vol.394【Withコロナ時代の社長の悩み・第Ⅱ弾】

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 1回3分「ヘコタレをチカラに」 vol.394

          by V字経営研究所 代表 酒井英之

 

【Withコロナ時代の社長の悩み・第Ⅱ弾】

 

先週に引き続き、
最近、私のセミナー後に寄せられた
ビジネスマンからの質問にQ&A形式でお伝手します。

 

同じことで悩んでいる方も多くいると思います。
また、誰かの質問は、他の誰かの勉強になります。

 

今週のテーマは
「コロナで働き方はどう変わる?」です。

 

 

【Q1】コロナ禍を機に成長する産業、
逆に衰退する産業は何だとお考えですか?

 

【A1①】成長する産業は、住宅・教育・産業機器。

 

『住宅』
テレワークスペースを確保するリフォーム需要。
都心部から郊外の中古住宅への移住需要。
移住先は子育てしやすい環境によってチョイスします。
家族との時間を楽しむDIY、家庭菜園などが伸びるでしょう。

 

『教育』
オンライン教育は従来オンライン対象でなかった
エステ、ヨガ、コーチング等にまで選択肢が広がっています。
オンラインという学び方を学校で経験した子供たちは、
大人になってもそのような学び方を続けます。
「学校へ通う」スタイルは「授業に繋ぐ」へ激変するでしょう。

 

『産業機器』
今回製造業だけがテレワークできませんでした。
外国人労働者もこれまでのように採用できるかわかりません。
生産の国内回帰の流れも加わり、
自動化へのニーズはさらに強くなると思います。

 

【A1②】衰退する産業は、高級アパレル・百貨店・旅行。

 

高級アパレルやそれを売る百貨店や旅行業界は、
インバウンドと団塊の世代需要に支えられていました。
人と接する機会が減り、高級服、靴、カバン、化粧品など
フォーマルな場でドレスアップする必要が減少しています。
また、団塊の世代はコロナで重症化するリスクが高いため
防衛のために外出や出費を抑える傾向が強くなるでしょう。

 

 

【Q2】リモートワークが増える事は、本当に日本経済や
企業の競争力を上げることにつながると思いますか?
ネガティブに作用するとしたら、どんな事が想定されますか?

 

【A2】日本人特有の「和(仲の良さ)を持って利と成す」という
考え方が衰退すると思います。
一方で「利(個々人のスキル)を持って和と成す」という
外国人の考え方に変わると思います。
強い組織は仲が良いことではなく、強い個人が集まって、
その上でその人たちがまとまる組織が強い組織となるでしょう。

 

そのためにも、強い個人を集め活躍の場を与える
リーダーシップはますます重要になります。
「自分は何を目指しているのか。それは何のためなのか」に
共感して人は集まります。発信力が重要になります。
逆に「見ればわかる」「これで長年やってきた。文句言うな」は
通じなくなるでしょう。

 

 

【Q3】テレワーク時代に上司のあり方はどう変わると思いますか?

 

【A3】テレワークで部下は自宅に分散しているので、
部下に仕事を切り分けて任せて、それを丹念にチェックし、
丁寧にフィードバックする上司が必要だと思います。
これはかなり大変な仕事なので、
プレイングマネージャーをする上司はいなくなるでしょう。

 

一人ひとりのスキルやモチベーションの状態を
チェックして誰にどの仕事を任せたらいいのか、
ディレクション力も上司に必須のスキルでしょう。

 

そのためプレイヤーからマネージャになる段階で、
マネジメントを学ぶ重厚な専門教育が必要となるでしょう。

 

 

【Q4】客先になかなか訪問できない中で、
営業の役割はどのように変わるのでしょうか?

 

【A4】営業という仕事をどう定義するかにかかってると思います。
営業という仕事が売り込みだとしたら、
どんどん必要なくなっていくでしょう。

 

営業の仕事の本質は、お客様の「問題を発見すること」です。
この問題発見力は、本音を引き出さねばなりません。
現場で観察した方が良い場合もあります。
それができる営業マンは、オンラインの時代であっても、
お客様から「来てください」
「是非お会いしたい」と言われるでしょう。

 

ですから、気になるお客様には「その後いかがですか?」と
声がけするような感じで電話すればよいと思います。

 

 

Q5】酒井さんは「ピンチの時ほどありがとうに集中するといい」
言いますが、現在の状況下でも、
わが社の営業マンは1円でも多く売上を上げようと頑張っています。
その行動と、「ありがとうに集中する」ことが
必ずしもリンクしていません。営業マンの評価はどのようにしたらよいのでしょうか?

 

【A5】不況になったからといって営業マンの評価基準を変えると、
現場は混乱してしまいます。
評価基準はそのままにしておきましょう。
「ありがとうに集中」してお客様に喜ばれた人は、
月間 MVP 制度などを作って、
皆の前で表彰していただくと良いでしょう。

 

表彰は、本人の頑張りを称えるだけでなく、
会社の「求める人材像」を示すために行うものです。
今は表彰と言う形で、会社が何を目指しているのかを
伝えるようにしましょう。

 

 

【Q6】私にはビジョンがあるのですが、なかなか実現ができません。
素晴らしいスタッフが近くにいるのですが、
彼らをどう使っていいか分からないのです。
どうしたらよいのでしょう?

 

【A6】1年先のビジョンではなく、
数年先のビジョンが描ける人は滅多にいませんから、
それは「自分の強み」だと思ってください。

 

遠いビジョンを描くのが得意な人は、
戦国武将に例えたら豊臣秀吉でしょう。
秀吉は大きなビジョンを語りますが、
自分自身でそれを実現する力はありません。
そこで竹中半兵衛や黒田官兵衛のサポートを求めたのです。

 

大河ドラマを見ていると、しょっちゅう秀吉は
「半兵衛、どうする?」「官兵衛、いかがいたす?」と
周囲の意見を求めています。
どんどんスタッフに意見を求めてください。
自分を秀吉に置き換え、スタッフを半兵衛・官兵衛に
置き換えて付き合っていくことが、
あなたがビジョンを実現する鍵だと思います。

 

 

【Q7】酒井さんはよく『鬼滅の刃』の話をされますが、
こうしたアニメーション等の題材で時代を掴むことは
経営者にとって必要なことでしょうか?

 

【A7】私が読むのは、「売れているマンガ」だけです。
なぜなら、クライアントの若手社員が読んでいるからです。
よく管理職層から「若い人と会話に困る」と相談されます。
が、若い人と話がしたければ、
若い人が今夢中になっていることを話題にするしかありません。

 

私はゲームやお笑いが分かりません。音楽も分かりません。
ただマンガだけは読むことができます。
流行っている漫画は大抵の若い人が読んでいます。
そして「なぜ、このマンガが受けるのか?」
「昔流行ったマンガと何が違うのか?」という目で考えると、
若者が考えてることが何となく見えてきて、
会話できるようになります。