7月に開催したセミナーが好評だったため、
同じ内容のセミナーをアンコールします。
<若手社員の離職に悩む経営者へ>
高い費用をかけて採用し、一生懸命育て、
ようやく一人前になり「さあ、これからだ!」というときに
突然辞めてしまう若手社員。企業としては耐えられません。
辞めてしまう原因の一番は
給与水準でも休みの多さでもありません。
「上司との関係性」です。
そこを改善しないと、どれだけ採用しても
ザルで水を掬うように流出してしまいます。
では、経営者や幹部はどのような対策を講じればいいのか?
弊社クライアントの事例を交えてお伝えします。
詳細は下記をご覧ください。
9月21日(水) 15時30分~17時00分
V字研メルマガ
1回3分「ヘコタレをチカラに」 vol.478
by V字経営研究所 代表 酒井英之
『自分の中の違和感を大切にしよう』
中小企業にとっては代替わりが喫緊の課題ですね。
先日、9月に新社長に就任する後継者から、
これから1年間、社長として一人前になるまで
伴走してほしいというオファーをいただきました。
次世代リーダーの育成をミッションとする者として、
そのような機会に恵まれるのは身に余る光栄です。
では、事業承継とは一体何を承継するのでしょうか?
これはもう明らかです。経営理念です。
事業は時代とともに変わりゆくものです。
が、創業の精神や理念は普遍です。
トヨタ自動車の豊田家でも、創業時は自動織機の会社でした。
二代目の喜一郎さんが自動車事業を興し、
三代目の章一郎さんが住宅事業を興し、
四代目の章男さんが今、ウーブンシティを作っています。
幼虫がさなぎになり、成虫になるように、
代替わりとともにイノベーションが起き、
会社が成長発展するのは中小企業ならではの魅力です。
そうしたら羽化を繰り返しながらも、
変わらないのは創業の精神であり経営理念です。
後継者たちはその理念を受け継ぎながら、
お客様の役に立つビジネスを創造するのです。
先日、浜松のある中小企業の経営者の講演を聞いて、
私は腰が抜けるほどびっくりしました。
講師は学校法人爽青会の中野勘次郎理事長。
同社はルネサンスデザイン・美容専門学校と
専門学校ルネサンス・ペット・アカデミーを経営されています。
これらの専門学校では、多くのデザイナーや美容師、
動物看護師や動物園の飼育員等を育成、輩出しています。
https://www.rad.ac.jp/
https://www.rap.ac.jp/
その中野理事長は、ファミリービジネス(同族経営)の三代目です。
が、二代目とやっている事業がまるで違うのです。
自分が三代目になる時、二代目がやっていた事業を
スッパリやめて、上記の専門学校ゼロから興したのでした。
中野理事長は幼少の頃、創業者であるお爺さんに
随分可愛がられて育ったと言います。
そのお爺さんの口癖が、「実るほど頭を垂れる稲穂かな」
「現業で世のため人のために」でした。
これを毎日のように耳元で聴かされたと言います。
お爺さんは1916年、22歳で自転車の販売店を起業しました。
その後、四輪の自動車販売・整備業に進出し、
浜松では有名な自動車ディーラーとなりました。
この頃、おじいさんは自動車車検講習の校長も務めていました。
当時まだ車検のできる整備工場は少なかったので、
おじいさんが、多くの整備工に車検を教えていたのです。
中野さんは、日曜日になるとピカピカの靴を履いて
颯爽と講習に出かけていくおじいさんを
見送ったことを子供心に記憶しています。
この自動車販売業をお父さんが引き継ぎました。
同社は9営業所、6000台の販売・修理を行うまで成長。
二代目は創業者の教えに自分が学んだ
「お客様第一主義」を加えて、自らの理念としました。
が、同社は1988年、赤字に転落します。
赤字の原因は、苛烈な販売競争でした。
当時の自動車業界は、安く売って台数を稼ぎ、
メーカーからのバックマージンで
採算を合わせるビジネスモデルでした。
このビジネスモデルは、
創業者の「現業で世のため人のために」や
二代目の「お客様第一主義」と相容れないものでした。
バックマージンはメーカーのための制度であり、
決してお客様のための制度ではないのです。
中野さんは三代目を承継するにあたり、
このビジネスモデルに違和感を覚えました。
そして、調査会社に「このビジネスは黒字化するのはいつか?」を
調べてもらいました。そうしたところ、
「15年後には黒字になる」という結果が示されました。
とても15年も待てないと考えた中野さんは、
お父さんに「この事業は継げない。退社する」と伝えます。
するとお父さんは
「今までお前に継がせるために生きてきたのだ。
継がないというのなら本末転倒だ。
嫌なら次の家業はお前が見つけろ」と伝えました。
そこで中野さんは、自動車販売からの撤退を決意し、
9営業所の営業権を売却しました。
そして会計士から言われて強く共感した言葉
「人の喜びが自分の喜び」を胸に、新しい事業を探します。
事業の探索に3年を費やしましたが、
ついに胸がワクワクする事業と出会います。
それが上記の2つの専門学校の経営でした。
この間一貫して貫いてきたのは、
おじいさんの「実ほど頭を垂れる稲穂かな」
「現業で世のため人のために」とお父さんの「お客様第一主義」、
そして自分が共感した「人の喜びが自分の喜び」の考え方です。
表現はちょっとずつ違いますが、
言っていることは全て同じです。
この考え方を貫いてそれにワクワクするような事業を
時間をかけて探したからこそ、今の成功があるのです。
中野理事長が教育事業に胸がワクワクしたのは、
おじいさんが車検講習の校長だったことと無縁ではありません。
子供心に人を育成するおじいさんの生き方に憧れたからこそ
自分も教育の仕事に憧れたのではないかと思います。
このように、事業内容は変われども、
理念や創業の精神を受け継ぐことができれば、
ファミリービジネスは永続・発展していけるのです。
後継者は、中野理事長のように
自分の中にある「違和感」を大事にしましょう。
違和感は、「納得できない何か」から生まれます。
心に矛盾を抱えたまま走れば、後で必ず苦しくなります。
そうならないように、何に納得できないのか、
時間をかけてでも突き止めましょう。
コンサルタントやコーチングのコーチに相談すれば
彼らが自分の鏡になって、違和感の源が見つかるでしょう。
そして、それを取り除くことを考えてみましょう。
中野理事長はそのために自動車販売業から撤退しました。
だからこそ、自分が納得できる事業で成功できたのです。
あなたの会社の理念は何ですか?
そこに心から納得できていますか?
まずはそこを確認してみましょう。
V字研メルマガ
1回3分「ヘコタレをチカラに」 vol.477
by V字経営研究所 代表 酒井英之
『第7波来襲!これは何のチャンスかな?』
コロナ第7波の勢いが止まりません。
私がクライアントへ出かけて行き、
1日社長と一緒にいると、その間、社長のスマホに
社員から「陽性になりました」とのメールが、
何通も入ってきます。
ただ、そういう罹患者が出ても、
現在は昨年までのように慌てる経営者はいません。
どの職場でも、それをやむを得ないこととして受け入れ、
少ない人数で業務をどう回すか、
最善策を考える力がついているようです。
コロナ禍以降、変わった価値観の一つに、
「休みを取りたい」という人に、
どこまで会社が寛容になれるかがあります。
コロナ禍前は、「こんな繁忙期に休まれては困る」と考え、
働き方改革と言いながら、社員にとっては
休みが取り辛い環境が残っていました。
それを思えば、昨今の寛大さは劇的な変化です。
以前、見学させていただいた滋賀県湖南市にある
社員数80人の溶射加工の(株)シンコーメタリコンでは、
全社員に、必ず年に1回は7日間連続休暇を取得するよう、
義務付けています。
https://www.shinco-metalicon.co.jp/wlb/index.html
土日が休みであれば、5日間の有給休暇を前後にとれば、
7日連続休暇になります。同社ではこの制度を
「ドリームセブン」と名付けています。
ドリームセブンの採用上のインパクトは大きく、
現場仕事が大変きつい会社でありながら、
多くの入社希望者を集めています。
同社の立石社長はドリームセブンを実施することで、
社内の多能工化が進んだと言います。
誰かが7日間もいないとなると、
その仕事を誰かが代わらなくてはいけません。
そのため、休む予定の人が、代わりを務めてくれる人に、
仕事を教えることが必須になります。
全員がドリームセブンを取得しなければならないので、
自分が休む時は、誰かに自分の仕事教え、
誰かが休む時は、自分がその仕事を覚えて取り組みます。
こうしてマンツーマンで教え合う習慣が
自然と社内に発生します。
その結果、それまでなかなか進まなかった多能工化が
一気に進むのです。
多能工化はしたい。しかし、なかなか進まない…と
悩んでいる会社は少なくありません。
その原因は、動機付けにあると私は思います。
ほとんどの社員が、「今のままで充分。
ただでさえ忙しいのに、新しいことなどしたくない」と
思っています。そして
「何で多能工にならねばならないか」と反発します。
そこで、多能工化が自分にもメリットがあると
気づいてもらいます。
例えば「誰もが休みたいときに
休める体制にするためだよ」と伝えます。
また、教える側も「どうやって教えていいかわからない」と、
教えることへの不安を抱えています。
それを克服するためには、
教え方を学んでもらう必要があります。
このときお手本にすると良いのが自動車教習所です。
運転免許取得は大きく4段階に分かれ、
4段階目が仮免で実践のOJT指導、
3段回目の最後に実習と知識の試験があります。
その前の第1,第2段階では、座学と実践を交互に学びます。
そして、履修したら見極めのハンコをもらいます。
ハンコが増えていくとそれがやりがいになります。
このプログラムを真似します。
伝えたいスキル習得までのステップを段階的に分け、
最終段階を独り立ちの試運転期間とします。
その前段階で、知識と実践を交互に学ぶ機会をつくり
毎回評価して見極めのハンコを押し、成長を見える化します。
そうすると、教える側も教えらえる側も
自分が今、どの段階にいるのか、
次は何をクリアすればいいのかイメージを共有できるので
指導がスムーズに進みやすいのです。
休みが増える=多能工化のチャンスですが、
いきなり多能工化は無理、と思っている人には
「バディ制」導入のチャンスと考えてみましょう。
バディ制とは大事な顧客や仕入れ先、業務を
1人ではなく2人1組で担当する
ペア担当制度のことです。
映画『シン・ウルトラマン』の中で
主人公の斎藤工と長澤まさみがコンビを組みますが
映画の中では、お互いをバディと呼び合っています。
今はコンビと言わずに「バディ」と言うのです。
このバディ制を、私は多くのクライアントで
生産性が上がる方法として導入してきました。
そして、例外なく業績向上につながっています。
理由は、主に3つあります。
第1は、難しい課題に対して、2人で相談して対処できること。
第2は、1人が長期に休んでも、もう1人が出勤しているので、
業務に支障がなく、客先などに迷惑をかけないこと。
第3は、お互いを尊敬し、承認し合えることです。
つまり、1人で抱え込んであれこれ悩まずに、
安心しながら仕事できるのです。
マガジンハウス社のファッション専門誌『anan』が
最近「バディ特集」を組んでいます。
タイトルは「ふたりだから強くなれる」。
登場したのは千葉ロッテマリーンズの
佐々木朗希投手(20)と松川虎生捕手(19)。
完全試合を達成したときのバッテリーです。
若手の2人が偉業を達成したのは、バディ効果でしょう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d79dd630fc1e6684cabeeb692de997de3b63fbeb
また、神田昌典先生の近著
『未来実現マーケティング』の中でも
「なぜ二人組だと、成果が出るのか」が記されています。
「仕事が創造的になればなるほど、その解決策を
一人で見つけるのは難しくなっている」がその理由です。
第7波はますます広がりそうです。
現場のやりくりは大変ですが
このようなときこそ
「これは何のチャンスかな?」と、考えてみましょう。
そして、誰かが休んでも
誰かがそれをカバーできる体制=多能工化やバディ制の
導入を模索してみましょう。