vol.496「今年、希望に満ちている会社の共通点とは?」

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 1回3分「ヘコタレをチカラに」 vol.496

          by V字経営研究所 代表 酒井英之

 

「今年、希望に満ちている会社の共通点とは?」

 

新年あけましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いします。

 

さて、あなたは良いスタートが切れましたか?
今年は希望に満ちた年になりそうですか?

 

「未来は予測するものでない。創造するものである」
という有名な言葉があります。

 

当たり前のことですが、
今年がどんな年になるかは、すべて自分次第。
とりわけクライアントと話をしていて、
痛切に感じるのが「ビジョンの力」です。

 

ここ数年、社員を巻き込みながらビジョンをつくり、
その実現に挑み続けた会社は、
長引くコロナや物価高に苦しみながらも
例外なく希望に満ち溢れた新年を迎えています。

 

例えば、2019年にビジョンを作った会社は、
「社内で新事業として取り組んで成功した事業を
パッケージ化し、FCで全国展開する」
というビジョンを掲げました。

 

コロナ禍で思うようなスピードで展開できませんでしたが、
それでも徐々に加盟店を増やし、
今年はさらにエリアを広く展開する計画です。

 

当時作った同社の2025年ビジョンでは
実は新事業を3つ立ち上げる予定でした。
が、すでに残りの2事業からは撤退しました。

 

原因はコロナ禍と人手不足でした。
その分、可能性が最も高い新事業に
経営資源を集中しました。
それによって、今の「希望」が見えたのです。

 

ユニクロの柳井CEOは、自らの成功の秘訣を
「どこよりも早く失敗することだ」と語っています。
早く失敗すれば、そこから多くの気づきを得て、
それを活かせばどこよりも早く成功できるからです。

 

この会社の場合、失敗して改善したというよりも
失敗をすることによって、選択肢をひとつに絞り、
やるべきことに経営資源を集中したのです。

 

同社は今、コロナの第〇波がやってこようと、
世界のどこかで紛争が起ころうと、
「やりたいことは変わらない」の信念で突き進んでいます。
このような会社は希望に満ちています。

 

続いて、2020年のコロナ禍にビジョンを作った会社は、
「地球環境に優しく、かつ付加価値の高い商品を
提供する会社になる」というビジョンを掲げました。

 

が、設備投資には巨額の費用が必要です。
やりたいことは一杯あるが、資金のことが心配…
が、社長の本音でした。

 

ところが、ビジョンができた直後に経済産業省が
「事業再構築補助金制度」をスタートさせます。
当時、最大6000万円の補助金でした。
そのことを知った社長は、すぐに申請をしました。

 

するとそれが採択され、自分たちの望んだ新しい設備が
工場に設置されました。DXを導入したその工場は、
今、利益を稼ぐ原動力になっています。

 

この会社の社長は、
「先生、ビジョンってすごいですね。
ビジョンがなければこんなチャンスに気づくこともなく、
『どうしよう…どうしよう…』を繰り返す
経営者だったと思います。
それが、わが社にとってとても大きな未来投資ができました。
まさにビジョンがあるからできた決断です」と語ってくれました。

 

チャンスは誰の目の前にも平等に訪れます。
ただ、それに気付く人と気付かない人がいます。
気づいた人の中でも、実際に行動に移す人と
何もしない人がいます。

 

さらに行動に移した人の中でも
「『やっぱり自分は無理』とすぐに諦めてしまう人」と
改善を重ねて成果が出るまでやり切る人がいます。
行動力と実行力は違うのです。

 

この社長は社員を巻き込んだビジョンを作ることで
自分の中の秘めていた「実行力」を引き出したのです。
この社長を見ながら、人は、希望があるから実行し、
その実行力が「次の希望」を作るだと実感します。

 

さらに2021年にビジョンを作った会社は、
そのとき考えた新製品が、近い将来実用化され、
ブレイクしそうだと、全社員とてもワクワクしています。

 

同社のビジョンの三大方針の一つに
「SDGsに貢献する」があります。

 

同社は今、ある素材を使った製品を提供しています。
その素材は環境負荷が大きいと問題視されています。
代わる素材を使った製品を開発することで、
社会課題である環境負荷を減らせると考えたのです。

 

この商品は現在の製品よりも高価です。
が、同社には、この考え方に共感した大手企業から
「製品化できたら、ぜひわが社で採用したい」という
オファーがびっくりするほど多く寄せられています。

 

そのくらい、環境負荷軽減は切実な課題であり、
ビジネスチャンスなのです。

 

開発段階で多数のオファーがあるという事実に
ワクワクしない会社はないでしょう。
まさに、共感マーケティングが生んだ「希望」です。

 

そして2022年の3月にビジョンを作った会社は、
今、とても明るい雰囲気で新年を迎えました。

 

私は22年12月にフォローアップ研修を行ったのですが、
幹部と中間管理職の皆さんは自分の役割を理解し、
希望をもって仕事に取り組んでいます。

 

1年前、同社のミドル層は、
ビジョンがない会社に強い不満を抱き、
私のインタビューでは影口ばかり言っていました。
その不満はかなり強烈で「怖い」と感じたほどでした。

 

その事実を幹部たちにそのまま伝えたところ、
彼らは、それを正面から受け止めました。
そして、短期間のうちにミドル層を巻き込んだ
ビジョンを開発し、全社に示しました。

 

同時に全社員から集めた不満を見える化し、
満足度が高まるよう様々な改革を進めました。
その中で最も効果を発揮したのが
ワーキンググループでした。

 

これは、不満の一つである
「〇〇の仕組みがない」や「〇〇を改善してほしい」に対し、
幹部がそれに応えるのではなく、
社員が自分たちで語り合い実行する小集団活動です。

 

小集団活動は、自分たちの当事者意識を高めます。
これにより、ミドルの当事者意識がとても高くなりました。

 

それが功を奏し、夏以降、業績が急上昇します。
元々力のある人たちでしたが、
不満という重石がとれ、当事者意識を高まることで
驚くほど前向きな人達に変わったのです。

 

フォロー研修の後、私は
「この組織はもう大丈夫だ」と確信しました。

 

ここに記載した4社の事例は、
私のクライアントのほんの一例でしかありません。
が、ビジョン実現を目指す会社は、世の中の環境が変っても
足に根が生えたかのように「やりたいこと」はぶれません。

 

「何のために、誰のために」という目的を見失わず、
その目的に共感する仲間と前を向いていけば、
その時々にベストなやり方が見つかって、必ず道は開けます。
皆、そう信じているし、それ以外考えられないのです。

 

ビジョンが形骸化している会社は、
今一度あなたの「魂」を吹き込みましょう。
ビジョンのない会社は、ビジョンを開発しましょう。

 

今日は明日よりもずっと早いのです。
自分たちの希望を、自分たちで作り、
ビジョナリーな一年を楽しみましょう。