V字研メルマガ
1回3分「ヘコタレをチカラに」 vol.444
by V字経営研究所 代表 酒井英之
「『〇〇があると、人はクリエイティブになる』の〇〇とは?」
緊急事態宣言が明けましたね。
これで飲食店をはじめ経済活動が
徐々に復活するといいですね!
コロナ禍で明るい未来を描きづらい毎日ですが、
こうした災害も受け止め方次第だと改めて思います。
仕事で度々、大阪・梅田のホテルに泊まります。
ホテル周辺には緊急事態宣言中にもかかわらず、
酒類を提供している居酒屋は多数存在しました。
店内には、コロナなどどこ吹く風で
楽しそうに飲んでいる若者、おじさんがいます。
以前と何も変わらない光景です。
が、仮に店主が「緊急時代宣言がでているのだから、
うちは酒類は提供しない!」と決めたらどうでしょう?
きっと新しいアイデアが次々と浮かんだのではないでしょうか。
例えば餃子の大阪王将は、
コロナ禍で餃子の持ち帰りニーズが高まると、
都心への出店をストップし、
郊外の駅前への出店に切り替えました。
同社内では、家に帰るときに降りる駅を
「帰着駅」と呼んでいます。
その帰着駅にこそ餃子のテイクアウトニーズが
あると気が付いたわけです。
昨年1年間で11店もの新店を出店。
予想を1.5倍も上回る業績で推移しました。
スシローはご存知のように、
巣籠もりニーズに対応した手巻き寿司セットで大当たり。
その後、セルフレジの普及など安全対策に力を入れています。
そのスシローも駅で持ち帰り寿司を販売しています。
こちらも帰宅客に好評です。
これらは、お客様のニーズの変化に対応した結果ですが、
こうした工夫をする前に店主が
「酒を出すなだと…そんな我慢できるか!!」と
切れてしまったらどうでしょう?
今日、お客様は来るでしょう。
売上も上がるでしょう。
しかし、業態は旧態依然としたままです。
「環境変化を受け容れない」選択は、
「自分で自分の進化を止めてしまう」のです。
酒類の提供ができないのなら
①売り方を変える
②売る相手を変える
③売る時間帯を変える
④売る場所を変える
⑤売り物を変える
など、選択肢は数多くあります。
上記の大阪王将やスシローの例は、
④売る場所を変えた例です。
話は変わりますが、6月から9月の4か月間、
私にとっては三度の飯よりも好きな
アユ釣りのシーズンでした。
私は川を独り占めしたいタチなので
釣り人やキャンパーの多い土日は釣行しません。
できるだけ平日に休みを取って川に入ります。
そして今年、有難いことに例年の2倍以上の日数も、
釣行することができました(拍手!)。
が、決して仕事が暇だったわけではありません。
理由は、弊社オリジナルの
「オンライン15分動画研修」のお陰です。
https://vjiken.com/online/index.html
コロナ禍までは、私は平日にお客様を訪ね、
社員さんに集まってもらい、研修講師を務めていました。
お客様は東は仙台から西は熊本まで点在。
2016年は総出張日数178日、ホテル宿泊は総計88。
移動距離、移動時間も相当なものでした。
が、コロナ禍以降は、幹部から社員まで、
1回15分のオンライン動画で学習できる
オンライン研修を利用されるお客様が増えています。
コロナ禍とはいえ、お客様も日々忙しく、
まとまった時間が取りにくい会社ばかりです。
そうした会社に、短時間で受講できる研修は
1日~半日を拘束される集合研修より都合が良いのです。
ただし、弊社のオンライン動画は、
ただ空いた時間に受講すればいい、
というわけではありません。
開発の発端はある中小企業経営者の
「外部研修を受けてもちっとも身に着かない」という嘆きでした。
プロとしてそれが悔しく、どうしたら研修で学んだことが
身に付くのかを考え抜きました。
そこで、誰もがオンライン動画研修を受講したら
その学びを実務にどう生かし、何に気づいたのか
2週間後に、必ず実践レポートを書いて
上司に提出していただくようにしました。
新人が受講生の時の上司は、主任や係長クラス、
幹部が受講生の時の上司は、役員や社長です。
上司は部下の実践レポートにコメントを書きます。
そのコメント付きのレポートが弊社に送られてきます。
講師はそこに自分のコメントを書き、受講生にお返しします。
受講生には、上司と講師のコメントが届きます。
これをWフィードバック・システムと呼んでいます。
このコメントがことのほか好評なのです。
受講生の中には、「決まりなので仕方なく」
実践レポートを出す人がいます。
が、そのような人に対しても
上司も私もホメ系のコメントを返します。
コメント力は上司には欠かせないスキルです。
そこで上司の皆さんには、
部下のモチベーションアップにつながる
フィードバックのやり方を事前に教えてあります。
これを何度か繰り返します。
すると、その人がだんだん前向きになってくるのがわかります。
そのことが受講生にとっても、上司にとっても、
成長が目に見えてわかり、とても愉しいのです。
Wフィードバック・システムは
「誰も取り残さない仕組みですね」とお客様に言われます。
まるでSDGsのような表現ですが、
そのせいか、このオンライン動画研修は昨春の上梓以来、
リピートオーダーが絶えません。
その肝となるコメント書きを、
私は、土日や早朝に自宅で行っています。
ゆえに平日の昼間、川でアユ釣りができるのです。
ほんの2年前には考えられなかった
こうした身に着く研修の仕組みができたのは、
コロナ禍の中でどうしたらお客様の役に立つことができるか、
考えて、売り物を創ったからです。
これは上記の「③売る時間帯を変える」
「④売る場所を変える」のひとつです。
コロナ禍ですから様々な業種において
「集まれない」「移動できない」など制約があると思います。
が、その制約あるからこそ、
人はクリエイティブになることができます。
環境変化は「どうにもならないこと」ではありません。
誰かに文句を言う前に、自分に出来ることを考えて、
工夫を重ねていきましょう。
なお、「オンライン15分動画研修」は
11月10日~13日のメッセナゴヤに出展します。
ブースにお気軽にお立ち寄りくださいね!
https://www.messenagoya.jp/
*タイトルの〇〇=制約 です
『会社を変えるクレド経営実践セミナー
-お客様がゲストで登壇!クレド開発&定着ここがポイント-』
<社員の主体性発揮に関心のある経営者の方へ>
コロナ禍の作年12月、若手のプロジェクトチームを発足し、クレドを策定。
創業100年を超える老舗メーカーでありながら、
会社の雰囲気をガラリと変えたサシヒロ(株)の松本晋哉社長をお招きし、
クレド開発~定着までの実体験をトークショウ形式でお伝えします。
日時:10月26日(火)19:00~20:30
場所:オンライン(zoom)
定員:10名
興味のある方はぜひご参加ください!
https://peraichi.com/landing_pages/view/q51j3
V字研メルマガ
1回3分「ヘコタレをチカラに」 vol.443
by V字経営研究所 代表 酒井英之
『ワクチン接種に学ぶ組織風土改革の4STEP』
ワクチンの接種者が50%を超えましたね。
このままいくと10月から11月にかけて、
国民の希望者全員が2回目の接種を終えられるようです。
抗体の効果がいつまで…との心配はありますが
ゴールが見えたことで、とりあえず一安心ですね。
ほんの2ヶ月ぐらい前、思うようにワクチン摂取が進まず
「ワクチン外交の失敗だ」
「なぜ日本をこんなに遅れているのか」と
政府への非難ごうごうでした。
6月には4000もの団体が地域の市民のために
集団接種の仕組みを築き申請しました。
が、供給体制が追い付かないとの理由で白紙撤回になり、
残念に思った人も少なくないでしょう。
それが今やワクチン接種は、
大成功の取り組みであったかのように言われています。
接種率が4割を超えたぐらいから世論が変わりました。
実はこの世論が変わるというのは、
企業が風土改革を起こす上でとても大事なことです。
会社が風土改革を起こそうとすると、
最初は「こんな事やって何になるんだ」という
反対意見が多数出るものです。
その改革の起草者が、社長であろうと
現場のリーダーであろうと、地方の支店であろうと同じです。
多くの人たちは冷ややかな目で見るものです。
ところがある時点から、改革に対する見方が変わるのです。
「この新しいやり方って案外いいよね」と、
改革の効果を認める賛同者が徐々に増えていきます。
そして「そんなのやっても意味がない」という人が
一気に減っていくのです。
その分岐点は、私のコンサル経験から言えば全体の4割です。
4割が風土改革に前向きになったら、
組織内の空気は一気に変わります。
いわゆる「風向きが変わる」ことが起こるのです。
なぜ4割が分岐点なのか。
4割と言えば、約半数です。
隣に座る人は改革推進派である可能性が高いです。
そうすれば「改革するんだ」という機運を肌で感じます。
また、改革の良い効果が嫌でも目に留まります。
すると「意外にいいものだ」と実感できるようになるのです。
よって、会社が組織風土の改革を目指す場合は、
全体の4割の人財を、改革に対しどのように
前向きにさせるのか、周到なプラン作ります。
よく組織は2―6―2に分かれると言います。
トップ2の2割は、普段から前向きな行動をとっており
何もしなくても改革には賛成です。
彼らには、他の8割に気づいていない問題が見えるのです。
その問題を放置した先には、事故やクレームの発生、
社員の離職、失注など残念な姿が目に見えるのです。
よって機会さえ与えれば、自ら率先して改革に取り組みます。
問題は、真ん中の6割を2-2-2の上中下に分けた時の、
トップ下の2割です。ここの意識改革ができれば
全体の4割が改革に前向きになります。
ここを動かすことが組織全体のターニングポイントです。
大きい玉を転がす時に、最初だけグッと力がかかりますよね。
そして一旦転がし始めると、
後は少しの力でゴロゴロと転がっていきます。
まさにこのグッと力を入れて押すところ。
これがトップ下2割の意識改革なのです。
ゆえにトップ下2割を集めたプロジェクトを起ち上げます。
それは以下の4段階で実施します。
第1段階:メンバー選定
社長が期待する人財を指名して集めてもいいし、
手揚げ式で集めても良いです。
トップ2に仲間にしたい人を人選させるのも一手です。
年齢や階層より、一人ひとりの意識優先で募ります。
選ばれたメンバーには社長が面談で「あなたの力が必要だ」
「風土改革に力を貸して欲しい」と伝え、動機づけます。
第2段階:意見を採用する
次に、「〇〇プロジェクト」と題したミーティングを実施します。
彼らに会社の現状の問題を伝え
「どうしたらよいと思うか?」問いを投げ、考えてもらいます。
普段余り自分から考えたことのない人たちですが、
そこを上手くファシリテートして引き出していきます。
そして出てきた意見が良いものであればそれを褒め、採用します。
第3段階:計画を立て、役割を与える
いつまでに誰が何に取り組むのか、
アクションプランを立てます。
この後、メンバーは計画に従って現場で実践します。
このとき、「現場〇〇リーダー」など、役割・肩書を与えると
職場内での立場がはっきりして、やりやすくなります。
さらに人事考課と連動させ、この活動をすることが
評価につながることを約束します。
第4段階:フィードバックする
メンバーには定期的に集まってもらい、
進捗管理を行います。うまく行っている例と
進んでいない例を確かめ、褒めたり、
活動の改善点をフィードバックします。
自分の活動に前向きなフィードバックが得られると、
メンバーのやる気は高まります。
そして成果が出て、自分の周囲がその成果を歓迎してくれると、
トップ下2割はトップ2と同じ意識に変わります。
これを今回コロナワクチンの接種に置き変えると、
トップ2は医療従事者であり、重症化しやすい
高齢者や基礎疾患のある方々でした。
次にトップ下の2割ですが、これは大手企業の社員と
大学生に集団接種を施したのが
大きかったのではないかと思います。
ご存知のようにデルタ株は感染力が強く、
家庭内感染のリスクが非常に高いと言われています。
故に家庭内での影響力の強い親の摂取や、
家庭での主役である子供世代の摂取がもたらした安心感は
家庭の雰囲気を一変させました。
それが今大きな上にうねりとなって
日本中を安心させたのではないかと思います。
組織風土は誰にも盗むことのできない、
組織の最大の財産だと言われています。
一方で、問題があるまま放置すると、
企業を一気に衰退させる元凶にもなります。
あなたの会社の組織風土は大丈夫ですか?
問題があれば、ワクチン同様早めに手を打ちましょう。