V字研メルマガ
1回3分「ヘコタレをチカラに」 vol.377
by V字経営研究所 代表 酒井英之
『コロナショックを機に研修スタイルを見直そう』
コロナショックの影響で全国の学校は休校になりましたね。
突然の休校宣言は様々な戸惑いと批判を伴いますが、
重要でかつ緊急なことは、まず「やると決める」ことが大事です。
「どうやるか」はそれから考える。
それが物事を前へ進める秘訣です。
こうした意思決定を「ムーンショット」と言います。
月面着陸のことです。
アメリカ大統領のだったケネディは
まだアポロ計画が端緒についたばかりの段階で
「1960年代中に月に立つ」ことを宣言しました。
誰もが「そんなこと出来っこない」と思っていた頃に
「どうやるか」はともかく、
ゴールだけを設定し国民に宣言したのです。
この大胆な宣言に国民は大いに期待しました。
また研究者たちは勇気づけられました。
ワクワクするゴール設定はプレッシャーにもなりますが、
モチベーションを引き出す大きな要因にもなるのです。
さて、コロナウィルスの影響ですが
私が頂いていた3月の研修講師のオファーは
次々とリスケになりました。
その多くが7月以降なので、
今度は7月以降の日程確保が難しくなってきました。
このまま日程が取れず「中止」にならなければいいなと
とても心配しています。
研修は、これまで集合研修が基本でした。
しかし今回のコロナショックで
研修の在り方も見直されつつあります。
集まって講義を受けることは、
受講生同士が刺激を受けるので、とても重要なことです。
が、「必要なことを学んで気づきを得る」が
研修の最大の目的だと考えれば、
集合研修につきものの「移動時間」と
「同じ時間に全員が集まること」が
必ずしも必須条件ではないはずです。
このことは、働き方改革が叫ばれた
当初から言われていたことでした。
残業を削減する時に、
何を削ればいいかを考えたときに、
「集合研修を減らす」がキーとなる選択肢のひとつでした。
しかしながら、有能な経営者ほど
人財育成の大切さを肌で理解しています。
よって研修時間を減らしながらも研修の効果を維持する
より効果的な方法がないかを模索していました。
そこで弊社はそれに答える形で、
画期的な研修方法を考えました。
オンラインを使った15分のハイブリッド動画研修です。
ハイブリッドとは
パソコンやスマホでいつでもどこでも
好きな時に動画を見て学べるE ラーニングの良さと、
学んだことについて複数以上で討議し、
講師からフィードバックをもらう集合研修の良さを
組み合わせたスタイルということです。
この研修方法を、私は2019年度、
親しい会社に提案し実施してみました。
そうしたところ大変好評で、
働き方改革の時代に合ってるという
確信を得ることができました。
もし興味のある方、コロナショックで
研修時間を犠牲にせざるを得ないと
悩んでおられる方がいらしたら
是非下記のサイトをご覧ください。
この研修のことを説明しています。
https://vjikentraining.mykajabi.com/
またお問い合わせを頂けましたら、
ご案内にお伺いすることもできます。
今回のコロナショックは、東日本大震災に匹敵するような国難です。
この国難を力を合わせて乗り切りましょう。
そして「あなたの会社のムーンショット」を目指した
希望のある日常を取り戻しましょう。
V字研メルマガ
1回3分「ヘコタレをチカラに」 vol.376
by V字経営研究所 代表 酒井英之
『合併を自分のエネルギーに変える』
ファミリーマートが社員の早期退職募集をしましたね。
数少ない成長市場であるコンビニでも
リストラするのかと驚きましたが、
応募人数を聴いてまたまた驚きました。
全体の15%に当たる1025人。
本当に業績が悪い場合を除き、
これだけ多くの人が辞めるのは、異例です。
主に店舗巡回指導の担当者が多いと言います。
推測ですが、サークルKを吸収合併して3年。
旧サークルKの社員が多いのかもしれません。
特に名古屋人は尾張藩時代の影響で、
上様のひと言を待つ傾向が強く、
会議の席で黙り込んでしまう悪癖があります。
そのため、主張の強い人たちに牛耳られやすいのです。
そんな環境変化を、今から18年前、私は経験しました。
当時、私が務めていた東海総合研究所は
三和総合研究所に対等と言いながら事実上吸収され、
UFJ総合研究所になりました。
それぞれの親会社である東海銀行と三和銀行が
合併し、UFJ銀行になったからです。
合併後、旧三和サイドでは
「旧東海にもマシなコンサルタントはいるのか?」が
話題になりました。
このとき、東海側の上司が私の名前を挙げてくれました。
「なら、そいつに一度三和の客の顧客で喋らせてみるか」
と話が進み、東京九段下のグランドパレスホテルで
東海の品質を試す「試され講演」をすることになりました。
これは相当なプレッシャーでした。
もし受けが悪かったら、大変です。
「東海はエースでもこの程度か」
「これだから東海はあてにならない」
なんて言われ兼ねません。
そんなレッテルを貼られると、
「レベルの低い旧東海さんは黙っていてください」と、
今後社内で旧東海組の発言は、
受け止めてもらえない可能性があります。
大げさな言い方かもしれませんが、
私の品質=東海の品質でした。
講演会場には150人ぐらいの
三和総研の取り引き先の経営者が集まっていました。
私は旧東海のプライドを背負ってここで登壇しました。
私はインターハイにも
インカレにも出たことはありません。
所属する組織のプライドを背負って
舞台に立つのは人生で初めての経験です。
当時38歳。前年の講演回数は158回。
処女作『勝ち組になる会社なれない会社』を出したばかり。
生意気盛りだった私は、ビビるというよりも、
「見て聞いて驚くなよ」ぐらいの気持ちで講演しました。
その講演は、大成功でした。
聴いてくれた旧三和総研出身の統合会社の社長も、
それ以来、随分かわいがってくれました。
また、この日ご参加いただいたお客様から
コンサルティングのオファーを頂きました。
旧三和総研のコンサルタントと同じ
評価をしていただいたわけです。
このお客様は、信頼できる部下に任せました。
このコンサルティングへの評価もまた、
旧三和組が旧東海組の品質を知る試金石です。
そして、部下はそのプレッシャーに耐えて、
とても良い仕事をしてくれました。
この出来事は、組織のプライドを守ったという点と、
部下の成長のきっかけを得たという意味で、
自分が飛躍するきっかけになりました。
旧サークルKのビジネスマンが
統合会社の中でどうだったか、私にはわかりません。
ただ、旧東海銀行のビジネスマンの多くが
三和銀行との合併当時にできたばかりの
トヨタファイナンスに転職し、
同社を一流企業に押し上げた事例もあります。
『職業に上下もなければ貴賤もない。
世のため人のために役立つことなら、
何をしようと自由である』は、
教育学者の森信三先生の言葉です。
今の私には組織を背負っている感はありません。
が、ビジネスマンのモチベーションを高め、
その成長をガイドするという役割は当時と同じです。
早期退職を選んだ人の中には、
予期しなかった運命に、あれこれ言いたいこともあるでしょう。
が、森先生の言うように
所属した組織で人の上下は決まりません。
言いたいことをぐっと飲み込んで、
これを自分を活かすチャンスだと捉え、
新たなフィールドで活躍してくれたらと思います。
V字研メルマガ
1回3分「ヘコタレをチカラに」 vol.375
by V字経営研究所 代表 酒井英之
『働き方改革の改悪化を防ごう』
この4月から、働き方改革法が
中小企業にも適用、義務化されますね。
働き方改革法案が通過した時、
「これは働き方改革ではなくて働き方改悪だ」と
多くの経営者が嘆いていました。
私も、最近クライアント企業を訪問していて、
「確かにこれは改悪だ」と感じることが多々あります。
残業時間が減り、休日が増えて、
社員は公私充実した日々を過ごすことができる。
それはとてもいいことですが、
会社にとって最も大事な
「将来の稼ぐ力」が失われているからです。
「時間のマトリックス」をご存じでしょうか
名著『七つの習慣』の中に出てくる時間の区分です。
このマトリックスでは仕事を以下の4つに分けます
Ⅰ.緊急で重要性が高い仕事
Ⅱ.重要だけど緊急性が低い仕事
Ⅲ.緊急性は高いが重要ではない仕事
Ⅳ.緊急でも重要でもない仕事
上記Ⅰ~Ⅳには、主に以下の仕事が入ります
Ⅰ.締め切りのある仕事、重要な会議、クレーム対応
Ⅱ.人間関係づくり、準備や計画、人財育成
Ⅲ.無駄と思える会議、資料作成、接待・付き合い
Ⅳ.意味が感じられない慣習、単なる暇つぶし
さて、働き方改革が「改悪だ」と感じるのは、
働く時間を短縮することによって、
「将来の稼ぐ力」に直結するⅡの時間が
失われていると感じるからです。
例えば営業部門の仕事であれば、
今日の注文を処理する、あるいは次の注文を取るために
商いの多い客先を訪問する、仕入先と折衝するなど
当然、日々の中でⅠの仕事が最優先されます。
その中で、来年~再来年にかけて
「もっと多くの人を喜ばせたい」
「もっとこの商品を多くの人に使って欲しい」
考えた営業マンは、今は、商いは少ないけれど、
これから伸びそうな見込み客を訪ねたり、
様々な展示会に足を運んでビジネスチャンスを探ったりします。
さらにチームで営業しているリーダーであれば、
後輩と同行営業をしたり、帰社後に面談して一日を振り返り、
「次はこうしてみよう」とOJT 指導したりします。
こうした活動は、目先の利益には直結しません。
が、1年も2年も後の稼ぎに繋がるものです。
いわば未来への先行投資的な活動であり、
将来稼ぐための種蒔きです。
が、これが働く時間短縮によって削られてしまっているのです。
このような場合、「これは仕方ない」と諦めるのか、
それとも「ここは削れない」と覚悟を決めて、
取り組むべきか、企業は今、選択に迫られています。
この選択に影響を与えているのが、企業が目指すビジョンです。
ビジョンが数字のみ会社は、
目先の数字を作るために安値でもなんでも受注量を増やして、
先行投資的な活動を犠牲にします。
一方、数年先のビジョンが明確な会社は、
そのビジョンの実現のためには、
今、種蒔きすることが重要だと分かっています。
よって、Ⅱの時間を削れないと腹をくくるのです。
腹を作った会社は、Ⅱの時間を確保するために、
時間の使い方を見直します。
特にⅢの仕事を減らせないかを検討をします。
無駄だと思われる会議、打ち合わせ、
報告のための資料作成、移動時間、
何のためにやっているのか目的を見失った
社内行事・慣習、取引先等のお付き合い、
数合わせ、予算消化のための活動など
理念に照らしてなくてもよいもの、
ICTを駆使して減らせるものはないか検討してみましょう。
しばらく、わが国は不況が続きそうな気配です。
この不況をいち早く脱出できるかどうか。
それはⅡの時間を今、
確保できるかどうかにかかっています。
あなたの会社ではⅡの時間が
時短化の犠牲になっていることはありませんか?
是非、時間の使い方を振り返ってみてください。