vol.473『社内の抵抗勢力を変革の担い手に変える方法とは?』

 V字研メルマガ

 1回3分「ヘコタレをチカラに」 vol.473

          by V字経営研究所 代表 酒井英之

 

『社内の抵抗勢力を変革の担い手に変える方法とは?』

 

前回「よくあるコンサルタントへの質問」と
その対応を紹介したところ、
たいへん多くの反響をいただきました。
そこで、今回もよくいただく質問に答えたいと思います

 

<質問>
「酒井先生のご経験から、お客様に企業変革の提案を行った時に
賛同してくれる方もいれば、
内心反対に思っている方もいると思います。
1人でも多くの共感を得る為の伝え方がありますでしょうか?」

 

この質問は、中小企業経営者からいただきました。
コンサルタントの仕事のやり方を、
自分のマネジメントの参考にする方は多いです。

 

新しい提案は、たとえ社長発信であっても
なかなか受け入れられません。
ましてコンサルタントが来て何かするのであれば、
「よそ者が何を言っているのだ」と反発されるのは必至です。

 

そこで、「確かに自分たちが変わらなきゃいけないな」と思う
同志を少しずつ増やしていきます。
「最初から全員に支持されるはずがない」という前提に立ち、
少しずつ、変革への賛成者を増やしていくのです。

 

そもそも人は「新しいことに取り組むぞ!」と言った途端に
A・B2通りの反応に分かれます。
パターンAは、「やってみたい!」と思う人です
パターンBは、「やりたくない!」と思う人です

 

パターンAの人は、「挑戦」が好きなのです。
パターンBの人は、「安心」を求めています。
そして、反発するのはパターンBの人です。
失敗したくないから、抵抗するのです。

 

このパターンBの人が「新しいことやってみよう」と思うのは、
「新しいことをやっても上手くいく」保証があるときです。
したがって変革の最初は、パターンBの人は置いておいて、
パターンAの人だけでプロジェクトをスタートします。

 

そして、パターンAの人だけで成果を出し、
それをパターンBの人たちに見て頂きます
それが良いものだと認められたら、
パターンBの人たちもそこから先は積極的に参加してくれます。

 

この時のパターンBの人たちの行動力はとても強く、
会社を変革する大きな原動力となります。
なぜなら、彼らの心にスイッチが入るからです。

 

人が物事を熱心にやろうと思う動機は、主に四つです
1.これをすると自分が快適になる、快適でいられる
2.これをすると自分が苦痛から解放される
3.これをすると仲間が快適になる、快適でいられる
4.これをすると仲間が苦痛から解放される

 

このうちどれが「今すぐやらなきゃいけない!」という
強い動機かといえば、それは「4番」です。

 

人間は、一人では生きてはいけないことを知っています。
そのため一緒に暮らす家族や一緒に働く仲間の
役に立ちたいという本能を持っています。

 

また、快適さの追求は我慢することができます。
コロナ禍で、海外旅行を我慢している人も多いと思います。
が、快適さの追求は先送りできます。

 

一方で、苦痛は我慢することができません
コロナ禍で余儀なくされているマスク生活から
一刻も早く解放されたいと願う人は多いでしょう。
苦痛からの開放は待ったなしなのです。

 

よって「今すぐしたい!」の動機が
最も強いのは4番です。

 

パターンBの人は新しいことに反発しますが、
これは、上記動機の「1番」に相当します。
反発すれば、失敗するリスクがなく、
自分が快適でいられるからです。

 

ところが、失敗するリスクがなく、
逆に「仲間の苦痛の開放に確実に繋がる」ことが分かると
パターンBの人の心の中で、4番のスイッチが入ります。

 

すると、それまで反発していたことが嘘のように
積極的に改革に取り組んでくれるようになるのです。

 

こうしたパターンBの人の心にスイッチが入るまで、
コンサルタントは、辛抱強く待つしかありません。
その引き金は「このやり方なら上手くいく」という実績です。
その実績を、パターンAの人を中心にアウトプットするのです。

 

では、パターンAの人がアウトプットするまで
かけられる時間はどのくらいでしょうか?

 

あまり時間がかかると、パターンBの人たちから
「ほら見たことか、できないじゃないか」と
見放されてしまいます。
それを避けるためには、早期に成果を出す必要があります。

 

その目安となるのは100日です。
英語ではこれを 「first one hundred days」と呼びます。
そこでコンサルタントは、とりかかってから100日目に
小さな成果がアウトプットされるよう、プログラムを組みます。

 

そしてアウトプットされたらそれを成果として
パターンBの人達に伝えるのです。

 

この時はコンサルタントが伝えるのではなく、
パターンAの人たちに自分たちがどのように取り組んだかを、
自分たちの言葉で語っていただきます。

 

あるいは社内に撮影班を作り、
パターンAの人たちが実際にどのように行動したかを
動画で伝えます。

 

その話や動画が楽しそうなものであれば、
パターンBの人たちでも「自分たちもやってみよう!」の
気持ちが強くなり、一気に動き始めます。

 

よって最初の質問に戻りますが、
「一人でも多くの共感を得るような伝え方」は
伝え方ではなく、小さなアウトプットを出すことです。
改革の可否は真にここにかかっています。

 

改革は、最初はとても小さな変化でも、
が、途中から導火線に火が点くように
一気に加速して起こるのが常です。

 

経営者が社内改革を進める場合は、
まずは挑戦が好きな人を人選しましょう。
そして、パターンBの人たちの心にスイッチが入る日を夢見て、
小さなアウトプットを出していきましょう。