V字研メルマガ
1回3分「ヘコタレをチカラに」 vol.384
by V字経営研究所 代表 酒井英之
『コロナ後の「新ノーマル」を見据えて動き出そう』
テレビを見ていたら、今回のコロナ災禍は
リーマンショック以上だという意見がありました。
リーマンの時はヒト・モノ・カネのうちカネの危機だった。
が、今回はヒト・モノ・カネ全部の危機だというのです。
まさにその通りで、社員の健康を守るために
勤務形態の変革や新たな調達先の開拓、
そして資金の手当てなど、経営者は多忙を極めています。
ただ、私は日々出会う経営者の方が
口々におっしゃられる言葉に大変勇気を頂きます。
それは「ピンチはチャンスである」です。
リーマンショック当時、
私が出会った経営者の皆さんはなかなか状況を
肯定的に捉えることが出来ず、戸惑ってばかりでした。
私は仕事柄、毎日のように将来を嘆く声を聞いて、
暗澹たる気持ちになったのを覚えています。
そんな中、松下幸之助翁が書いた
『不況克服の心得十か条』があると聞き、
あの偉人はそんなことも
言っていたのかと大変感動して、
松下幸之助の本を読み漁りました。
https://ameblo.jp/yonezu011/entry-11161799828.html
リーマンショックの時は、
その後ドラッカーや松下幸之助翁の書籍が
大変によく売れました。ドラッカーの勉強会は
そこかしこで開かれていたのではないかと思います。
皆、原点に帰って経営の本来の姿を取り戻そうと必死でした。
そうして100年に1度と言われたショックを乗り越えて
立ち直った矢先に、東日本大震災が起きました。
こちらは1000年に一度という大ショックでした。
この2度の危機を乗り越えた経営者たちは、
今回のコロナ災禍に対して、
リーマンの時のような動揺は見せていません。
むしろ落ち着いて「ピンチはチャンス」と腹をくくり、
今やるべきことを確実に進めているように見えます。
そんな経営者の皆さんのご相談に乗りながら、
私は、危機を一度ならず二度も乗り越えた人間とは
これぐらい頼もしくなるのだと感心しています。
経営者は、社員から信頼されないといけません。
創業者は会社を作った人ですから当然ですが、
後継者になると常に先代と比較され、
「この人で大丈夫か?」という目で見られます。
そんな中、「この人なら大丈夫だ!」との
信頼を作る方法は一つしかありません。
それは「あの時の危機を乗り越えられたのは、
あの人の力だ」との実績を作ることです。
ここでいう危機とは、リーマンショックや震災のような
社会的な変化に限らず、社内的な大きな事故や事件、
取引先の倒産、極度の販売不振なども含みます。
そうした嵐の中を、どのように舵を切って
会社という船を進めたか。
その時のリーダーシップとキャプテンシーこそ、
「あの人なら大丈夫だ」の強い信頼を生むのです。
従って、会社を継いだばかりの経営者、
これから会社を継ぐ予定の後継者の皆さんにとって
今回のコロナ災禍は社内から信頼を得る
絶好のチャンスなのです。
そのためにも、「ピンチはチャンス」を口癖にして、
自己暗示かけてください。
そして、日々出会う出来事や情報に
「これは何のチャンスかな?」と自問自答して、
自分への気づきを増やしてください。
星野リゾートの星野社長が、日経ビジネスの
インタビューに次のように語っています。
「耐え抜くための1年間計画に乗り出す」
「新ノーマルに対応する」
https://business.nikkei.com/atcl/forum/19/00031/042000011/?n_cid=nbpnb_mled_enew
彼の言う「新ノーマル」とは、今後訪れる新しい常識のことです。
星野社長は、「お客様が観光する理由」が
変わってくるだろうと読んでいます。
それがどのようなものかをアンケートをとりながら
対応していると語っています。
もうコロナ後を見据えた対応が始まっています。
東京都は、コロナが収束した後の売上回復のための
今年一年間の展示会への出展費用を補填する
助成政策を公表し、募集を始めています。
東京に支店のある会社なら、本社が何県でも利用できます。
東京以外の展示会でも適用されます。
申し込み締め切りは5月20日。
うかうかしているとせっかくのチャンスを逃すことになります。
https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/jigyo/kinkyu.html
今後、テレワークが当たり前になり、
ネット購入が加速化し、AIで多くの仕事が自動化され、
非正規労働者が増えていく方向は変わらないでしょう。
再編が検討されていた業界は、一気に進むことでしょう。
当然、消費者の考え方も好みも変わります。
星野さんの言う「新ノーマル」は、
あらゆる業界で起きるでしょう。
私がいるコンサルティング業界も、
研修のあり方をはじめ、調査手法や、
お客様が期待するスピード感など、
一気に変わっていくと思います。
後継者の皆さんは、その時代に会社という
大きな船のキャプテン(船長)を
務められるのは、新しい感性を持っている
若い自分しかいないという自覚を持ってください。
大変な時は、文字通り大きく変わる時です。
そして、「ピンチをチャンスに変える」を
現実のものにしていきましょう。
「アフターコロナ」という言葉があります。
最近はこれに「ウィズコロナ」という言葉も
聞かれるようになりました。
アフターコロナは文字通り、
コロナが収束した後という意味です。
が、どうもコロナは収束しそうにないぞ、
かなり長引きそうだ、との推測もあり、
コロナの後というよりも、コロナと共に生きる。
それをウィズコロナと言っています。
実はこの一週間で、弊社にオンライン研修の
企画をお願いしたい、という依頼が数多く寄せられました。
こうした依頼も、コロナを一過性のものではなく、
今後暫く続くウィズコロナを前提にしたものです。
日本全国でテレワーク化が始まって、
間もなく一ヶ月になろうとしています。
このままテレワークが定着すると、
この国のビジネスマンの働き方は随分変わると思います。
テレワークは、一人ひとりが別々の場所で働きます。
そのため会社は仕事の役割分担をハッキリさせる。
それに従って、各個人は自分の役割を認識する。
そして、自分の仕事を自分の裁量でしっかりこなす。
いつ取り組んだかとか、できるまでに何時間かかったかは関係なく、
設定された納期までに、しっかりとそれを仕上げておく。
テレワークは、そうした仕事のスタイルです。
全社員が、プロのアウトソーサーになるイメージです。
よく「会社は個人の集合体」である。
「個人が強くなれば会社は強くなる」と言われます。
この考え方が、テレワーク化によってますます強くなると思います。
これまで、会社は課や係など
「チーム単位で成果を出して」と現場に要求してきました。
そのチームには仕事ができる人もできない人もいます。
一部のできる方に仕事が偏って、その人は大変忙しい。
それ以外の人は結構サボっている。
でもチームとして成果は出ている。
そんないびつな構造がよく見受けられました。
ところがテレワークでは、
サボっている人は「できない」と丸わかりです。
そのため、玉石混合の組織体は姿を消していくでしょう。
新人を丁寧にサポートする OJT も、
テレワークではなかなかできないと思います。
新人も入社する前に、しっかりと自分を磨き、
スキルを身につけ、そのスキルを発揮できる場所を
最初から求めて入社する。そんな構造に変わっていくでしょう。
現実にリアルな職場環境においても、
5Sが大変できている会社は、
社員一人ひとりがどのエリアの5Sを担当しているのかが明確です。
同じフロアの5Sを複数で担当している場合でも、
フロアのタイルに番号を振って、何番から何番まではAさん、
何番から何番まではBさんの担当というように役割分担しています。
そして各担当者が、自分の持ち場をピカピカに維持しています。
複数で同じ場所を担当すると、
どうしても一生懸命やる人と、サボるが出てきてしまいます。
ところがタイルごとに細分化して個人に担当を割り振れば、
誰もが全員に責任感を持って行動するのです。
ここから一人一人に自主性が生まれ、
お互いを認め合う風土が生まれます。
全員が同じことするために、一体感も強くなります。
5Sができている会社が、社風も良く、好業績なのは
5Sを通して、個人が強くなる仕組みができているからです。
テレワーク化は、まさにこの構造と同じです。
一人ひとりの役割分担が明確になり、
期待された品質で、納期までしっかり仕上げる。
社員一人ひとりの責任感が、今まで以上に問われるのです。
そのため、リーダーの役割も変わってきます。
これまで、多くの会社にはプレイングマネージャがいました。
これは、従来と同じ仕事を今期も繰り返す、
それが前提になっている組織特有の現象です。
同じことを繰り返すのだから、
仕事に慣れていない仲間をフォローできる人がマネージャになる。
そして、数年かけてみんなが徐々にできる人になっていく。
「一戦ごとにチームが強くなっていく」という構造でした。
しかし、分散した個人が割り振られた仕事に対して
しっかりと責任を果たすことが求められるテレワークでは
リーダーの仕事は、仕事の配分であり、
その組み合わせを考え、個々人のアウトプットの品質を
チェックすることになります。
全体を俯瞰して、変化を読みながら、
状況に応じて最適な人を選択し組み合わせていく姿は、
さながらオーケストラの指揮者のようなものです。
オーケストラの指揮者に必要なのは、
プロの奏者が弾きたくなるような譜面を持っていることです。
「この曲を演奏したいんだ。ついてはあなたにこのパートを任せたい」
「このタイミングでこんな音を出してもらいたい」とお願いする。
そうするとプロの奏者は、「はい喜んで!」と言って参加するのです
経営にこれを置き換えれば、弾きたくなるような譜面は、
経営ビジョンになるでしょう。
「こんなビジョンを実現したいのであなたの力を貸して欲しい」
「このパートで専門性を発揮してほしい」
こういったことを言って専門性の高い人財を誘い、
環境変化に応じてそれを組み合わせていく。
これは従来の仕事の繰り返しで成果が出ることを前提としている
プレイングマネージャにはできないことです。
マネージャがプレイしながら
他人をフォローするなんてできないからです。
テレワークは今後、わが国からプレイングマネージャを
消滅させてしまうかもしれません。
そうなると、テレワークがわかっていない経営者や、
AI や IoT でどこまで生産性の向上が図れるかに対して
考えが及ばない経営者は、自ずと退陣せざるを得ないでしょう。
つまり、テレワークの時代には若い経営者が
どんどん出てこないといけないということです。
そこで、後継者と期待されている皆さんは、
近い将来自分が社長になるための準備を進めてほしいと思います。
少なくとも、あなたの会社のテレワーク化は、
先代ではなく自分が指揮をとって進めるのだという役割を
自ら買って出てください。
そして、今後はわが社の生産性を上げていくには、
何に集中したらいいか取捨選択しましょう。
不要な会議は、この際全てご破産にして見直しましょう。
勤務形態も、情報共有の仕方も、評価基準も見直しましょう。
暗黙知を形式知化し、ICTの更なる活用を検討しましょう。
海外取引のある会社は拠点展開のやり方も見直しましょう。
これらも含めて
社員が魅力的と感じる譜面
=ウィズコロナの時代のわが社のビジョンを描きましょう。
今すぐ社長交代を迫らなくても、
こうしたイノベーションを自分が担うのだという意識で
情報収集と課題発見を進めてみてください。
そして、ウィズコロナの時代に備えていきましょう。
V字研メルマガ
1回3分「ヘコタレをチカラに」 vol.382
by V字経営研究所 代表 酒井英之
『底知れぬコロナの闇~自分にできることを探そう~』
コロナの影響で、ついにあちこちから
「帰休」という言葉が出始めましたね。
あなたのビジネスにも
深刻な影響が出ていると思います。
今の状態は戦争に例えられるほどの厳しさです。
が、ピンチと捉えるのか、それともチャンスと捉えるか。
それは本人の心の持ち方次第ですね。
名著デール・カーネギーの『道は開ける』の中に
こんな一節があります。
投獄された泥棒が2人。
うち一人は夜、格子越しにキレイな月を観た。
もう一人は、同じ格子越しに水たまりを観た。
不遇な環境の中で、希望を持つ人になるのか。
ただ運命を嘆く人になるのか。
それは本人の選択。
同じ生きるなら、どんな環境にいても
良いものを探し、見つめる人になりたいものです。
レモンは苦いが、ちょっとの工夫で
レモネードに変えることができます。
運命が自分に苦いレモンをくれたら、
今、この瞬間に置かれた環境で、
自分のレモネードをつくる努力をしましょう。
直接的にコロナの患者を救うことはできませんが、
せめてそのレモネードで【自分の周囲の人】を喜ばせましょう。
例えば、バイオリニストの高嶋ちさ子さんは、
コンサートの中止で閑になった仲間たちを集めて
テレワーク演奏会を開き、動画を配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=jVw8Xk4axMM
ぜひ見て下さい!元気が出ますよ!
常総市の婦人服専門店のロコレディの羽富社長は、
お客様に何度でも洗えるオリジナル・マスクを提供しようと
縫製工場と打ち合わせを制作しています。
https://www.facebook.com/toshiaki.hatomi/posts/2895058390582133
どこまで行ってもお客様第一の姿が、素晴らしい!
我が家の近くのラーメン屋「つけ麺天下」。
学校給食がなくなり困った牛乳屋さんを救うべく、
牛乳の大量消費に乗り出しました。
牛乳から作った自家製プリンを販売。
お客様に協力を呼び掛けています。
https://www.facebook.com/tsukementenka/posts/2289753727999186
今回の支援では、義援金とか出てこないですよね。
お金で解決できる問題は、政府にお任せして、
私たちは、自分のスキルでできることを考えましょう。
そこで私も何かできないか、考えてみました。
酒井の場合、今月予定していた
コンサル・研修の多くが先送りになりました。
手帳には、見たこともないほど空白が並んでいます!
そこで、皆さんからON LINEで
無料相談を頂戴したいと思います!
名付けて
「レモネード・カフェ~聴いてよ聴いて、酒井さん」
弊社は数多くのV字回復事例を研究してきました。
逆転経営のことでも結構ですし、
人財育成や事業承継に関する悩み、
新規事業の立案、ビジョン開発など
「緊急性はないが重要なこと」なら
どんなご相談でも結構です。
弊社で対応できないことは、
専門家をご紹介することになるかもしれません。
また、人に話をするだけで
頭の中が整理されて自ずと答えが見つかることもあります。
酒井を「テニスの壁打ちの壁」あるいは
「ボクシングの練習用サンドバッグ」と思って
活用してくださってもけっこうです。
(そう思っているお客様は大勢います)
久しぶりに話がしたいし!
なんて気さくなアクセスでもOKです。
興味のある方は下記の要領でエントリーください。
皆さんとのミーティングを楽しみにしています。
【ご相談方法】
1.日時をご予約ください。
今のところ、4月の13日、14日の10時半~19時
15日 14時~19時を予定しています。
お一人様1時間、ご予約は以下のサイトから
https://reserva.be/vjiken
2.相談はZoomでお願いします。(訪問はいたしません)
当日、URLをお送りしますので、それをクリックしてくださればお話しができます。
Zoomの経験がない方は、これを機にチャレンジしてみてください。
環境的にZoomが難しい方は別の方法に変更しますので、ご相談ください。
3.ご相談は1時間無料でお受けいたします。
それ以降、具体的コンサルティングに進む場合は別途費用が発生することもあります。
コロナショックで思いがけず生まれた時間を、
新しい企画へのチャレンジと、
皆様からのご相談をお受けするために活用したいと考えています。
この難局を、力を合わせて乗り切っていきましょう。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。