vol.419『好評だったコロナ禍の経営方針発表会』

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 1回3分「ヘコタレをチカラに」 vol.419

          by V字経営研究所 代表 酒井英之

 

『好評だったコロナ禍の経営方針発表会』

 

3月決算の会社は、そろそろ来期の
経営計画立案に取り組んでいる頃かと思います。

 

そこで気になるのは、経営方針発表会の開催方法です。
今、経営計画を作成し、方針発表会を行うことは
企業の当たり前の行事なってきています。

 

社長にとっても経営計画発表会は、
「一年の計は元旦にあり」と同じで、
社員を動機づける極めて重大な行事となっています。

 

また金融機関などを招待する会社にとっては、
自分たちの決意を伝え、協力を仰ぐ
重要なプレゼンテーションの場でもあります。

 

その大切な経営方針発表会が、コロナ禍で
開催できないピンチに陥っています。
中には社員数100人に満たない会社が
300人収容可能な講堂を借り、社員が間隔を空けて並び、
社長はアクリル板の向こう側から演説する会社もありました。

 

この会社の例を見るだけで、
経営方針発表会がいかに重要かが分かります。
そんな中、社員数約100名の私のクライアントが
先日趣向を凝らした経営発表会を開催し、
社員に大変好評を得たので紹介します。

 

それはビデオを使っての経営計画発表会です。
ビデオは約90分。主な構成は以下の通りです。

 

1.オープニング映像
2.前期年間MVPチーム表彰
3.前期年間MVP個人表彰
4.永年勤続表彰(10年、20年…)
5.経営計画発表(社長)
6.執行役員決意表明(執行役員代表)
7.エンディング映像

 

この流れはリアルでやっていた時と変わりません。
以下にもう少し詳しく解説します。

 

1のオープニング映像は、
社員が地道に働いている姿が映し出されます。
2、3の表彰は受賞者への表彰状授与の映像と
受賞者のコメントです。

 

4の表彰は、同社が例年、最も力を入れていることです。
永年勤続表彰対象者の表彰の文章は一人一人違います。
10年勤続表彰の場合、その人が入社以来、
どのような歩みをしてきたか、綿密に調べ、
それを大変丁寧に表彰状に書き、社長が朗読します。

 

このとき流れる映像は、工夫がなされていました。
受賞者の10年間の思い出の写真が
社長の朗読時に次々と映像で流れたのです。
またビデオレターのように仲間からのメッセージも届きました。
見ていて、大変温かみを感じました。



5の経営方針発表も、例年と違った雰囲気でした。
いつもなら、社長は体育館の壇上から語るのですが、
今回は、会議室に椅子を二つ置いた
『徹子の部屋』か『サワコの朝』のような空間で
インタビュアー役の女性社員が
社長にインタビューするという形式で進められました。
それゆえに、社員にとって受け止め安い雰囲気になっていました。

 

その後に続く6.執行役員決意表明は、
いつもの感じで役員がバシッと締めてくれました。
最後はドローンによる会社上空からの映像に
エンドロールが流れて終わりました。

 

このビデオによる経営方針発表会が
社員に好評だった理由は主に三つあります。

 

第一は、若い人たちに退屈でなかった点です。
社長や幹部が話すのをただ聞くだけの経営方針発表会は、
どうしても集中力が途切れます。

 

その点、映像化したことで、
多くの人が登場できるようになりました。
オープニング映像の社員の働くシーンはもちろんですが
永年勤続表彰の仲間の思い出のシーンの中に自分がいたり、
メッセンジャーとして自分が登場すれば
それだけ関心は高くなります。

 

第二は、時間の拘束が少なかったことです。
これまで同社の経営方針発表会は、
土曜日に出勤し、13時から始まって
食事会が終わる19時頃まで続きました。

 

その点今年は、一定期間中にこのビデオを
見ればいいというスタイルに変わりました。
土曜日半日を拘束されるようなことはありません。

 

今の若者の中には、時間外の活動に
ストレスを感じている人が少なくありません
理由のひとつがオンラインゲームです。
オンラインゲームは夜間、あるいは土日に
オンライン上で対戦します。

 

そのため業務ではない宴会等で
長時間拘束されるのを嫌うのです。
今回、視聴時間が自由だったことが、若者に歓迎されました。

 

第3は、会社が社員の健康に配慮した点です。
社員一人ひとりの安全確保のため、
過去の講堂に集まるスタイルに固執しませんでした。
この一件を通し、従業員ファーストの経営姿勢を
態度で示すことができたのです。

 

以上のやり方は、あくまでこの会社のやり方です。
経営方針発表会は、企業風土そのものです。
どの会社にも風土に見合ったやり方があります。
この会社の、ビデオによる経営方針発表会が
一番だと言うつもりはありません。

 

ただ開催したものかどうか悩んでおられるのであれば
このような方法もあるということで、
選択肢に加えてみては?と思います。

 

大切な事は、コロナを理由に中止しないことです。
一度中止にしてしまいますと、
社員は次の年から「今年は…ないかも?」と勘ぐって、
いつしか次年度に備えても準備をする習慣をなくしてしまいます。
そうしたサボりが一番怖い習慣です。

 

経営方針発表会は、社員全員で未来を創る場です。
厳しい環境下でもやり切ることで
社長の熱情を社員に示すことができます。
どんな形であれ「経営方針発表会は絶対にやるんだ!」との
強い心で挑んでいただければと思います。

 

*経営方針発表のための映像制作を希望される方は
下記にお気軽にお問い合わせください。業者を紹介します。
h-sakai@vjiken.com