vol.392『ピンチをチャンスに変える会社の条件』

V字研メルマガ

 1回3分「ヘコタレをチカラに」 vol.392

          by V字経営研究所 代表 酒井英之

 

『ピンチをチャンスに変える会社の条件』

 

「甲子園は行くところではない。
呼んでもらうところだ」。

 

甲子園常連校の新潟明訓高校の監督の言葉です。
その意図は以下の通りです。

 

「甲子園に行けるのは、
野球の神様に認められた人だけ。
野球の神様は、人一倍熱心に練習し、
周囲への気配りができる球児だけを呼ぶ。

 

いくら野球のスキルが高くても
それだけで招待されることはない。
呼んでもらう場所だから、
そのために日々準備をする。
甲子園はその準備力が問われる場所だ」。

 

同じことを、イチローさんは次のように言っています。


「汚いグラブでプレイしていたら、
その練習は記憶には残りません。
手入れをしたグラブで練習をしたことは、
体に必ず残ります。記憶が体に残ってゆきます」

 

野球の神様の選択基準は
試合の結果でも、練習量でもなく、
そのための「準備力」にあるというのです。

 

「ピンチをチャンスに変える」とよく言います。
私は今回のような外部環境発のピンチを
チャンスに変えられるか否かは
「準備力」にかかっているように感じます。

 

今、世界が歴史的な不況を迎えています。
が、元々東京五輪が過ぎたら不況になると
誰もがわかっていました。

 

現に『日経ビジネス2019年12月23日号』では
「2020年大転換「五輪後」に起きる14の異変」
という特集を組んでいます。
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/00302/

 

ですから、五輪後に向け時間をかけて
準備をしていた会社には、チャンス到来なのです。

 

例えば設備投資です。
不況期は
・機械のメンテナンスや更新
・有能な人財の確保
・新工場の建設
など、将来のために金を使うタイミングです。

 

なぜなら、この時期は
設備メーカーの良い技術者が来てくれるからです。
他に買い手がいないから、
とても熱心に、親身になってくれます。

 

人財確保面でも同じです。
良い人財が行き場がなくて余っています。
そのような人たちを採用すれば、
彼らは「よくぞ自分を拾ってくれた」と、
感謝の気持ち一杯で働いてくれます。

 

特に今後は5Gと共にICTが加速します。
適応力のある若い人は奪い合いになるでしょう。
ところが彼らの中には今、内定取り消しや
学費が稼げず大学中退のピンチを迎えています。

 

一方でわが国がここ数年当てにしてきた
外国人の採用は、コロナ災害で止まっています。
こちらの復活はまだまだ先になるでしょう。

 

そう考えると、設備投資や人材採用は
不況の今こそチャンスなのです。

 

例えば、今年大きな設備投資を計画していた
食品製造業A社の社長は、
4月に今後の需要予測や資金調達など
慎重にシミュレーションしました。

 

そして今は「設備投資はやります。予定通り」と
力強く語っています。当然採用にも力を入れます。

 

地域密着サービスを営むB社は
2年前、多角化の一環でフランチャイズチェーンに加盟し、
契約金も支払って新サービスを起ち上げようとしました。

 

ところが、この2年間、何度募集をかけても
応募者が現れませんでした。

 

それが、この4月になって、
30代前半の青年が一気に2名も採用できました。
そしてこの7月、ついに新サービスがオープンします。

 

両社とも準備してきたことが着々と進んでいるのです。

 

では、「ノー準備」のまま今を迎えている会社は、
今、何をしたら良いのでしょうか?

 

まず、自分が今やろうとしていることが
不要不急のことなのか、よく考えてみましょう。

 

例えば、通販サイトの起ち上げ。
こちらは慎重に検討した方が良いかもしれません。

 

なぜなら、通販サイトの制作を請け負う会社は、
オーダー殺到でどこも手一杯。
丁寧な作り込みができるか疑問だからです。

 

それよりもこのメルマガで繰り返し
お伝えしているように、お客様から
「ありがとう」と感謝されていることを洗い出し
そこに集中しましょう。

 

これなら多くのキャッシュなくしてできるはずです。
そして、集中しているうちに、
必ず歩むべき道が見えてくるはずです。

 

球児たちが甲子園を夢見て準備するように、
今一度、ビジョンを思い出してみましょう。


ビジョンがない会社は、
お客様への気配りに集中しましょう。
きっとビジネスの神様が微笑んでくれるでしょう。