好評いただいている、後継者たちの戦い第6弾!
今回はこの1年間にクラウドファンディング2回で
合計8000万円以上を売上げた
化粧筆メーカー・村岸産業(株)の村岸直子社長の奮闘ぶりを
描かせていただきました。
自社ブランド品を開発して勝負してみたい!
下請け体質から脱却したい!
とお考えの方は、是非読んでみてください。
『熊野筆のボディブラシがヒット 事業も社員も成長させたクラファン』
https://smbiz.asahi.com/article/14334562
V字研メルマガ
1回3分「ヘコタレをチカラに」 vol.427
by V字経営研究所 代表 酒井英之
『2020年度、高収益だった企業の共通点』
コロナ禍の影響でどこもかしこも決算は厳しい…
そう思われていた3月決算ですが、
私の周囲の社長に話を聴いてみると、
減収・増益だったという会社が少なくありません。
例えば、売上100億超のある商社の女性社長は
20年度を次のように振り返ります。
「当社は、18年度の売上が130億。
19年度が123億。そして、20年度は約105億。
2年前比で約2割減です。
しかしながら、
20年度の経常利益は19年度を上回ります。
年商が大幅に落ちたのは、
コロナの影響による需要減や、相場変動の影響。
一方、経常利益アップ最も大きな要因は、
5年前に参入した太陽光の新エネルギー事業の貢献です。
当社は太陽光発電の増設を続けていますが、
この事業は「コロナ知らず、自粛知らず」(笑)。
また、社内の各部署内でも、
常に「新規取り組み=多角化」を図っており、
何かが倒れても、別の事業で代替できる
リスクを最小限に抑えられる強い体質になっています。
また、地道なことですが、全ての部署で
時間当たり付加価値向上を目指し
利益率アップを目指し、成果が出ています。
さらに以前から『お客様からの感謝=数字』だと
繰り返し伝えてきました。
社員一同そのことをしっかり腹に落していて、
高い目標を掲げることの本質的な意味を理解し、
お客様からどうしたら感謝してもらえるか、
どこまでやれば褒めてもらえるかを真剣に考え
逆境にも挫けずチャレンジしてくれています。
こうした効果から、20年度は大幅減収で
社員数も増え、経費も増えているにも関わらず
増益を果たせました」
皆さんはこの話を
どのように受け止められましたか?
実は、20年度に増益を果たした企業には
ある共通点があります。
それは、事業の柱が一つでないこと。
世界遺産であるギリシアのパルテノン神殿を
思い出してみてください。
いくつもの柱があって屋根を支えていますよね。
それをモチーフに、いくつもの事業で会社を支える戦略を
「パルテノン戦略」といいます。
好業績企業は、この「パルテノン戦略」を取っているのです。
ビジネスでは「選択と集中」こそが、
勝ち続ける秘訣だと言われてきました。
しかし、あまりにも一つのものに集中しすぎると、
万が一それが失われた時に大打撃を受けます。
・事業が1つしかない
・客先が1件しかない
・売り方が一つしかない
・特異な技術者・技能者が1人しかいない
・全体をわかっている人が1人しかいない
代わりがないというのは、大変なリスクなのです。
このうち、売り方について解説しますと、
モノでもサービスでも、売り方は訪問販売・店頭販売・
通信販売・催事販売・配置販売の5つあります。
例えば、不動産屋は店頭販売が主流でした。
が、いつしか、ネットで選ぶ通販の様相を呈してきました。
どれだけ物件の映像を魅力的に見せるかが
売れ行きを左右します。
そのため、社員数30数名の小さなある不動産屋は
社内に動画制作専門部隊を起ち上げました。
社員はそれができる専門の若者を複数、新規で採用。
そして、自社物件のPR動画を作成しました。
すると、それを見た同業者から動画制作の依頼が殺到。
この新規事業は収益を生む事業へと育ちました。
売り方の多様性が、新たな収益の柱になっています。
私が連載している朝日新聞の
webサイトの『ツギノジダイ』。
今回が書かせていただいた大阪の村岸産業は
社員数20数名の化粧筆のOEMメーカーです。
コロナの影響で化粧品需要は激減しました。
当然、化粧筆の需要も激減します。
が、その穴をクラウドファンディングが埋めました。
詳しくは下記サイトをお読みいただきたいのですが、
化粧筆の技術を用いたボディブラシを開発し、
現在、売上の3割強をクラウドファンディングで稼いでいます。
OEMは訪問販売ですが、クラウドファンディングは
通信販売です。
販売の多様化に成功し、5000人以上のファンを獲得したのです。
https://smbiz.asahi.com/article/14334562
外食産業にケーキなどの洋菓子を提供している
OEMメーカーも、コロナ禍の影響をまともに受けました。
1年前、注文が激減し人も機械も遊んでしまいました。
そこで、急遽自社ブランド品を開発し、
洋菓子を地元のスーパーで販売したところ、これが大好評。
「売れている」事実が次々と新しい客を呼び込み、
1年前では考えられなかった多様な市場開拓が進んでいます。
こうした事実に、社長は「わが社の底力を見る思いだ」と目を細め、
社員たちは今、ワクワク希望をもって働いています。
コロナ第4波の到来で再び緊急事態宣言が出されました。
私たちはさらに多様化せよ、環境に合わせて変化せよ、
と言われているような気がします。
それは、自社の中に眠る可能性を拓け、というシグナルです。
海外からは100年ぶりの二刀流選手の活躍が届きました。
投げてダメでも打てばいい。両方できたら、なお良い。
多様化の大成功例ですね。
私たちもこの連休中に、今一度自社に眠る可能性を
見直してみましょう。
そして、社内に希望を創っていきましょう!
V字研メルマガ
1回3分「ヘコタレをチカラに」 vol.426
by V字経営研究所 代表 酒井英之
『松山選手の快挙と劣等感克服法』
一週間前になりますが、マスターズで
日本人の松山英樹選手が優勝しましたね。
素晴らしい快挙でした。
優勝の瞬間、なぜか泣けてしょうがなかったです。
タイガーウッズ選手が松山選手に寄せたコメントは
「あなたとあなたの国におめでとう」。
黒人として初優勝したタイガーウッズ選手には、
ゴルフでメジャーを制する意味が分かっていたのでしょう。
日本人が欧米人に抱く潜在的に持っている
劣等感から解放された瞬間でした。
これまで何人ものすごい日本人選手が挑みました。
そして、常に跳ね返されてきました。
それが積み重なり、いつしか私は
「メジャーなんかとれるはずがない」と
無力感を覚えていました。
そして「欧米人の方が向いている」というように
勝手な理屈をつけて自分を納得させていました。
一度身に着いた劣等感は、
「そんなことはないよ。絶対勝てる日が来るよ」と
信じ込もうとしたところで、克服できません。
劣等感を克服できるのは、事実によってのみ。
そしてそれが実現した時、大きな開放感を得ます。
例えば2011年、沖縄の興南高校が甲子園で
春夏連覇を成し遂げました。
この頃、私は仕事で度々沖縄に行っていたので、
当時の沖縄の雰囲気をとてもよく覚えています。
夏の甲子園の時は、もう甲子園一色でした。
研修の仕事だったのですが、
受講生から「先生、興南高校やっていますよ」と言われ、
オフィスをのぞいたら職場全員でテレビ観戦していたので
もう研修どころじゃなくなって、
仕事を切り上げた記憶があります。
タクシーに乗っても、運転手の話は甲子園の話ばかり。
そして優勝したときは、
「長年のしまんちゅうの夢が叶った」と
街中でカチャーシーを踊っていました。
沖縄の皆さんが、内地のチームに対し抱き続けた
潜在的な劣等感から解放された瞬間でした。
劣等感は誰にでもあります。それは会社も同じです。
中小企業の社員であれば、会社の規模が小さい、
信用がない、世の中に社名も商品も知られていないなど、
劣等感を抱いているのが普通です。
こうした劣等感は、「どうぜ自分たちにはできっこない」
「無理だよ、やめておこう」「大企業には適いっこない」など、
モチベーションダウンの引き金になります。
が、劣等感とは本来その人が持っている魅力に
気づいていない人が勝手に抱くもの。
ひとたび自分の良さに気づき劣等感から解放されると、
大変意欲的になります。
松山選手が優勝した直後から、
ゴルフスクールに申し込む子供たちが増えているといいます。
2年前、ラグビースクールでも同じ現象が起きましたが、
これは「自分にだってできるはずだ」という
自信や自分自身への期待の表れです。
ゆえに、社員を潜在的な劣等感から解放し、
「自分にだってできるはずだ」という
意欲を引き出すのは経営者の重要な仕事なのです。
ではどうしたらそれができるのでしょうか?
そこで今回は、中小企業特有の潜在的劣等感を
克服する方法をお伝えします。
そのひとつが、「自社肯定感」を高めることです。
自社肯定感とは、「わが社はすごい!」という肯定感です。
社員が「わが社は大したことない」と思ったら
本当に大したことのない会社になってしまします。
逆に社員が本気で「わが社はすごい会社だ!」と思ったら、
本当にすごい会社になります。
そのためにはまずは社員が
「わが社はお客様に役に立っている」
「大変喜ばれている」「強く必要とされている」ことを
事実として認識する必要があります。
それには、「お客様の喜びの声」を聴くことです。
お客様の喜びの声を聴けば、社員は自分の仕事を
「これは大切な仕事なんだ」と理解します。
また、自分の仕事が同業他社にはない独自のもので、
そこが評価されていると気づいたら、
社員は強い誇りを感じます。
例えば、あなたの会社の業界には
「解決されないまま放置されている悪しき慣習や
『なんでそうなの…』とよくいわれるクレーム、
『ここまでしてくれたら助かるのに…』との要望」
はないでしょうか?
その慣習やクレーム、要望に対し、
「わが社は徹底的に○○にこだわっています。
ここまでやるのは、業界内でもわが社だけです」
といえる、独自の商品やサービスがあれば、
それこそお客様にPRすべき差別化ポイントです。
しかも、なぜ「ここまででやるようになったのか?」を、
その歴史的な経緯を物語で伝えれば、
社員が、先人たちがどんな想いでこの仕事を始めたのかを
理解し、真摯に受け止めます。
そして、「○○にこだわってここまでやる
わが社はすごい!」の想いを一層強くするのです。
もし、わが社に上記のような独自性がないのであれば
今からそれを見つけて実践すればいいでしょう。
どんな業界にも「それが常識だから」と
放置されている悪しき習慣、クレームはあります。
コロナ禍の影響で常識が崩れている今だからこそ、
「ここまでやるのはわが社だけ」を見つけ
それを引き金に頭一つ抜け出しましょう。
私たち日本人は、松山選手に劣等感に立ち向かう勇気と
そこからの開放感を貰いました。
その勇気を、あなたと社員が抱えている劣等感の克服と、
開放感に繋げて行きましょう。