vol.396『V字回復できる会社が登る3つの階段』

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 1回3分「ヘコタレをチカラに」 vol.396

          by V字経営研究所 代表 酒井英之

 

『V字回復できる会社が登る3つの階段』

 

非常事態宣言が解除されて1月半ほど経ちました。
ウィズコロナの時代をどうしよう……と
迷っていた時期は終わり、
各社この難局を乗り切る具体的な施策が
見えてきた段階にあるようです。

 

これは大きな玉を転がす時と同じ。
最初のひと押しに大変な力が必要ですが、
それを過ぎますとゴロゴロとスムーズに玉が動き出す。
今はその最初のひと押しを一生懸命やっているところでしょう。

 

今日はこの一押し時に最も大事なことをお伝えします。
私はV字回復を支援することが多いのですが、
この時クライアントには3STEPを踏んでいただきます。

 

第1STEPは「危機突破できる」という前例を
リーダーが示すことです。
V字回復時には、誰だって高い目標に
従来と違ったハードな作戦で挑みます。

 

すると、その目標や内容を聞いた社員の多くは
「そんなのできっこない」とネガティブになります。
これをポジティブに変えないといけません。

 

ポジティブな感情を抱かせるには、
V字回復できた事例を示すことです。
「あのときできたのだから、今回もできる」と語るのです。

 

その事例は、社内の事例であることが理想です。
自社に関することであれば、確信を得やすいからです。

 

昨年のラグビーW杯で、日本はベスト16に入りました。
彼らがそれまでハードな練習に耐えることができたのは、
2015年のW杯で、競合の南アフリカに
逆転勝利したことが大きいと思います。
あの事実が「俺たちだってできる」自信の源になったのです。

 

どの会社も危機を乗り越えた経験があると思います。
その事実を調べ、社内に眠る「雑草魂」を呼び覚ましましょう。

 

 

第2STEPは「自分たちはこれだけの準備をしてきたんだ」という
自負を社員に持たせることです。

 

V字回復を目指す時は、どん底の時です。
負け戦が続いて誰もが自信を失っています。
このような時に自信を持てと言っても、難しいでしょう。

 

そこで自分たちの過去を振り返り、
これだけの事をやってきたじゃないかと、
積み重ねてきたものに気付かせるのです。

 

どんな会社にも、他社以上に積み重ねてきたスキルがあるはずです。
そこに焦点を当てて、
「これだけの準備をしてきたんだから大丈夫だ」と
リーダーが語るのです。

 

もし作戦の遂行に十分な準備ができていないのだとしたら、
今から準備すればいいでしょう。
「この日までにこれだけの準備をしよう」と計画を立てます。
サッカーの本田圭佑選手の口癖である
「次の試合までに良い準備をする」というやつです。

 

準備が完了した時には、みんないい顔しています。
「さあ、これからだ」という希望に満ちた顔です。
リーダーは皆がしっかり準備してくれたことを喜び、
感謝し、そしてその状態で作戦を開始するのです。

 

 

第3STEPは、「良いスタートを切る」ことです。
これを英語では 「First 100 Days」と言います。
最初の100日で小さな成果を出せということです。

 

成果といっても完璧の成果ではなく、
「初戦を獲ったぞ!」で良いのです。
初戦を獲ると、社内に「この作戦は上手く行きそうだな!」という
予感が生まれます。この予感が社員のモチベーションを高め、
行動を一段とアグレッシブにします。

 

昨年のラグビーW杯であれだけ盛り上がったのは、
初戦でロシアに逆転勝ちしたことです。
その勢いに乗って第2戦で世界屈指の強豪アイルランド戦で
勝利を収めたことで、ボルテージは一気に上がりました。

 

逆に初戦を落としたとしたらどうだったでしょう?
「やっぱり日本はダメじゃん」と諦めムードが漂い、
多くの人はラグビーに関心など持たなかったでしょう。

 

ビジネスでも同じです。最初に成果が出ないと、
「やっぱりこの作戦、ダメじゃん」
「もっといい方法があるんじゃないのかな?」と
皆が作戦を放棄し、他ごとを始めてしまいかねません。

 

ゆえに最初の100日で小さな成果を出すことは、
V字回復の絶対条件なのです。

 

100日といえば、およその3ヶ月です。
緊急事態宣言が解除されたのが5月末です。
そこから数えると8月末から9月中旬辺りまでに、
社員が手応えを感じる小さな成果を出さないと
V字回復は遠のいていくでしょう。

 

以上が私のV字回復時のメソッドですが、
危機突破できるかどうかは
リーダーが率先垂範で行動するか否かにかかっています。