vol.350『酷暑対策は幹部社員が育つチャンス』 

V字研メルマガvol.350

1回3分「ヘコタレをチカラに」vol.350

by V字経営研究所 代表 酒井英之

『酷暑対策は幹部社員が育つチャンス』

暑い日が続いていますね。
今後気温はますます高くなると予想されます。
工場や建設、物流現場などで働いている社員には
十分な熱中症対策を施してくださいね。

昨年は記録的な猛暑でした。
そのため社員数200人のある製造業では、
通常は13時から15時までは無休憩なのですが、
14時から10分間の休憩を入れました。
そうしないと暑さで体が持たないからです。

また、会社からスポーツ飲料を
毎日ひとり一本、社員に支給しました。
水分と塩分を補給するためです。

このような配慮は、社員に大変歓迎されました。
よって熱中症が心配な職場では
ぜひ参考にして頂くと良いのですが、
同時にこれは幹部社員の思考力を鍛えるための
大変良い訓練になります。

と言いますのも、休憩を10分間増やし分、
そのまま終了の時間を10分間延長しますと、
それだけ残業時間が増えてしまうからです。

たかが10分、と思うかもしれません。
が、これが月20日間続くと200分。
2ヶ月で400分となります。
年間で決めた総残業時間をそれだけ使ってしまう訳です。
すると本当に残業して欲しい繁忙期に
社員にその分の残業をお願いできないリスクが発生します。

よって「業務延長は無し」で休憩しなければなりません。
つまり、1日8時間の勤務の場合は、
10/480=2%の生産性向上を実現しないと
従業員を暑さから守ることができないことになります。

スポーツ飲料毎日1本も、わずかな金額のように見えます。
が、一本150円として社員数200人へ毎日支給となりますと、
1日あたり3万円。40日では120万円になります。
やはりその分の生産性を上げないと
社員を暑さから守ることはできません。

この他にも扇風機を内蔵した作業着などを
採用する会社もあります。
これらもそれなりのコストが発生をするわけですから、
作業内容が今までと同じでいいわけではありません。
そのコストを回収できるよう、
生産性の向上を図らなければなりません。

それを考えるのは現場の社員の仕事ではありません。
社員が働きやすい環境を用意するのは幹部社員の仕事です。
休憩時間増や飲料支給等の会社の施策に感謝しながら、
それが当たり前にできる状況をどう作るか、
それを考えるのが幹部の仕事なのです。

社員ファーストの施策は、
それを継続する以上常に生産性向上を伴うものだ。
幹部はそう割り切って、
小さな創意工夫を重ね、乗り切っていきましょう。