2019/9/26
V字研メルマガ
1回3分「ヘコタレをチカラに」vol.358
by V字経営研究所 代表 酒井英之
『「セクシー」とは何か?』
環境大臣の小泉進次郎氏が環境問題に対して
「セクシーに対応する」と発言して
話題になりましたね。
「セクシー」っていったい、どういう意味なのでしょう?
大臣がどんなつもりで使ったのかはわかりませんが、
あなたは「セクシー」を経営理念にしている
上場企業があることをご存知でしょうか?
それは、豊橋市に本社を置く(株)物語コーポレーションです。
正確な経営理念は「スマイル&セクシー」。
会社名は知らなくても、
「焼肉きんぐ」や「丸源ラーメン」などの
外食チェーン店を経営している会社といえばお分かりでしょう。
毎年すごい勢いで業績を伸ばし続けています。
https://www.monogatari.co.jp/
この会社の創業者であり、
取締役特別顧問の小林佳雄さんは
同社にとってのセクシーについて明確に定義しています。
それは「自分で選択し意思決定すること」です。
https://www.monogatari.co.jp/smile_and_sexy.html
最近の人は、自分で物事を決めなくなっています。
例えば大学進学において、
自分が行きたいから今の大学を選んだというよりは、
親や塾の先生に勧められたからが動機になっています。
会社を選択するときもそうです。
入って何かがしたい!というよりも、
有名だからみんなが「いいね!」してくれるかな…
なんて理由で今の会社を選んだ人が少なくありません。
選択肢が多すぎる時代です。選択肢多いと、
人はなかなかその中から選び取ることができません。
すると決めないうちに時間だけが過ぎていき、
ずっと迷い続けることになります。
結果的に周囲に流されるように選択します。
が、このような弱い意思で選択をすると、
残念ながら人は自分の選択に自信が持てません。
すると、「本当にこれでよかったのかな…」
とずっと迷い続けることになります。
迷ってる人は弱いです。
ストレスがかかるとその場から逃げ出します。
結果的に何事も長続きしないということになります。
外食産業は、目の前のお客様を喜ばせるビジネスです。
客同士のトラブル、店員へのクレームなど
状況に応じて的確な判断をしなければならない仕事です。
そんなとき、上司にお伺いを立てている暇などありません。
社員であれば、たとえ1年生でも
今すぐやるべきことを自分で考えて
即座に意思決定して行動しなければなりません。
そういう意思決定力のある人材を必要としているので、
小林相談役は学生向けの会社説明会に自ら登壇します。
そして、会社概要を説明するよりも、
「自分で意思決定することの大切さ」を学生に伝えています。
「今日着る服も、話す内容も、
どんな会社の説明会に参加してみようかということも、
他人に委ねるのではなく、自分の意思で選び取れ。
すぐに決めてやってみて、
うまくいかなければ改めればいいじゃないか」と伝えています。
会社説明と言うよりは、
人としての生き方を指南する実に不思議な会社説明会です。
が、その影響で同社に入社する大卒社員は
自分で意思決定をすることをとても大事にします。
それゆえに同社の新人の定着率は大変高いものになっています。
同社が厳しい外食産業において成長し続けているのは、
採用した若手社員が即戦力になっているからです。
それは、入社後の社員教育というよりも、
入社前の「自分の意思で決めろ。その生き方がセクシーだ」と言う
小林特別顧問のメッセージによるところが大きいのです。
小泉大臣は、何かと意見の多い環境問題に対し
「わが国が自分で考えて自分で決める」と
言いたかったのかもしれません。
あなたが今日やる仕事は、
あなたが自分の意思でやろうと決めたものでしょうか?
それとも、なし崩し的に受け入れてやっていることでしょうか?
今日着る服も読む本も、食べるランチも
何事も自分で考えて自分で決める。
そんな「セクシーな生き方」をしたいものですね。
*小林佳雄氏の学生向けの会社説明会の講演内容が
DVDで販売されています。大変勉強になります。
http://www.goma-books.com/archives/31669
2019/9/18
V字研メルマガ
1回3分「ヘコタレをチカラに」vol.357
by V字経営研究所 代表 酒井英之
コラム『勝ちグセの組織、負けグセの組織』
プロ野球も大詰めですね。
私は岐阜に住んでいるのでドラゴンズファンなのですが、
今年もドラゴンズは下位に沈んでいます。
2013年以降、4・4・5・6・5・5位で、
今年もほぼ5位が確定しています。
地元のドラゴンズファンに聴きますと、
今年の優勝は4月の時点で諦めていたとのこと。
また、来年の優勝はあると思いますか?
と聴いたところ、「無理でしょう」。
選手本人はどうかはわかりませんが、
負けが続くと人は「どうせだめだろう」と
すぐに諦めるグセがつきます。
これを「負けグセ」といいます。
今のドラゴンズファンは、長年の低迷で
すっかり負けグセがついてしまっています。
根尾君が一人入団したところで、
結果が出ていない限りそれは変わりません。
一方、カープファンに「今年はどうですか?」と尋ねると、
「優勝は無理でもクライマックスシリーズで
ひっくり返す」と言います。
また、ベイスターズファンに尋ねても、同じ答えです。
カープは直近3連覇した球団です。
ベイスターズは、2年前にクライマックスシリーズを制し、
日本シリーズで、ソフトバンクと互角に渡り合いました。
その実績がファンに「まだまだいける」と
未来を信じる根拠になっているのです。
これが、「勝ちグセ」がついた姿です。
これを経営に置きかますと、
負けグセの組織は、目標達成を早い段階で諦めてしまう。
一方、勝ちグセの組織は、最後まで目標達成に向け
諦めず試行錯誤を続けることになります。
経営者としては当然後者が理想です。
ゆえに組織を率いるマネージャは、
何が何でも目標達成を目指さないといけないのです。
といっても「いきなり優勝!」を目指すと
飛躍がありすぎて、誰もついていけないケースがあります。
ドラゴンズの黄金時代を築いた落合監督は
2003年の就任直後に「補強しないで、
現戦力だけで十分優勝できます」と語り、
2004年に言葉通り優勝しました。
2001年と02年のドラゴンズの成績は3位・2位です。
選手は「自分たちでも優勝できる」と、
手応えを感じていたのでしょう。
そこに、優勝を宣言する監督が来たので
大いに燃えたのです。
このように「徐々に強くなる」ことが、
組織に「自分たちはできる」という自信と
「次こそは目標達成できる」という予感を生み出します。
今の状態からやや高いレベルの水準を目指し
達成すること。そして次にさらに高いレベルを目指して
それも達成すること。
ステップ・バイ・ステップで成長し、
確かな手応えを感じることが
負けグセチームを勝ちグセチームに導くのです。
なお、ここに記した「やや高い水準」のことを
ストレッチゴールと言います。
「伸びをすれば届く」水準という意味です。
一般的には、対前年比120%ほどです。
ただしこれを長時間労働で達成しようとしてはいけません。
それだと疲弊感が強くなり、真の自信にはなりません。
従来の仕事のやり方を見直し、
新しいやり方で達成することが、組織の自信に繋がります。
あなたの組織は勝ちグセチームでしょうか?
それとも負けグセチームでしょうか?
このチームは負けグセだな、と感じたら
小さな一勝でいい。とにかく勝たせて、
リーダーがそれを自分のことのように喜んで
自信を持たせないといけません。
ステップ・バイ・ステップで
是非、勝ちグセがつくように導いていきましょう。
~イタリアファミリービジネス見学報告会~
イタリアのファミリービジネスから学ぶ事業承継

わが国の中小企業の95%は同族経営(ファミリービジネス)です。上場企業でも半数以上の53%が同族経営です。同族経営がわが国を牽引し、繁栄に導いていると言ってもいいでしょう。
同族経営には独特の一体感があります。その一体感が社風を生み出し独自性の源になっています。が、創業当時の一体感と、会社が成長してからの一体感は随分違います。ノンファミリーの社員が増える二代目、三代目以降では一体感も性質は尚更異なります。にもかかわらず、そこに焦点を当てた書籍はほとんどありません。
その知見を補うために、私は FBAA(ファミリービジネスアドバイザー協会)に所属し、で同族経営の強さや課題について多くを学んでいます。その FBAAが今年の5月にイタリアのファミリービジネスを訪問し、イタリアの同族経営を見学する学習会を企画しました。
イタリアは同族経営が99%以上を占める国です。有名ブランドの多くも同族経営で行われており、100年を迎えるものも少なくありません。そこには多くのファミリービジネスの成功事例があります。
今回その成功事例に現場で体感しようと、イタリア学習会に参加してきました。そして多くの気づきを得て帰ってきました。
この気づきを、同じ中小企業経営者の皆さんとシェアしたいと思います。そこで掲題の「イタリアファミリービジネス見学報告会」を開催することといたしました。
強い同族企業が国や地域の経済を支えているのは、日本もイタリアも同じです。イタリアの同族経営から学ぶことで、『日本の同族企業経営のこれから』について皆さんと考える機会にしたいと思います!
概要
日時 | 2019年9月18日(水)14:30~16:45 受付14:15より |
会場 | ウインクあいち 1205 愛知県名古屋市中村区名駅4丁目4-38 |
参加費 | 報告会 5,000円(税込) 懇親会 未定 |
タイムスケジュール | 14:00 受付 14:15 報告・プレゼンテーション 16:00 ディスカッション・質疑応答 16:45 終了 場所移動後懇親会へ |
訪問企業の紹介

ダミアーニ社(高級ジュエリー)
ファルク社(再生可能エネルギー)
フェラーリ社(自動車)
マルケシーニ社(包装機械)
フェラガモ社(革製品)
フレスコバルディー社(高級ワイン)
サンタマリアノベッラ薬局(世界最古の薬局)
報告のポイント
- 数字が物語るファミリービジネス(同族経営)の強さの秘密
- 成功・失敗事例の対比からわかる事業承継成功のポイント
- 偉大な創業者が後継者に子供の頃から伝えてきたこと
- 純粋な一族による経営か、プロ経営者を雇うべきか?
- イタリア企業に学ぶわが国の事業承継の課題と対策 など
スピーカー

酒井英之(株)V字経営研究所 代表取締役社長
岐阜県生まれ。慶應義塾大学卒業後ブラザー工業㈱に入社。
商品開発と営業を経験した後、戦略コンサルタントに転身。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングで経営戦略部長兼プリンシパルを9年務めた後、事業領域を次世代リーダーの育成に特化するために起業。
以来、経営者の伴走者でありたいと願い、経営者の個別指導及び経営者の右腕となる幹部教育等を精力的に行っている。
名古屋大学経済学部社会人大学院教員。
FBAA(ファミリービジネスアドバイザー協会)について
FBAA®は、ファミリービジネスの持続的発展を支援し、地域社会の発展に寄与することを目的とする非営利団体です。信頼されるファミリービジネス専門家ネットワークの核として、ファミリービジネス・コンサルタントやアドバイザーの専門性確立により、ファミリービジネスの繁栄に貢献することをミッションとしています。酒井は同協会のファミリービジネス・コンサルタント認定資格保持者であり、フェローです。