vol.404『危機突破時、社長の最も重要な大切な仕事とは』

V字研メルマガ

 1回3分「ヘコタレをチカラに」 vol.404

          by V字経営研究所 代表 酒井英之

 

『危機突破時、社長の最も重要な大切な仕事とは』

 

総理大臣が交代しましたね。
安部首相が辞任された時はびっくりしましたが、
新総理がどんな手腕を発揮するのか、期待したいところです。

 

新総理が国民から
「この人、意外とやるな」と支持されるのか
「やっぱり無理なんじゃないの…」と
がっかりされてしまうのかの判断の分岐点は、
今からおよそ100日後です。

 

人は、リーダーが交代すると約3ヶ月間、
お手並み拝見とそのリーダーをよくよく観察します。
そして3ヶ月たった100日目あたりに、
今後この人について行っていいかどうかの判断を下すのです。

 

この3ヶ月間のことを、英語では
First 100(one handred)Daysと言います。

 

あのトランプ大統領ですら、
就任から100日目の時は焦っているのがよくわかりました。
そして、100日間の自分の実績を必死にアピールしていました。

 

このことはスポーツの世界でも同じです。
サッカーやラグビーのワールドカップを思い出してみましょう。

 

国民が盛り上がるかどうかは初戦で決まります。
日本代表チームが初戦を勝つと、
グループリーグは突破できるぞ!と
国民のボルテージはどんどん上がっていきます。

 

2つ勝つとボルテージは最高潮に達します。
しかし初戦を落とすと
「今回はもうだめだかも…」と諦めムードが漂います。
所詮の勝敗は、ムードを創る上とても重要なのです。

 

人は空気に流される生きものであり、
空気を読む生きものでもあります。
雰囲気次第で人のモチベーションは変わります。
ほとんどの社員は、会社の雰囲気を敏感に感じ取り、
暗いときは下を向き、明るいときは前を向くのです。

 

それゆえに緊急事態宣言解除後の100日間の活動は、
コロナの影響を受けている会社にとって、
とても大事な100日だったのです。
その100日目が、先日の9月8日でした。

 

そのタイミングに合わせてなのか、
9月10日に放送されたの『カンブリア宮殿』には
HISの澤田社長が出演していました。
澤田社長はコロナで最も影響を受けている旅行会社の今を
赤裸々に語っていました。

 

その中で、どんどん新事業を立ち上げているという話がありました。
例えば、世界各地に行けオンラインツアーを既に始めていました。

 

紹介されたのはヤンゴンの街めぐりツアーでした。
お客様とヤンゴンの社員およびガイドをzoomで繋ぎます。
社員とガイドはカメラを持って、街の中を歩きます。
そしていろんな解説をしてくれます。
お客様はzoomでその光景を見ながら、
現地にいる気持ちになるのです。

 

さらに社員とガイドがレストランに入ります。
そして食事を注文します。
この映像もずっとお茶の間にzoomを通して届きます。

 

そのタイミングで、お客様の自宅にお弁当が宅配されます。
そのお弁当は、そこのレストランで出されるのと
同じミャンマー料理です。
そしてそのミャンマー料理に対する解説を
zoomとして受けるのです。

 

これがお弁当付きで、一人4400円~ということでした。
その時間は90分。
このツアーにお友達と参加する場合は、
友達と同じ場所にいる必要はありません。
それぞれお家からzoomで参加すればいいのです。

 

澤田社長は、このサービスを紹介した時に
司会の村上龍は、「これだけでは旅行の落ち込みは
カバーできないでしょう」と突っ込みました。

 

が、澤田社長は「こうした体験をした人が、
リアルに旅行できるようになったときにもお客様になる。
したがって大変期待している」と答えていました。

 

私はこれを見ながら、With コロナ時代の
最初の100日の成果としては、素晴らしい!と思いました。

 

少なくとも 世界中のHISの社員たちが、
「自分たちでも何かできることがある」という
希望を持ったのはないかと考えるからです。

 

危機突破時に経営者の仕事の中で、
極めて重要な仕事は、
「社員の希望を作ること」です。
とりわけ社員が不安を強く感じる
リスク発生やトップ交代にこそ、その希望は大切で、
それを作るのは「最初の100日」なのです。

 

ちなみに100日間の使い方は、
最初の1カ月が現状把握、
次の1カ月が原因特定と対策立案
3カ月目が対策実践。そして100日目に成果が出るです。

 

そこで、このメルマガを読んでいただいている
経営者の皆様には以下の行動をお勧めします。

 

まず、コロナ後の活動で『小さな手応え』を感じている
出来事があればそれを社員にPRしていてください。
「こういう成果が出てる。自分達は確実に前進している」と
伝え発信していただければ、
それが社員の希望になると思います。

 

また、希望はロケット噴射のように、
第2弾・第3弾と重ねてこそ大きく、勢いづくものです。
そこでいろんな経営者仲間に、
今どのように現実を受け止めて対策を
行っているのか聞いてみてください。
他社の取り組みの中に、
次の光となる希望の種が見つかると思います。

 

苦しいときだからこそ、希望が必要です。
100日目に得た希望を大きくしていきましょう。