配慮が
中小企業経営者の思いやりであり、人望をつくります。

炎上ニュースを見つけたら、
なぜ炎上しているのか確認しましょう。
そして、現状に対し自分の認識とのズレを見つけたら、
自分の考え方をアップデートするよう心がけましょう。