2020/01/17
V字研メルマガ
1回3分「ヘコタレをチカラに」vol.371
by V字経営研究所 代表 酒井英之
『自分の発言に責任感を持たせるには?』
新年がスタートしてはや半月が経ちました。
今年の方針・目標を新たに掲げた人も多いと思います。
問題は、新たなこの気持ちを持続し、
いつしか「よし、できた!」と
達成感を味わうことができるか、です。
そこである会社の幹部からこんな質問をいただきました。
「毎年、全社員に自分の目標を書かせています。
それを経営計画書に記載しているのですが、
どうも書いただけで終わってしまい、
社員一人ひとりの成長に繋がっている実感がありません。
自分の発言に責任感を持たせるにはどうしたらいいでしょうか?」
あなたの会社では同じ現象はありませんか?
目標を持つことは大変有効なことです。
どんな目標であれ目標である以上、
書いたときは「達成したい」気持ちがあったはずです。
そして目標達成向けて一人ひとりが頑張り、
見事に目標を達成する。
このとき社員は、どんなことでも
「信じてやり続ければ、いつか適う」ことを、実体験する。
すると社員は「私は、できる!」と自信を持ちます。
それどころか「未来はきっと良くなる」と希望を持ち、
「今日はきっといい日になる」と
毎日にワクワクしながら会社に来るようになるでしょう。
目標が実現すれば、社員の意識は自ずと変わります。
次の目標に向かうときも、「きっと、大丈夫」と
前向きなチャレンジャーになります。
よって社員の目標達成を支援するのは
上司の最も重要な仕事なのです。
では、どうしたらよいのでしょうか。
ここでは責任感を持たせるための方法を4つお伝えします。
第一は、「今、なぜそれをするのか」という
仕事の目的を明確にして、腹落ちさせることです。
どんな仕事であれ、仕事の本質は人助けです。
自分たちがこ仕事に取り組むことによって
「誰をどのように幸せにすることができるのか」
「もっと多くの人を幸せにするためにできることは何か」
そこをしっかりと確認してから取り組むようにしましょう。
第二は、メンバー一人ひとりを信じて任せることです。
任せられた人はそのことを意気に感じ、
期待に応えようと必死になります。
上司は「君ならできる。きっと大丈夫」と励ましましょう。
このとき、「なぜ君ならできる」と信じられるのか
ちゃんと根拠を伝えることです。
「昨年、これだけできたのだから、大丈夫」
「そこに気づいた君だから、任せてみようと思ったんだ」
など、背景を理解させることが、前向きな気持ちをつくります。
第三は、チームを率いる上司の態度です。
例えば上司が「まだ達成できないのか?!」
「このままで良いと思っているのか?!」
と、傍観者的な時な立場で結果ばかりを要求したら、
「できっこないよ」「自分でやってみろ」と
部下はたちまち責任感を捨ててしてしまいます。
逆に上司が「今日も、全力で行くぞ!」と
真摯な態度で日々を送っていれば、
「あの人(上司)が頑張っているのだから、
部下の私たちが諦めるわけにいかない」
「結果はついてくると信じて最後までやり抜こう」と、
全力を出すことへの気持ちを強くするはずです。
上司の態度がモチベーションの担保なのです。
第四は、部下が目標に向かっているときに、
「成長したね」「もう少しだね」「前よりずっと良くなったよね」と
上司が背中を押し続けることです。
仮に思うような結果が出てない場合は、
「原因は何かかな。それを特定して対策を一緒に考えよう」と
声をかけましょう。
箱根駅伝を見ているとわかりますが、
平地を走る選手の横を、監督が乗った車が伴走し、
ずっと声がけをしています。
伴走者がいることで人は心強くなります。
以上の4つは『幸せな職場の経営学』(小学館)の
著者である前野隆司慶應義塾大学教授が
指摘する「幸せを構成する4つの因子」
「つながりと感謝」「独立と自分らしさ」
「前向きと楽観」「自己実現と成長」を、
チームマネジメントを高める方法にアレンジしたものです。
今年の目標を忘れないうちに、
あなたのマネジメントにとり入れてみてください。
2020/01/10
V字研メルマガ
1回3分「ヘコタレをチカラに」vol.370
by V字経営研究所 代表 酒井英之
『リーダーが知っておきたい
一体感を高める声掛けのタイミングと方法は?』
新年あけましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いします
2020年になり、これからは新たに2020年代という、
新しい10年が始まります。
皆さんは良いスタートが切れましたか?
その10年が日産の元会長の逃亡とか
アメリカとイランの報復とか、不穏な空気で始まりました。
私達がリーダーだと思っていた人たちの行動が、
私利私欲ばかりで暗澹たる気持ちになります。
そんな中、このメルマガの読者から
リーダーシップについて、次のような質問をいただきました。
「チームの一体感が増すような声掛けや、
士気が向上するような声掛けは、
どのようなタイミングでどのような方法で行うと効果的でしょうか?
ご教示いただければ幸いです」
大変良い質問だと思います。
同時にこの問いに対するアンサーを、
年末に報道された日テレの特番
『ラグビー日本代表の軌跡 ビクトリーロード』の
中で見つけました。そこから引用してお答えします。
人はぶれます。特に、ゴールを目指しているつもりが、
目の前のやり方や方法論にとらわれて、
「もうちょっと楽をしたい」「もっと儲けたい」
なんて気持ちが湧いてきたら、そこから狂い始めます。
「楽」とか「儲け」はイメージがしやすく、
美味しい蜜の味がします。
そっちの方へぶれてしまうのです。
ラグビーの日本代表チームの稲垣選手は、
「苦しい練習を続けるうちに、
チームのメンバーのどんな点が変化して来ましたか?」
という質問に、次のように答えていました。
「一人ひとりのリーダーシップが変わりました。
それぞれがリーダーシップを発揮して
周囲を支えるようになりました」。
厳しい練習が続くと、通常は嫌気が差します。
「なんでこんなにもやんなきゃいけないんだ。馬鹿らしい」と
投げやりになる人が続出します。
「やっても答えが出ないじゃないか。
こんな練習に意味があるのか!」と
自暴自棄になる人もいるかもしれません。
しかし、ラグビーの日本代表チームのメンバーは、
そうやって追い込まれても、自分を見失う人は出ませんでした。
それどころか「俺も苦しいけどみんなも苦しいはずだ。
みんなのために俺に今できることは何なのか?」と、
一人ひとりが考えるようになった。
これが、稲垣選手の言う「リーダーシップが変わりました」です。
ここで注意したいのは、
リーダーシップは特定の一人のリーダーが持っているのではなく、
一人ひとりが自分の中に持っているということです。
そして、一人ひとりが仲間のために何ができるかを考えたのです。
では、なぜそれができたのでしょう?
それは、誰一人としてゴール(目標)を見失わなかったからです。
ラグビー日本代表のゴールは、
「日本のラグビーの歴史を変える」です。ベスト8進出です。
そこを見失わなかったからこそ、
「今の苦しさが目標達成に繋がる」を信じ続け、
地獄と呼ばれた練習を耐え抜くことができたのです。
小さなプロジェクトでも同じです。
目標を見失わずにいれば、
みんなの力を一つに合わせることができます。
綱引きで力が発揮できるのは、
みんなが同じ方向に向けて力を合わせるからです。
ご質問の「一体感を増す声がけ」が必要なタイミニグは、
皆が一番苦しさを感じている時です。
声がけでブチ切れずに済みます。
一人ひとりが冷静さを取り戻します。
もうひとつ、声がけではありませんが歌も効果的です。
ラグビー日本代表は、苦しい時ほどポジティブな歌
「ビクトリーロード」を歌っていました。
https://www.huffingtonpost.jp/entry/oneteamvictoryroad_jp_5daab9f2e4b08cfcc31bb6a3
皆で歌を歌うと元気になりますよね。自分を自分で鼓舞することができるし、
サザンの名曲「yaya~あの時を忘れない」の歌詞のように、
それだけでお互いに分かり合うこともできます。
歌は、苦しい時こそ有効です。
3月決算の各社は、景気後退局面の中、
ここからが一番苦しい時期です。
まさに、一体感を高める声がけが必要なときです。
2020年代に良いスタートを切る意味でも、
是非お互いに声を掛け合って、
一体感を高めて納得の行く成果を出し続けていきましょう。