【Withコロナ時代の社長の悩み~Q&A集~】
Withコロナに徐々に慣れてきましたが、
誰もが「これから」を考えるタイミングになりました。
この一週間に、私はオンラインで3度、
「コロナ禍で社会はどう変わるか?
社長は何をするべきか?」を
テーマにしたセミナーを開催しました。
どの講義も質疑応答の時間が多めにとってあったので、
多くの受講者(主に社長)から質問を頂戴しました。
それらの質問には「今、経営者が直面している課題」が
鮮明に出ていました。
同じことで悩んでいる方も多くいると思います。
また、誰かの質問は、他の誰かの勉強になります。
そこで、本メルマガでは今週と来週の
2回に分けて、セミナーでいただいたQ&Aをお送りします。
今週のテーマは
「コロナ禍を機に経営理念、ビジョンを考える」です。
Q:わが社には「社会の公器」という理念がありますが、
ビジョンはありません。最近はこの理念に従って
地域の人のお役に立つことを探して行ってきました。
やるべきことが見つかり、理念があって良かったと思っています。
これから後付でもいいので
ビジョンを考えていけばよろしいのでしょうか?
A:その通りです。理念に従ってありがとうと言われることに
集中して仕事をしている必ずそこに道ができるはずです。
その道を信じて歩んでいけば、いつか「あれがしたい」という
使命感にたどり着くでしょう。
言葉にするのはそれからでも構いません。
Q:事業承継を考えています。
息子の代では社是は引き継ぎますが、
企業理念を変えても良いのでしょうか?
また変える場合は、息子がブレーンとなる社員と
一緒に創るのが良いのでしょうか?
A:後継者が、今の理念に共感できない場合は、
まず、その理念を先代が制定した背景などを十分に理解します。
それでも変えたい場合は、先代から変えることの許可を得ます。
なぜなら、社員にはその理念が好きだという人が
何人もいるかもしれず、いきなり変えてしまうと
社員がビックリしたりガッカリするからです。
理由をしっかり伝えた上で、変えることが大事です。
また作り方は、社員の意見を聞いた上で作るのが理想です。
ただし、社員に「理念を考えろ」いうわけではありません。
また、「こんな理念を考えたけど、どうかな?」と
言って社員に評価をもらう必要もありません。
大事なことは、社員から理念を考える上で
必要なネタをもらうことです。わが社で働いていて、
どんなときに「楽しい」「やりがいがある」と感じるのか?
こうした情報をアンケートやインタビューで集めます。
すると、理想の会社像が見えてきます。
そして、新理念ができた時に、
「皆さんからこんな話を聞いたので、この理念を創りました」
と言えば、皆その理念に共感するでしょう。
創るのは新社長一人で結構ですが、
その前に社員からネタをもらうところがポイントです。
Q:10年先のビジョンを考えていましたが、
なかなかワクワクするビジョンが描けません。
あまりに夢物語過ぎても人は呆れてしまいますし、
簡単にできることならワクワクしません。
社員がワクワクするちょうどいいポイントは、
どうやって測れば良いのでしょう?
A:皆がワクワクするビジョンには
共通している2つの要素があります。
一つは感動性です。そのビジョンを聞いた時に、
「そうなるといいよね!」という感動が胸の内に起こることです。
感動は「え?」「まさか?」の意外性から生まれます。
ビジョンの中にこれまでの常識を変える要素が必要です。
もう一つは公共性です。
そのビジョンが、社会に良い影響を与え変えていくことです。
感動性が高いビジョンには、
「私も何か手伝いたいと」と人が集まって来るので、
すぐにチームができます。
公共性が高ければ資金調達が容易になります。
今若い人は何かの役に立ちたいと強く思っていますから、
採用も容易になります。
感動性と公共性の二つの要素を含んだ
ビジョンを考えてみてください。
Q:ビジョンは描けたのですが、
実行を誰にやらせるか悩んでいます。
既存の幹部に頼るべきでしょうか?
それとも新しい人たちに任せた方が良いのでしょうか?
A:新規事業は 専任の担当者を立てないと進みません。
担当者が既存事業兼務でやると、
どうしても既存事業の方に軸足が移ってしまって、
新規の方がおろそかになります。
だからといってエース社員を
新規事業の担当にするにはリスクがあります。
そのため新規事業はあまり会社に染まっていない若い人や、
ラインから外れてしまった中年が担当するケースが多いです。
イノベーションを専門とする中央大学の小林特任教授は
「イノベーションはろくでもない社員にしか起こせない」
と言っていますが、正論かと思います。
若手や、ロートル、中途採用者などに期待してみてください。
Q:今、コロナ後のビジョンを考えています。
ビジョンは社長である私が「楽しい」と
思うものであるべきでしょうか?
社員が「楽しい」と思うものであるべきでしょうか?
A:ビジョンは社長が「楽しい」と思うものであるべきです。
そしてその楽しさを社員に伝えてください。
社員にとって辛い仕事でも、
社長の見方や考え方を伝えることで、
その仕事は実はとてもやりがいのあるものだと
感じられるようになります。
それを伝え、同じ価値を感じる仲間を
増やしていくのが社長の仕事です。
Q:コロナ前から脱下請けや多角化の必要性を感じ
何度かトライをしてきました。
しかしながら、きっかけがなくなかなか前に進みません。
突破口はどのように見つけたらよいでしょうか?
A:展示会に出かけられるとよいでしょう。
まず、自分の会社の強みとなる技術を
「○○ができる」「××を□□に変える」というように、
動詞で定義します。次に展示会に行きます。
展示会はこれから伸びそうな市場の展示会を選びます。
そしていろんなブースを見ながら、
「当社の技術を使ったらもっといい商品になるのに」
という商材を探すのです。
見つかったらブースの担当者と名刺交換し、
後日当社の技術を提案にしたい旨を申し出ます。
このやり方で新たな市場を開拓することができます。
展示会が再開されましたら、「犬も歩けば棒に当たる」を
信じて是非行動を開始してください。
(Q&Aここまで)
貴重な質問を頂いた皆様、
またセミナーにご参加頂いた皆様、ありがとうございました。
次回はコロナ禍で「働き方やマネジメントがどう変わるか?」
の質問への回答を掲載します。お楽しみに!
V字研メルマガ
1回3分「ヘコタレをチカラに」 vol.392
by V字経営研究所 代表 酒井英之
『ピンチをチャンスに変える会社の条件』
「甲子園は行くところではない。
呼んでもらうところだ」。
甲子園常連校の新潟明訓高校の監督の言葉です。
その意図は以下の通りです。
「甲子園に行けるのは、
野球の神様に認められた人だけ。
野球の神様は、人一倍熱心に練習し、
周囲への気配りができる球児だけを呼ぶ。
いくら野球のスキルが高くても
それだけで招待されることはない。
呼んでもらう場所だから、
そのために日々準備をする。
甲子園はその準備力が問われる場所だ」。
同じことを、イチローさんは次のように言っています。
「汚いグラブでプレイしていたら、
その練習は記憶には残りません。
手入れをしたグラブで練習をしたことは、
体に必ず残ります。記憶が体に残ってゆきます」
野球の神様の選択基準は
試合の結果でも、練習量でもなく、
そのための「準備力」にあるというのです。
「ピンチをチャンスに変える」とよく言います。
私は今回のような外部環境発のピンチを
チャンスに変えられるか否かは
「準備力」にかかっているように感じます。
今、世界が歴史的な不況を迎えています。
が、元々東京五輪が過ぎたら不況になると
誰もがわかっていました。
現に『日経ビジネス2019年12月23日号』では
「2020年大転換「五輪後」に起きる14の異変」
という特集を組んでいます。
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/00302/
ですから、五輪後に向け時間をかけて
準備をしていた会社には、チャンス到来なのです。
例えば設備投資です。
不況期は
・機械のメンテナンスや更新
・有能な人財の確保
・新工場の建設
など、将来のために金を使うタイミングです。
なぜなら、この時期は
設備メーカーの良い技術者が来てくれるからです。
他に買い手がいないから、
とても熱心に、親身になってくれます。
人財確保面でも同じです。
良い人財が行き場がなくて余っています。
そのような人たちを採用すれば、
彼らは「よくぞ自分を拾ってくれた」と、
感謝の気持ち一杯で働いてくれます。
特に今後は5Gと共にICTが加速します。
適応力のある若い人は奪い合いになるでしょう。
ところが彼らの中には今、内定取り消しや
学費が稼げず大学中退のピンチを迎えています。
一方でわが国がここ数年当てにしてきた
外国人の採用は、コロナ災害で止まっています。
こちらの復活はまだまだ先になるでしょう。
そう考えると、設備投資や人材採用は
不況の今こそチャンスなのです。
例えば、今年大きな設備投資を計画していた
食品製造業A社の社長は、
4月に今後の需要予測や資金調達など
慎重にシミュレーションしました。
そして今は「設備投資はやります。予定通り」と
力強く語っています。当然採用にも力を入れます。
地域密着サービスを営むB社は
2年前、多角化の一環でフランチャイズチェーンに加盟し、
契約金も支払って新サービスを起ち上げようとしました。
ところが、この2年間、何度募集をかけても
応募者が現れませんでした。
それが、この4月になって、
30代前半の青年が一気に2名も採用できました。
そしてこの7月、ついに新サービスがオープンします。
両社とも準備してきたことが着々と進んでいるのです。
では、「ノー準備」のまま今を迎えている会社は、
今、何をしたら良いのでしょうか?
まず、自分が今やろうとしていることが
不要不急のことなのか、よく考えてみましょう。
例えば、通販サイトの起ち上げ。
こちらは慎重に検討した方が良いかもしれません。
なぜなら、通販サイトの制作を請け負う会社は、
オーダー殺到でどこも手一杯。
丁寧な作り込みができるか疑問だからです。
それよりもこのメルマガで繰り返し
お伝えしているように、お客様から
「ありがとう」と感謝されていることを洗い出し
そこに集中しましょう。
これなら多くのキャッシュなくしてできるはずです。
そして、集中しているうちに、
必ず歩むべき道が見えてくるはずです。
球児たちが甲子園を夢見て準備するように、
今一度、ビジョンを思い出してみましょう。
ビジョンがない会社は、
お客様への気配りに集中しましょう。
きっとビジネスの神様が微笑んでくれるでしょう。
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